既存添加物の発がん性等に関する研究

文献情報

文献番号
200501039A
報告書区分
総括
研究課題名
既存添加物の発がん性等に関する研究
課題番号
H15-食品-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
神谷 研二(広島大学原爆放射線医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 三森 国敏(東京農工大学大学院 共生科学技術研究部)
  • 関田 清司(国立医薬品食品衛生研究所 毒性部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
42,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
既存添加物は、平成7年食品衛生法の改正時に経過措置として使用が認められたもので、科学的な安全性データに欠けるものが少なくない。既存添加物489品目のうち109品目については安全性評価が必要である。本研究では、ホコッシ抽出物、ルチン酵素分解物、及びジャマイカカッシア抽出物を選定しこれらの1年間反復投与毒性試験、並びにホコッシ抽出物の発がん性試験を実施した。その結果を厚生労働行政に反映することで、我国独特のものが多い既存添加物の安全性確保を目指す。
研究方法
1年間反復投与毒性/発がん性併用試験は,国立医薬品食品衛生研究所で確立されているプロトコールに準じて行なった。
結果と考察
ホコッシ抽出物の1年間反復投与毒性/発がん性併用試験を実施した。その結果,雄ラットで1%以上,雌ラットでは0.2%以上のホコッシ抽出物の投与で体重の増加抑制を認めたが,血液・生化学検査や病理学的検査では毒性所見を認めなかった。以上よりホコッシ抽出物の無毒性量は,雄0.2%,雌0.04%とした。また,発がん性試験の研究経過は順調である。ルチン酵素分解物では,1年間反復投与毒性試験を実施した。被験物質投与との関連を示唆する動物の死亡,体重変化,血液検査血液生化学検査及び臓器重量における異常はみられなかった。ジャマイカカッシア抽出物の1年間反復投与毒性試験を実施し,病理組織学的検査を残し試験は終了した。その結果,先に実施した90日間反復投与毒性試験と比較すると、被験物質をより長期間投与することにより、肝臓及び腎臓重量の増加はより大きな影響を受けることが明らかとなった。また副腎への影響が新たに示唆された。
試験途中にラット飼育生産施設(日本チャールス・リバー(株))での肺パスツレラ感染が発生し、一旦試験を中断した。このため試験は遅れたがその後の経過は順調で,今後,病組織学的検査結果と併せて検体の安全性を総合的に評価する。
結論
ホコッシ抽出物、ルチン酵素分解物及びジャマイカカッシア抽出物を長期間反復投与したときの影響を科学的に評価する目的で1年間反復投与毒性/発がん性併用試験を実施した。1年間反復投与毒性試験では,全ての剖検を終了した。途中にラット飼育生産施設で肺パスツレラ感染が発生したため,試験が遅れたが、その後の経過は順調であり,病組織学的検査結果と併せて検体の安全性を総合的に評価する。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200501039B
報告書区分
総合
研究課題名
既存添加物の発がん性等に関する研究
課題番号
H15-食品-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
神谷 研二(広島大学原爆放射線医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 三森 国敏(東京農工大学大学院 共生科学技術研究部)
  • 関田 清司(国立医薬品食品衛生研究所 毒性部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
既存添加物は、平成7年食品衛生法の改正時に経過措置として使用が認められたもので、科学的な安全性データに欠けるものが少なくない。既存添加物489品目のうち109品目については安全性評価が必要である。本研究では、ホコッシ抽出物、ルチン酵素分解物、及びジャマイカカッシア抽出物を選定しこれらの1年間反復投与毒性試験、並びにホコッシ抽出物の発がん性試験を実施した。その結果を厚生労働行政に反映することで、我国独特のものが多い既存添加物の安全性確保を目指す。
研究方法
1年間反復投与毒性/発がん性併用試験は,国立医薬品食品衛生研究所で確立されているプロトコールに準じて行なった。
結果と考察
ホコッシ抽出物の1年間反復投与毒性/発がん性併用試験を実施した。その結果,雄ラットで1%以上,雌ラットでは0.2%以上のホコッシ抽出物の投与で体重の増加抑制を認めたが,血液・生化学検査や病理学的検査では毒性所見を認めなかった。以上よりホコッシ抽出物の無毒性量は,雄0.2%,雌0.04%とした。また,発がん性試験の研究経過は順調である。ルチン酵素分解物では,1年間反復投与毒性試験を実施した。被験物質投与との関連を示唆する動物の死亡,体重変化,血液検査血液生化学検査及び臓器重量における異常はみられなかった。ジャマイカカッシア抽出物の1年間反復投与毒性試験を実施し,病理組織学的検査を残し試験は終了した。その結果,先に実施した90日間反復投与毒性試験と比較すると、被験物質をより長期間投与することにより、肝臓及び腎臓重量の増加はより大きな影響を受けることが明らかとなった。また副腎への影響が新たに示唆された。
試験途中にラット飼育生産施設(日本チャールス・リバー(株))での肺パスツレラ感染が発生し、一旦試験を中断した。このため試験は遅れたがその後の経過は順調で,今後,病組織学的検査結果と併せて検体の安全性を総合的に評価する。
結論
ホコッシ抽出物、ルチン酵素分解物及びジャマイカカッシア抽出物を長期間反復投与したときの影響を科学的に評価する目的で1年間反復投与毒性/発がん性併用試験を実施した。1年間反復投与毒性試験では,全ての剖検を終了した。途中にラット飼育生産施設で肺パスツレラ感染が発生したため,試験が遅れたが、その後の経過は順調であり,病組織学的検査結果と併せて検体の安全性を総合的に評価する。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501039C

成果

専門的・学術的観点からの成果
既存食品添加物ホコッシ抽出物,ルチン酵素分解物,およびジャマイカカッシアのヒトでの生涯摂取を想定した安全性を検討する為にラットを用いて慢性毒性と発がん性を評価した。その結果,血液生化学検査で軽度の変化が散見されたが毒性学的意義は無いものと考えられた。既存食品添加物は,我が国独特のものが多く,その科学的安全性に関しては世界的にもデータが無い。本研究成果は,これら既存食品添加物の国際基準での安全性を評価したもので,世界最初の科学的データである。我が国のみならず世界の食品の安全性確保に貢献する。
臨床的観点からの成果
既存食品添加物は,経過措置として,その使用が認められているものである。国会附帯決議で,既存添加物の速やかな安全性の見直しを行い,有害である場合には,使用禁止等必要な措置を講じることとされている。本研究では,既存食品添加物ホコッシ抽出物,ルチン酵素分解物,およびジャマイカカッシアの安全性評価を実施した。その結果,国際的基準で毒性的意義は少ないことが確認できた。この結果を厚生労働行政に反映することで,我国独特のものが多い既存添加物の安全性確保が可能となる。
ガイドライン等の開発
現時点でガイドラインの作製は無いが,本研究の成果やその他の既存食品添加物の安全性評価,さらには今後実施予定の安全性評価の成果を集積し,既存食品添加物の安全性について科学的根拠に基づいたガイドラインが今後作製される可能性がある。
その他行政的観点からの成果
既存食品添加物は,経過措置として,その使用が認められているものである。国会附帯決議で,既存添加物の速やかな安全性の見直しを行い,有害である場合には,使用禁止等必要な措置を講じることとされている。本研究の成果やその他の既存食品添加物の安全性評価を取り入れて,既存食品添加物の安全性について科学的根拠に基づいた安全性評価を実施する。この結果を厚生労働行政に反映することで,我国独特のものが多い既存添加物の安全性が確保できる。
その他のインパクト
高齢化社会が実現し,国民は豊かで健康な生活と共に安全・安心な社会の実現を求めるようになった。中でも,狂牛病問題に見られる様に食品の安全性に関する感心は非常に高くなっている。本研究は,既存食品添加物の安全性評価をする事で,国民の食品への不安を解消し,豊かな食生活を保証するものである。国民への普及・啓発活動の一貫として平成17年度は,2月14日(千葉会場),21日(岡山会場)に食品の安心・安全確保推進研究シンポジウム「食品と健康」が開催された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-