文献情報
文献番号
200501043A
報告書区分
総括
研究課題名
反復投与毒性や発がん性試験等の実施による既存添加物の安全性に関する研究
課題番号
H17-食品-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所病理部)
研究分担者(所属機関)
- 田中 卓二(金沢医科大学腫瘍病理)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ヒトでの長期摂取による食品健康影響を視野においた基本的安全性の評価を目的に、長期毒性試験などの実施による安全性の検討が必要な既存添加物のうち、変異原性試験及び90日間反復投与毒性試験の成績から発がん性を否定できない酸化防止剤2品目(トコトリエノールとフェルラ酸)について、慢性毒性/発がん性併合試験を実施した。動物実験自体は、同様の厚生労働科学研究班(西川班)において、平成15年度から開始されており、本研究班で試験を完了し、これら懸念物質の安全性確認を急ぐこととした。この成果に基づき、安全性に問題があると判明した場合には使用禁止等とすることにより、国民の食、特に既存添加物に対する不安に応えることができるようになるものと考える。
研究方法
動物実験は食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針に従って実施した。雌雄のラットに、パーム油由来のビタミンE混合物を精製したトコトリエノール及び米糠原油より抽出・精製したフェルラ酸を基礎食に混ぜて1年間ないし2年間与えた。90日間反復投与毒性試験の結果に基づいて、投与濃度はトコトリエノールの慢性毒性試験では2%、0.4%、0.08%及び0%(対照群)の4段階とし、がん原性試験では2%、0.4%及び0%の3段階とした。同様に、フェルラ酸の慢性毒性試験及びがん原性試験では、2%、1%、0.5%及び0%の4段階とした。慢性毒性試験では、血液学的検査及び血清生化学的検査を実施し、がん原性試験を含めて、諸臓器の肉眼的観察、重量測定及び病理組織学的検索を行った。死亡動物および瀕死動物についても剖検し、できる限り死因を特定した。
結果と考察
ラットを用いたラットを用いたトコトリエノールの慢性毒性及び発がん性併合試験を実施した結果、慢性毒性試験より、雌雄の最高用量2%群に造血臓器及び肝臓に対する影響が示唆され、病理組織学的に肝海綿状変性が認められたことから、無毒性量は雌雄ともに0.4%と考えられた。また、発がん性試験より、トコトリエノールの2%投与群の雌雄に肝腫瘍の発生増加が認められた。一方、ラットを用いたフェルラ酸の慢性毒性及び発がん性併合試験を実施した結果、慢性毒性試験では、最高用量の2%投与群においても投与に起因する顕著な毒性影響は認められず、無毒性量は雌雄ともに2%と考えられた。また、フェルラ酸の発がん性は認められなかった。
結論
ラットを用いた慢性毒性及び発がん性併合試験において、トコトリエノールの無毒性量は雌雄ともに0.4%と考えられ、2%投与群に肝腫瘍の発生増加が認められた。一方、フェルラ酸の無毒性量は雌雄ともに2%と考えられ、発がん性は認められなかった。
公開日・更新日
公開日
2006-10-10
更新日
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