依存性薬物および未規制薬物による神経毒性と精神病の発現機序に関する研究

文献情報

文献番号
200501083A
報告書区分
総括
研究課題名
依存性薬物および未規制薬物による神経毒性と精神病の発現機序に関する研究
課題番号
H16-医薬-029
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
鍋島 俊隆(名古屋大学大学院医学系研究科・医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 谷内 一彦(東北大学大学院医学系研究科・機能薬理学)
  • 曽良 一郎(東北大学大学院医学系研究科・精神神経生物学)
  • 岩村 樹憲(岐阜薬科大学・薬化学)
  • 山本 経之(九州大学大学院・薬効解析学(H18/4月より長崎国際大学))
  • 舩田 正彦(国立精神神経センター・薬物依存研究部)
  • 金子 周司(京都大学大学院薬学研究科・生体機能解析学)
  • 池田 和隆(東京都精神医学総合研究所・精神神経病態学)
  • 糸川昌成(東京都精神医学総合研究所・統合失調症研究部門)
  • 西川 徹(東京医科歯科大学医学部・精神行動医科学)
  • 野田 幸裕(名城大学薬学部 )
  • 山田 清文(金沢大学大学院・自然科学研究科)
  • 氏家 寛(岡山大学大学院・医歯薬学総合研究)
  • 伊豫 雅臣(千葉大学医学部・精神医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
26,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
未規制薬物や規制薬物[覚醒剤(メタンフェタミン:MAP)やMDMA]の依存および精神行動障害動物モデルを用いて、依存および精神行動障害に関与する各種神経系について行動、神経画像、生化学および分子生物学的な解析研究を推進する。基礎研究に加え、臨床研究としてMAP、MDMAおよび未規制薬物の精神病患者や乱用者を対象とした実態調査、依存重症度の評価方法の構築、神経画像や遺伝子解析などの研究をさらに進め、これら薬物に対する依存や精神毒性の発生機序や精神病の発症脆弱性を分子生物学的なレベルでさらに解明する。
研究方法
基礎研究は鍋島俊隆(名古屋大学)が7名の分担研究者の責任者となり、臨床研究は曽良一郎(東北大学)が6名の分担研究者の責任者となり、2グループが合同会議を持ちながら研究を進めていく方針である
結果と考察
基礎研究: 5-MeO-DIPTの抽出やMDMAの合成法が確立し、MAP、MDMAや5-MeO-DIPTの依存および神経毒性に関する動物モデルでの行動、生化学および分子生物学的な研究を統合し、それらの発現機序を分子生物学的レベルで解明した。MAPやMDMAによる精神障害モデル動物を確立し、これらの分子機序として関与する分子系作用機序を見出した。抗うつ薬がMAPによる嗜好性を減ずる事を確認し、臨床現場での有効性を検証中である。MDMAによる精神障害の分子機序を調べるための実験系も樹立された。現在MAPとMDMAあるいは5-MeO-DIPT投与後の脳内遺伝子発現の変化が解析され、未規制薬物である2CT7によりGILZ mRNA 発現レベルが増加することが確認された。
臨床研究:実態調査研究において5MeO-DIPT、5MeO-MIPTや未知のトリプタミン系剤の覚醒剤として売買されていることを確認し、FZD-3遺伝子の関与が見出された。評価システムの構築などより、収集された薬物依存患者のデータが標準化された
結論
平成17年度は、初年度に引き続き、多くの研究成果が得られた。平成18年度は本研究の最終年度であるが、これまでと同様に基礎研究と臨床研究グループが合同会議を持ちながら研究を進めていき、未規制薬物および規制薬物の依存と長期乱用による神経毒性の発生に係わる病態を分子生物学的に解明し、新たな予防・治療法の開発と国際的な依存・乱用防止の啓発に役立て、これまでの研究成果を社会に還元できる機会を設ける予定である

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
-