製薬企業及び医療機関における日米EU医薬品規制調和会議(ICH)医薬品規制用語集の適用に関する研究

文献情報

文献番号
200501079A
報告書区分
総括
研究課題名
製薬企業及び医療機関における日米EU医薬品規制調和会議(ICH)医薬品規制用語集の適用に関する研究
課題番号
H16-医薬-053
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
開原 成允(財団法人医療情報システム開発センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 美保子(川崎医療福祉大学)
  • 小出 大介(東京大学)
  • 古川 裕之(金沢大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
7,512,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,製薬企業,行政,医療機関等の間で,医薬品の安全性情報が円滑に行き来でき,医療分野における安全性情報の効果的な利用をはかることを目的として,平成15年度より3年計画で1.医薬品規制用語集の問題と,2.医療機関における電子的安全性報告の問題の二つを大きな柱として,研究に取り組むこととした.
研究方法
1.医薬品の規制の場における,MedDRAの国際標準用語集としての位置付けと,他の標準用語集との関連及び医薬品表示との関連について検討課題を整理する.2.大学病院医療情報ネットワーク(UMIN:University Hospital Medical Information Network)を利用した電子的副作用報告システムを開発する。
結果と考察
MedDRA用語集のデータ互換については米国内の関係者を主体に検討作業が進められる予定であるが,電子化医療情報の検討に関しても国際化,国際標準が真剣に検討されている.SNOMEDとその期待される機能,MedDRAとのデータ互換を含む関連について調査・研究を継続することは極めて重要なことと考えている.②UMINの報告システムから直接国の電子的副作用報告のゲートウェイに送られれば,面倒な電子的認証も必要ないと思われる.本システムではタイムラグがなく,機構からは得られない医療機関からの直接報告を閲覧できる.
結論
医薬品の規制の場における国際標準用語集としてのMedDRAの位置付けが明確になるにしたがって,他の標準用語集との関連を含めて利用方法に関する要求が多様になってきている.本年度は,特に MedDRAとSNOMED,CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)との関連,および医薬品表示との関連について,検討課題の整理を行った.実質的内容の検討は今後の課題であるが,医療情報全般の電子化,国際化,標準化との関係において,ICHで開発された国際医薬用語集MedDRAの現在の位置づけと,今後の検討の方向性の一部を示唆することができたと考える.医療機関における医薬品安全性報告の問題に関しては,UMINを利用したWeb型の個別症例安全性情報システムを開発することにより、製薬企業,行政,医療機関等の医療分野の関係組織間で,医薬品の安全性情報が円滑に行き来できるための基盤の一翼を担うものと考える.

公開日・更新日

公開日
2010-07-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200501079B
報告書区分
総合
研究課題名
製薬企業及び医療機関における日米EU医薬品規制調和会議(ICH)医薬品規制用語集の適用に関する研究
課題番号
H16-医薬-053
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
開原 成允(財団法人医療情報システム開発センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 美保子(川崎医療福祉大学 )
  • 小出 大介(東京大学)
  • 古川 裕之(金沢大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療関係組織の間で円滑に安全性情報が流れるための基盤を構築することを目的として,①医薬品規制用語集の問題と,②医療機関における電子的安全性報告の問題の研究を行う。
研究方法
医薬品の規制の場におけるMedDRAの国際標準用語集との互換性などについてマッピングテーブルを作成して国際標準用語集としてのMedDRAの利用方法を含めた位置付を検討する。UMINを利用した個別症例安全性報告システムとして 大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)を基盤とした医療機関からの症例安全性情報の導出システムを開発し、国内における電子安全性報告制度上の問題について検討する.特に,小規模診療施設における安全性情報の作成・蓄積,利用支援を目的として,ソフトウェアシステムを開発し、データ構造やヒューマンインターフェース等について情報工学的観点から研究を行う.
結果と考察
MedDRAの国際標準用語集としての役割について,他の用語集とのデータ互換、整合性の要望が高まっている。医薬品表示については医薬品の副作用/有害事象症例のデータベース記述にMedDRAが標準用語集として広く利用されている現状から,MedDRAと医薬品表示の間には合理的で,整合性があり説明可能な関係があるべきで,その標準化が検討されるべきと考えられる.UMINを利用した個別症例安全性報告システムによって企業が把握できていない副作用を早期に発見できる可能性もある.これまでにない機能として,医療機関同士が特定の薬剤による副作用がどれだけおきているのか確認でき,お互いに連絡を取り合うことができる.またUMIN上で一般に公開されるデータを用いてデータマイニング等によりさらに大局的に早期に副作用の危険性をシグナル検出として行えることから薬剤疫学的な研究が国内でも発展できる可能性がある.
結論
標準病名マスタとMedDRA/Jについて,①標準病名のリードタームの約88%をMedDRA/Jに変換する“一定以上”の品質を持つマッピングテーブルの作成には方向性、利用目的が重要で,利用の可能性が高いと考えられ、副作用記述データの変換に特化することにより,精度を上げることが期待できる.③標準病名マスタの病名表記(リードターム)からMedDRA/Jの下層語(LLT)へのマッピングは,将来の両用語集のバージョンアップへの対応として合理的である。病院情報システムが稼動している場合,患者基本情報,診療情報などが日常診療を通じて既に電子化され蓄積されている情報を安全性報告が必要になった時点で有効に活用することで,迅速かつ正確な安全性報告を遂行することができると考えられる.

公開日・更新日

公開日
2010-07-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501079C

成果

専門的・学術的観点からの成果
標準病名集とMedDRA/Jの関連を明らかにした。これにより、医療機関、製薬企業、行政を通じて医薬品の安全性に関わる用語の相互利用性が向上する。また、医療機関からの医薬品個別症例安全性報告(ICSR)の発信と共有をはかるためのシステムをUMINのインフラとして開発した。医療機関等からの安全性報告の電子化の方法を、実証実験を通じて検証することにより、医療の現場からの安全性情報の流れを促進できると期待される。
臨床的観点からの成果
治験薬の安全性情報について、製薬企業から医療機関への情報伝達の問題点が明確になり、治験だけではなく市販後における一般診療で得られたイベントなど、医療分野における安全性情報の共通利用性を高め、スムーズな安全性情報の流れ、高度な安全性情報の活用、医療従事者への質の高い安全性情報のフィードバックを促し、国全体の医薬品の安全性向上に寄与することが期待される。
ガイドライン等の開発
MedDRA/Jと、ICD-10対応電子カルテ用標準病名マスター(標準病名マスター)の間で情報交換が一部可能であることが明確になり、今後精度を上げていくことにより利用できると考えられる。今後の行政における用語の整備に貢献できると期待される。
その他行政的観点からの成果
国際的動向を視野にいれた製薬企業から行政に向けた電子書式の安全性報告が進むなか、医療機関からの医薬品安全性報告の電子的伝達の方法について電子仕様、プロトコルを作成し実証実験を行って問題点等明確にし、本格導入が期待される。
その他のインパクト
医療情報学連合大会において報告

発表件数

原著論文(和文)
1件
小規模医療施設向け電子副作用報告処理システムの開発
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
7件
臨床試験における安全性情報の効率的な提供システムの構築、治験中に報告される有害事象の取り扱い、
その他論文(英文等)
1件
Management of information about Adverse Events in Clinical Trial,Jpn
学会発表(国内学会)
1件
電子副作用報告処理システムの開発-データモデルに基づいた検索機能を中心として-
学会発表(国際学会等)
1件
Esubmission and eCTD-regulatory updates from Japan
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
開原成允、岡田美保子、小出大介他
小規模医療施設向け電子副作用報告処理システムの開発
医療情報学 , 24 (24) , 778-779  (2004)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-