放射線照射食品の検知技術に関する研究

文献情報

文献番号
200501058A
報告書区分
総括
研究課題名
放射線照射食品の検知技術に関する研究
課題番号
H17-食品-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
宮原 誠(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 後藤典子(東京都立皮革センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国においてジャガイモの芽止め以外への放射線食品照射は禁止されている。近時、輸入食品の中にこれを疑わせる食品が見つかるとの報告が散見される。一方、我が国ではこれに必要な試験法が未整備である。輸入食品の厳正な管理のために放射線照射食品の検知法の確立が望まれる。そこで、香辛料や乾燥野菜等を中心に熱発光法(TL法)や微生物学的試験法を検討した。
研究方法
香辛料等の定義 検討試料の範囲を決めるために、外国の政府や我が国の関連業界団体から、香辛料等のリストと一部の規格を入手した。
照射試料の作成 業界団体の協力を得て試料を入手し、コバルト60のガンマ線あるいは10MeVの電子線を用いて照射試料を作成した。線量管理等を行い再現性の向上に努め、吸収線量は英国のNPLへトレーサブルとし信頼性を確保した。
標準線量照射 必要な照射場を持っている放射線利用振興協会等に依頼し、再現性・信頼性の高い実験を行った。
微生物試験 標準的な生菌数と芽胞菌の検査方法を中心に改良を加え用いた。
TL試験法 食品に付着している鉱物質の抽出・精製方法と高線量照射された場合の挙動等を調べ、照射食品の検出用に標準手順書を作成した。酵素を用いて熱発光法の妨害となる有機物の除去も試みた。
結果と考察
TL用試料の採取量を100gに設定し10種類程度の香辛料等から試験に必要な鉱物量を得た。鉱物の回収率は50?130%であった。発光量は経時的に減衰するが、数ヶ月後に検知可能であった。10%程度の照射試料が非照射試料に混入しても検知可能であった。そのほか、TL試料皿の形状、TL装置の温度校正、アニーリングの影響、標準線量添加量の影響、照射装置の線源の影響等を検討し結果を得た。
微生物法については、細菌数が標準寒天培地で103/g以下であり、5%食塩加標準寒天培地で標準寒天培地の細菌数と同等又はそれ以下、芽胞数が102/gレベル以下および大腸菌群が検出されない場合は、その試料は7kGy以上で照射された可能性が高いことが判明した。
結論
TL法は極めて近い将来行政需要に見合った試験法が確立できると予想されるが、共同実用実証試験など微調整が必要である。微生物試験はスクリーニング法として利用可であるが、さらに的確な判断をするために培地等を検索する必要がある。この二つの方法により、放射線照射香辛料等の検知が的確に可能である。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
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