コンフォメーション特異的抗体による簡便で高精度なBSE診断法の開発研究

文献情報

文献番号
200501061A
報告書区分
総括
研究課題名
コンフォメーション特異的抗体による簡便で高精度なBSE診断法の開発研究
課題番号
H17-食品-016
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
橋口 周平(鹿児島大学工学部生体工学科)
研究分担者(所属機関)
  • 杉村 和久(鹿児島大学 工学部)
  • 伊東 祐二(鹿児島大学 工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
プリオン病の診断は現在、プロテアーゼ処理後に、試料中に残ったプリオン蛋白を検出する方法が利用されているが、感染性プリオンだけに直接結合する抗体を作製することは、診断法の簡便化、生前診断を確立する上で重要である。本研究では、プリオンの直接検出によるプリオン病の診断法を確立するため、ヒト抗体ファージライブラリーを用いて、感染性プリオンのコンフォメーションを識別する抗体を作製することを具体的達成目標とした。
研究方法
組み換えプリオン蛋白を用いて、感染性プリオンと同様の構造を持つと推定されるβシート構造にフォールドされたβシート型プリオン蛋白を作製した。ヒト一本鎖抗体ファージライブラリーと反応させパンニングを行った。
結果と考察
遺伝子組み換えヒトプリオン分子(aa23-231)からβシート型プリオン蛋白(β-PrP)を作製、CDスペクトル解析によりそのコンフォメーションを確認した。作製したβ-PrPはプロテアーゼ抵抗性を示し、原子間力顕微鏡解析により、この分子はオリゴマーであることを明らかにした。このβ-PrP分子にヒト抗体ファージライブラリを直接反応させ、β-PrP特異的ヒト一本鎖抗体を単離した。これらの抗体は、β-PrPに特異的結合するがα-PrPには結合しない。さらにWestern blotting解析を行ったところ、SDS-PAGE後のプリオン蛋白との反応性は認められないことから、単離した抗体は立体構造を認識する抗体であり、コンフォメーション特異的抗体であると考えられた。
結論
ファージライブラリー法を用いて、プリオン分子のコンフォメーションをスナップショットする特異的抗体を作製する手法が確立できたので、現在、プリオンオリゴマー、プリオンファイバーや感染材料由来のプリオン蛋白を用いて、様々なコンフォーマーに特異的な抗体パネルの作製を実施している。これらの抗体の中から、感染材料を用いて、感染性プリオンだけを見分ける抗体を選別し、高感度な診断法開発を試みる。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-