食品を介する家畜・家禽疾病のヒトへのリスク評価及びリスク管理に関する研究

文献情報

文献番号
200501041A
報告書区分
総括
研究課題名
食品を介する家畜・家禽疾病のヒトへのリスク評価及びリスク管理に関する研究
課題番号
H15-食品-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山田 章雄(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 品川邦汎(岩手大学 農学部)
  • 中澤宗生((独)動物衛生研究所 安全性研究部ズーノーシス研究室)
  • 春日文子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部第3室)
  • 岸本壽男(国立感染症研究所 ウイルス第1部第5室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
獣畜・家禽の感染症のうちヒトに感染するが、現時点では行政的対応のなされていないものを明らかにし、食品を介した感染リスクを評価することを目的とした。また、Q熱が鶏卵を介してヒトに健康被害をもたらす可能性があるか否かについて最終的な結論を出すことを目的とした。
研究方法
文献検索システムを用いた。Q熱に関しては昨年度開発した抽出法を用いて市販の鶏卵から得られたDNAを対象とした。
結果と考察
炎症等のうち感染症を原因とし、食品を介してヒトが感染する可能性を否定できず、かつ現行法による対応のとられていない疾患について精査した結果、カンピロバクター症以外については、適切な部分廃棄が行われれば、食肉に起因するヒトの感染発症リスクは低いと考えられた。また、家畜伝染病予防法には規定がなく畜産物を介しヒトに感染する病原体のうち、行政対応の明らかでないクリプトスポリジウム症、仮性結核、エンテロトキセミア、エルシニア症についてリスクを検討した結果、エルシニア症、エンテロトキセミアには管理が必要であることが明らかになった。部分廃棄における除去範囲に関して、何らかの標準化が必要であると考えられた。市販の卵におけるQ熱リケッチアの汚染に関しては、汚染の可能性を指摘した民間機関が公開している方法でも全てが陰性であった。
結論
エルシニア、クロストリジウム、カンピロバクターに関しては生産段階、流通過程における総合的汚染防止処置が重要であると考えられる。鶏卵のQ熱汚染の可能性については公衆衛生上の問題となるような事実は得られなかった。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200501041B
報告書区分
総合
研究課題名
食品を介する家畜・家禽疾病のヒトへのリスク評価及びリスク管理に関する研究
課題番号
H15-食品-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山田 章雄(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 品川 邦汎(岩手大学 農学部)
  • 中澤 宗生((独)動物衛生研究所 安全性研究部ズーノーシス研究室)
  • 春日 文子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部第3室)
  • 岸本 壽男(国立感染症研究所 ウイルス第1部第5室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
獣畜・家禽の感染症のうちヒトにも感染する感染症をリストアップし、現時点で行政的対応未実施のものを明らかにし、そのヒトへの感染リスクを評価する。と畜場、食鳥処理場で部分廃棄される疾病のうち、感染症に起因するものを明らかにし、部分廃棄の妥当性を検討すること、並びに現場の実情把握をする。鶏卵がQ熱リケッチアで汚染しているとする一部の指摘の妥当性を検証する。
研究方法
文献検索によりリスク評価を行った。感度、精度の高いQ熱核酸抽出法、遺伝子検出法を開発し、市販の鶏卵からの病原体遺伝子検出を試みた。更に再現した民間機関の検出法による遺伝子検出も試みた。
結果と考察
獣畜及び家禽の感染症のうち家畜伝染病予防法(家伝法)には規定があるが、と畜場法および食鳥処理法でで何ら規定のない疾患ならびに病変が限局していれば部分廃棄と規定されている疾患について、ヒトへの感染リスクを検討した結果、19疾患がヒトにも感染することが明らかになった。更に炎症等の病変で感染症を原因とししかもヒトが感染する可能性を否定できず、現行法による対応のない感染症には、牛のノカルジア症、めん羊・山羊のウェッセルスブロン病、豚の豚インフルエンザと日本脳炎、カンジダ症およびニューモシスティス・カリニ症、家禽のカンピロバクター症が該当することを明らかにした。これらを精査した結果、カンピロバクター症以外については適切な部分廃棄によりヒトの感染発症リスクは低下すると考えられた。また、家伝法には規定がなく畜産物を介してヒトが感染するリステリア症、Q熱、サルコシスティス症、クリプトスポリジウム症、エルシニア症、仮性結核、エンテロトキセミアのうち行政対応の明らかでない後4者について検討した結果、エルシニア症は十分なリスク管理が必要であり、また、エンテロトキセミアもブタ腸管を食材とする場合などの管理が重要であることが明らかになった。また、と畜検査員へのアンケートから、部分廃棄における除去範囲が統一されておらず何らかの標準化が必要であると考えられた。一方、市販の鶏卵がQ熱リケッチアで汚染しているとする指摘に関しては、我々が開発した手法のみならず、民間機関が公開している方法でも、市販鶏卵の汚染は確認できなかった。
結論
食肉に存在する可能性のあるエルシニア、クロストリジウムに関しては何らか管理が必要である。鶏カンピロバクター症も、総合的な汚染の拡大防止処置が重要であると考えられる。鶏卵のQ熱汚染の可能性については公衆衛生上・食品衛生上の問題となるような汚染の事実は認められなかった。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-10-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501041C

成果

専門的・学術的観点からの成果
畜産物を介した感染症についてのリスクを評価するための科学的基礎となるデータを論文島から注すつづることができた。
臨床的観点からの成果
該当しない
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
と畜場法施行規則及び食鳥処理法施行規則改正に際しての食品安全委員会における議論に資料として使用された。
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Setiyono A, Ogawa, M, Cai, Y et al
New criteiria for immunofluorescence assay for Q fever diagnosis in Japan.
J. Clin. Microbiol. , 43 , 5555-5559  (2005)
原著論文2
Kijima-Tanaka, M, Ishihara, K., Kojima, A et al
A national surveillance of Shiga toxin-producing Escherichia coli in food-producing animals in Japan.
J. Vet. Med. B , 52 , 230-237  (2005)
原著論文3
岸本寿男、小川基彦、安藤秀二
呼吸器感染症の最新診断法の評価ーQ熱
呼吸内科 , 7 , 40-47  (2005)
原著論文4
中澤宗生、秋庭正人
動物における腸管出血性大腸菌の疫学
化学療法の領域 , 20 , 1320-1327  (2004)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-