バイオテクノロジー応用食品の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200501062A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオテクノロジー応用食品の安全性確保に関する研究
課題番号
H15-食品-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
長尾 拓(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 米谷 民雄(国立医薬品食品衛生研究所 )
  • 小関 良宏(東京農工大学)
  • 手島 玲子(国立医薬品食品衛生研究所 )
  • 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
51,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、バイオテクノロジーを応用した食品の安全性確保のための科学的知見の蓄積、当該食品の検知法の確立及びリスクコミュニケーション等に関する調査研究を行い、遺伝子組換え食品の安全性のより一層の確保を目的とする。

研究方法
遺伝子組換え植物の遺伝的安定性では、遺伝子組換え作物の後代交配種におけるポストゲノム解析することを目的として、大豆のプロテオーム、トランスクリプトープ、メタボローム解析基盤の整備を行った。組換え食品の検知法に関する研究では、安全性審査の終了した遺伝子組換えとうもろこしの定量法の開発、安全性審査未了の2系統の遺伝子組換え食品の定性検査法の開発を行った。アレルギー性に関する安全性評価手法の開発では、エピトープ情報を加味し、検索機能も持つ新規統合型アレルゲンデータベース(ADFS)の更新を行った。また、マウス経口感作による食物アレルギー動物モデルの開発、改良を行った。ラットへの遺伝子組換えとうもろこしの混餌投与による慢性毒性試験では、2年の期間の投与が終了し、血液化学検査、剖検による検査等の集計を行った。また、遺伝子組換え食品の動向調査として、リスクコミュニケーション、組換え微生物、遺伝子組換え魚、GM薬用植物等に関して、現状の把握を行った。
結果と考察
遺伝子組換え植物の遺伝的安定性では、特にFT-ICRMSを用いた大豆のメタボローム解析において、プロファイルの比較解析が可能となった。遺伝子組換え食品の検知に関する試験法の確立では、安全性審査未了の2系統の組換え食品の定性検査法を開発し、公定検査法として公開した。アレルギー性に関する研究では、新規アレルゲンデータベースの衛研ホームページ上への立ち上げ、更新を行った。ラットへの2年の慢性毒性試験では、遺伝子組換えとうもろこしを摂取したためと考えられる毒性学的に意義のある異常所見は観察されておらず、重大な毒性(発がん等)を引起さないと考えられた。遺伝子組換え食品の動向調査では、リスクコミュニケーションに関して、わかりやすい情報提供を行うための具体的な提案を行った。

結論
バイオテクノロジー応用食品については、安全性に関する研究を中心に、当該食品の検知に関する試験法の確立及びリスクコミュニケーション等に関する動向調査を持続するとともに、透明性を確保しつつ、より一層の安全確保、消費者の不安解消に努める必要があると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200501062B
報告書区分
総合
研究課題名
バイオテクノロジー応用食品の安全性確保に関する研究
課題番号
H15-食品-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
長尾 拓(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 米谷民雄(国立医薬品食品衛生研究所 )
  • 小関良宏(東京農工大学)
  • 手島玲子(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 菅野純(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、バイオテクノロジーを応用した食品の安全性確保のための科学的知見の蓄積、当該食品の検知法の確立及びリスクコミュニケーション等に関する調査研究を行い、遺伝子組換え食品の安全性のより一層の確保を目的とする。
研究方法
遺伝子組換え植物の遺伝的安定性では、遺伝子組換え作物の後代交配種におけるポストゲノム解析することを目的として、大豆のプロテオーム、トランスクリプトープ、メタボローム解析基盤の整備を行った。組換え食品の検知法に関する研究では、安全性審査の終了した遺伝子組換え食品の定量法の開発、ハイブリッド品種の定性検査のための1粒毎試料調整法の開発、安全性審査未了の遺伝子組換え食品の定性検査法の開発を行った。アレルギー性に関する安全性評価手法の開発では、エピトープ情報を加味し、検索機能も持つ新規統合型アレルゲンデータベース(ADFS)の立ち上げ・更新を行った。また、マウス経口感作による食物アレルギー動物モデルの開発、改良を行った。ラットへの遺伝子組換えとうもろこしの混餌投与による慢性毒性試験では、2年の期間の投与が終了し、血液化学検査、剖検による検査等の集計を行った。また、遺伝子組換え食品の動向調査として、3年間にわたりリスクコミュニケーション、組換え微生物、遺伝子組換え魚、GM薬用植物等に関して、現状の把握を行った。
結果と考察
遺伝子組換え植物の遺伝的安定性では、特にFT-ICRMSを用いた大豆のメタボローム解析において、プロファイルの比較解析が可能となった。遺伝子組換え食品の検知に関する試験法の確立では、安全性審査未了の2系統の組換え食品の定性検査法を開発し、公定検査法として公開した。アレルギー性に関する研究では、新規アレルゲンデータベースの衛研ホームページ上への立ち上げ、更新を行った。ラットへの2年の慢性毒性試験では、遺伝子組換えとうもろこしを摂取したためと考えられる毒性学的に意義のある異常所見は観察されておらず、重大な毒性(発がん等)を引起さないと考えられた。遺伝子組換え食品の動向調査では、リスクコミュニケーションに関して、わかりやすい情報提供を行うための具体的な提案を行った。
結論
バイオテクノロジー応用食品については、安全性に関する研究を中心に、当該食品の検知に関する試験法の確立及びリスクコミュニケーション等に関する動向調査を持続するとともに、透明性を確保しつつ、より一層の安全確保、消費者の不安解消に努める必要があると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501062C

成果

専門的・学術的観点からの成果
  遺伝子組換え作物の安全性研究の中では、後代交配種におけるポストゲノム解析で、大豆のメタボローム解析がFT-ICRMSを用いることで可能となったこと、及び、エピトープ情報を加味したアレルゲンデータベースの立ち上げを行なったことが、学術的な大きな成果である。また、検知技術の開発研究では、新たにスタック品種の混入率の検査のための一粒毎の定性検査法を開発したことが、学術的に大きな成果と考えられる。
臨床的観点からの成果
特になし
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
 安全性審査未了の2系統の組換え食品(Bt10, Bt rice)の定性検査法を開発し、公定検査法として公開した。また、当所で開発したアレルゲンデータベース(ADFS)が、食品安全委員会の遺伝子組換え食品等専門調査会(H17.4.25)の審査において、既存のアレルゲンとの相同性を調べるためのデータベースの一つとして活用された。
その他のインパクト
 平成16年1月27日、2月13日に、日本食品衛生協会主催のシンポジウム「食品の安全性をめぐって」において、「組換えDNA食品の安全性」の題目で、本研究班の研究内容について、一般向けの講演がなされた。

発表件数

原著論文(和文)
7件
原著論文(英文等)
35件
国内雑誌--20件、国外雑誌--15件
その他論文(和文)
15件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
66件
学会発表(国際学会等)
11件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
安全性審査未了の2系統の組換え食品(Bt10, Bt rice)の定性検査法を開発し、公定検査法として公開
その他成果(普及・啓発活動)
2件
H16.1.27, H16.2.13; 「食品の安全性をめぐって」-「組換えDNA食品の安全性」講演 H18.2.2:「健康と環境を考える」--「遺伝子組換え食品の安全性」講演

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
五十君 静信
Codexにおける遺伝子組換え微生物利用食品の安全性に関するガイドライン作り
日本乳酸菌学会誌 , 14 , 89-93  (2003)
原著論文2
Ogasawara, T., Arakawa F., Akiyama H.他
Fragmentation of DNAs of processed foods made from genetically modified soybeans.
Jpn.J.Food Chem. , 10 , 155-160  (2003)
原著論文3
Okunuki, H., Teshima R., Harikai N.他
Oral sensitization of W/W (V) mice with ovalbumin and possible involvement of the decrease in gammadelta-Tcells.
Biol.Pharm.Bull , 26 , 1260-1265  (2003)
原著論文4
Takagi, K., Teshima R., Okunuki H.他
Comparative Study of in Vitro Digestibility of Food Proteins and Effect of Preheating on the Digestion
Biol.Pharm.Bull , 26 , 969-973  (2003)
原著論文5
Ogasawara, T., Kuribara H., Mishima T.他
Genomic DNA fragmentation of genetically modified corn during food processing.
Jpn. J. Food Chem. , 11 , 137-144  (2004)
原著論文6
Watanabe, T., Kuribara H., Mishima T.他
New qualitative detection methods of genetically modified potatoes.
Biol.Pharm.Bull , 27 , 1333-1339  (2004)
原著論文7
手島 玲子
組換えDNA食品の安全性
食品衛生研究 , 54 , 11-16  (2004)
原著論文8
Wakui, C., Akiyama H., Watanabe T.他
A Histochemical method using a substrate of β-glucuronidase for detection of genetically modified papaya.
J. Food Hygienic. Soc. Japan , 45 , 19-24  (2004)
原著論文9
Ogasawara, T ,Chikagawa Y., Arakawa F.他
Frequency of Mutations of the Transgene, which might Result in the Loss of the Gyphosate-Tolerant Phenotype, was Lowered in Rounup Ready Soybeans.
J. Health Sci. , 51 , 197-201  (2005)
原著論文10
Sasaki, K., Umetsu H., Yamada A.他
Construction of ELISA System to Detect NPTII Protein in Genetically Modified Foods
Jpn. J. Food Chem. , 12 , 140-144  (2005)
原著論文11
Akiyama, H., Watanabe T., Wakabayashi K.他
Quantitative Detection System for Maize Sample Combined-Trait Genetically Modified Maize
Anal. Chem. , 77 , 7421-7428  (2005)
原著論文12
菊地 博之 他
遺伝子組換えパパイヤ(55-1)定性検査法を対象とした外部精度管理試験結果の解析
食品衛生学雑誌 , 46 , 21-27  (2005)
原著論文13
渡邉 敬浩
未承認遺伝子組換えトウモロコシ(Bt10系統)の検知技術について
食品衛生学雑誌 , 46 , 223-227  (2005)
原著論文14
Nakamura, R.,Teshima R., Takagi K.他
Development of allergen database for food safety (ADFS): as integrated database to search allergens and predict allergenicity.
Bull. Natl.Inst.Health Sci.  , 123 , 32-36  (2005)
原著論文15
Okunuki, H., Teshima R., Sato Y.他
The hyperresponsiveness of W/Wv mice to oral sensitization is associated with a decrease in TCRγδ-T cells.
Biol.Pharm.Bull , 28 , 584-590  (2005)
原著論文16
Takagi, K.,Teshima R., Okunuki H., 他
Kinetic Analysis of Pepsin Digestion of Chicken Egg White Ovomucoid and Allergenic Potential of Pepsin Fragments.
Int Arch Allergy Immunol. , 136 , 23-32  (2005)
原著論文17
Yoshimura, T.他
Applicability of the Quantification of Genetically Modified Organisms to Foods Processed from Maize and Soy.
J. Agric. food chem. , 53 , 2052-2059  (2005)
原著論文18
吉松 嘉代 
薬用遺伝子組換え植物の開発・生産に関する最近の動向
医薬品研究 , 37 , 169-188  (2006)
原著論文19
Takagi,K. 他
Improved ELISA method for screening human antigen-specific IgE and its appliacation for monitoring IgE specific for novel proteins in genetically modified foods.
Regul. Toxicol. Pharmacol.   , 44 , 182-188  (2006)
原著論文20
Teshima, R. 他
Effect of Oral Administration of CpG ODN-OVA on WBB6F1-W/Wv Mice.
Allergology International  , 55 , 43-48  (2006)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-