日本の医師需給の実証的調査研究

文献情報

文献番号
200501326A
報告書区分
総括
研究課題名
日本の医師需給の実証的調査研究
課題番号
H17-医療-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 清水 博(山形大学医学系研究科)
  • 船田 孝夫(山形大学医学系研究科)
  • 石川 雅彦(国立保健医療科学院政策科学部)
  • 種田 憲一郎(国立保健医療科学院政策科学部)
  • 平尾 智広(香川大学医学部)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院政策科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では日本の医師需給の制度を変えるか否か、特定地域、診療科の医師不足をいかに解決していくかという二つの問題を解明するためアンケート等を通じた調査を行った。
研究方法
1.医師の勤務状況調査
医師の勤務状況の現状を調査するために病院・診療所の全医師(非常勤医師・臨床研修医を含む)に調査を行った。
2.女性医師に関わる課題
1985年-2005年の文部省報告医学部入学者数と6年後の医師登録数を比較、その割合を男女別に算出した。
3.新聞記事検索の結果
医師労働に関して、Web上にて国内新聞5社の記事検索を行った。
4.医師の勤務状況・生産性の国際比較
2002年医療施設調査を用い、各病院の医師1人あたりの退院患者数と病床あたりの医師投入量の相関を分析した。仏・英・独・蘭・日の5カ国について、病院医1人あたりの担任患者数を比較した。
5.医学部調査
医学生の地元出身率を算出し、平成16年度在学者の学年、地域、性別の傾向の調査を行った。
結果と考察
1.医師の勤務状況調査
常勤医師の勤務時間は:【病院】63.3時間/週、【無床診療所】50.3時間/週、【有床診療所】54.6時間/週であった。常勤医師の内訳毎の勤務時間は:外来診療は【病院】15.3時間/週、【無床診療所】35.0時間/週、【有床診療所】33.3時間/週、入院診療は【病院】24.4時間/週、【有床診療所】5.7時間/週であった。
2.女性医師に関わる課題
女子医学生の割合は1970年の10.5%から1997年の33.8%までほぼ直線状に増加しているが、その後は32-33%台で05年の医学生女子入学者の割合は31.9%にとどまっている。
3.新聞記事検索の結果
1983年には、すでに「医師過剰」ヒット件数が増加していた。「インフォームドコンセント」は、1985年以降徐々に増え始め99年がピーク期(644件)となっていた。
4.医師の勤務状況・生産性の国際比較
300床以下の病院では、300床?400床では、1病床あたり0.3の医師の投入でピークをみた。国際比較では仏で最も高く、年間医師1人あたり150、日本84であった。外来患者数と、医師1人あたりの退院患者数には負の相関があった。
5.医学部調査
医学部在学者については、全体の地元出身者率は、全学男性で25.6%、女性は30.9%であった。
結論
医師の勤務時間は長時間であるが、診療に要した時間は約40時間で、その他の会議、研究等も大きな割合を占めていた。地元出身者率に全国で差がみられ、医師数と地元出身者率との間に関連が示唆され今後、地元出身者が出身地に残るための配慮が必要である。

公開日・更新日

公開日
2010-06-22
更新日
-