ワクチンの安全性向上のための品質確保の方策に関する研究

文献情報

• 文献番号: 200501137A
• 報告書区分: 総括
• 研究課題名: ワクチンの安全性向上のための品質確保の方策に関する研究
• 課題番号: H16-医薬-016
• 研究年度: 平成17(2005)年度
• 研究代表者(所属機関): 財団法人 予防接種リサーチセンター(財団法人予防接種リサーチセンター)

研究分担者(所属機関)

• 倉田　　毅(国立感染症研究所)
• 神谷　　齊(独立行政法人国立病院機構三重病院)
• 岡部　信彦(国立感染症研究所)
• 松本　慶蔵(愛野記念病院)
• 富樫　武弘(市立札幌病院)

• 研究区分: 厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
• 研究開始年度: 平成16(2004)年度
• 研究終了予定年度: 平成18(2006)年度
• 研究費: 21,000,000円
• 研究者交替、所属機関変更: -

研究報告書（概要版）

研究目的

基礎医学、臨床医学、疫学、ワクチン学に関わる専門家とワクチンメーカー、予防接種を担当する地域の臨床医等のネットワークを構築し、より安全性と有効性の高いワクチンの開発・改良とその品質を確保することを目的とした。

研究方法

全国的に研究者、臨床医の協力を求め、臨床的、疫学的な情報の収集と分析を行った。各分担研究者が研究協力者と共にワクチンの安全性と有効性向上のための改良・開発研究及び情報の分析方法や地域におけるワクチン接種の現状・あり方等について検討、研究総会において討議してワクチンの安全性や実施方法等につき要望事項を取りまとめた。

結果と考察

基礎医学的研究では、流行ウイルスの変異によるワクチンの効果低下に備え、AIK-C株ウイルスをベクターとして必要な新ワクチンをキメラワクチンの形で作成する手法を開発した。ムンプスウイルスの髄膜炎発現病原性を調べる動物モデルとして、乳飲みラットへの脳内接種による水頭症発生頻度観察法を開発した。さらに感度を上げられればより安全なおたふくかぜワクチンのスクリーニングが可能になる。マウス、ウサギを用いたＤＰＴワクチンの局所反応原性の検討方法は、ワクチンの安全性評価に利用できる。経鼻用インフルエンザ不活化ワクチンの開発は、安全性の高いアジュバントの発見と、トリインフルエンザウイルスの不活化ワクチンの試行により前進することができた。
　臨床医学的研究では、医療従事者等への予防接種が求められているため、接種必要者の選別に抗体検査法が検討され、IgG-EIA法が勧められた。水痘の流行と重症例の検討からワクチンの必要性が重ねて要望された。また疫学調査からHibワクチンの採用が要望された。痙攣性疾患児や重症心身障害児等のためのワクチン接種基準が取りまとめられた。
　本年度は予防接種実施上多くの変更があったことから、ワクチン接種率算出の調査方法を実用するなどして、各地での対応や実施状況調査が行われ報告された。また麻疹・風疹混合ワクチン二回接種法の実用化に当たり経過措置についての要望が出された。高齢者に対するインフルエンザワクチンの接種率は向上し、2005/2006年流行のＡ型では有効率70％ほどであった。肺炎球菌ワクチンの併用も高齢者施設等での効果判定検討を開始した。

結論

ワクチンの有効性と安全性を確保するための基礎研究が進み、臨床・疫学研究では情報の収集と発信のためのネットワークを用いた全国的調査により、ワクチンの開発・改良と接種率の向上のための研究と分析が行われ、実施上の要望も取りまとめられた。

公開日・更新日

• 公開日: 2009-07-24
• 更新日: -