リスク管理を含めた諸外国の包括的産科管理のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200501306A
報告書区分
総括
研究課題名
リスク管理を含めた諸外国の包括的産科管理のあり方に関する研究
課題番号
H16-医療-040
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 恵(東京医科歯科大学(大学院保健衛生学研究科リプロダクティブヘルス看護学))
研究分担者(所属機関)
  • 中田 かおり(国立看護大学校(助産学・成育看護学))
  • 戸田 律子(JACE日本出版教育協会)
  • 森 昌代(森助産院)
  • 谷津 裕子(日本赤十字看護大学(看護学部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国では、医療事故に占める産科領域の割合が高く,産科領域における医療安全・リスク管理の方策を提供することは急務である。本研究は、日本における妊娠から分娩・産褥までのケアリスク管理を含めた評価システムの整備に向けた示唆をえるために、先進国の産科医療におけるインシデント、事故、苦情の報告および相談システムを含む安全管理システムの実情に関する情報収集をすることを目的とした二年間の調査であり、今年度はその二年目である。昨年度の調査で、各国の医療安全行政の概要と母子保健システムの概要が明らかになった。そこで平成17年度は周産期ケアに特化した医療安全対策と運用上の課題を明らかにすることとした。
研究方法
調査対象国は、昨年度に引き続き、母子保健指標の水準が高い先進国(英国、カナダ、ニュージーランド、フィンランド、ドイツ)と医療安全に関する先進的な取り組みが行われている米国とした。資料は、文献、ウェブ情報、および現地での有識者からのヒアリング調査により収集した。
結果と考察
その結果、対象国では、基本的に生理的過程である周産期管理は、助産師(もしくはそれに代わる看護職)による助産ケアが必須で、医師による医療はオプションであるという考え方に基づきケアシステムが整備されていた。そこで、産科医療は他の領域の医療安全対策と同様の枠組みに包含され、助産ケアの患者安全対策は、基本的には医療に準じて整備されていた。しかし助産師の個人的な専門的能力や、助産に関する苦情報告・苦情相談は、助産師独自のシステムが整備・運用されていた。さらに、苦情報告内容の分析結果から、医療者の養成課程および生涯教育の充実が必要であると考え、基礎教育の充実と生涯教育システムの整備を行っていた。
結論
日本の医療安全対策は、医療事故・インシデント・苦情などの情報収集・分析・共有システムが整備され、これからデータを蓄積し分析し、医療安全の戦略を各保健医療施設・組織に提供する土台が築かれたところである。しかし、これらのデータを医療者個人の資質向上に還元していくシステムは、周産期ケアだけでなく医療全般において、整備が十分ではないと考えられた。そこで、日本の医療安全対策の残された課題は、医療者の養成課程(基礎教育)における実践的な知識と技術教育の方法と実習環境の整備、有資格者の生涯教育の整備だと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200501306B
報告書区分
総合
研究課題名
リスク管理を含めた諸外国の包括的産科管理のあり方に関する研究
課題番号
H16-医療-040
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 恵(東京医科歯科大学(大学院保健衛生学研究科リプロダクティブヘルス看護学))
研究分担者(所属機関)
  • 中田 かおり(国立看護大学校(助産学・成育看護学))
  • 戸田 律子(JACE日本出版教育協会)
  • 森 昌代(森助産院)
  • 谷津 裕子(日本赤十字看護大学(看護学部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国では、医療事故に占める産科領域の割合が高く,産科領域における医療安全・リスク管理の方策を提供することは急務である。本研究は、日本における妊娠から分娩・産褥までのケアリスク管理を含めた評価システムの整備に向けた示唆をえるために、先進国の産科医療におけるインシデント、事故、苦情の報告および相談システムを含む安全管理システムの実情に関する情報収集をすることを目的とした二年間の調査である。 
研究方法
調査対象国は、母子保健指標の水準が高い先進国(英国、カナダ、ニュージーランド、フィンランド、ドイツ)と医療安全に関する先進的な取り組みが行われている米国とした。資料は、文献、ウェブ情報、および現地での有識者からのヒアリング調査により収集した。
結果と考察
その結果、周産期ケア指標の収集は、国、認証機構、専門学会・専門職能団体およびヨーロッパ共同体ではヨーロッパ共同体が行っていた。対象国の医療安全対策は、患者・利用者の権利を守ることを基本理念として、各国の事情に合わせ、事故・インシデント・苦情報告と対応システムが整備されていた。また医療被害者に対する早期の経済的補償対策と同時に、医療者が司法的な証拠となることを恐れず報告が行える環境整備を行っていた。さらに医療者個人の能力の維持・向上を重視し、医療安全の立場から、基礎教育の充実と生涯教育システムの整備を行っていた。そして周産期管理は生理的過程であるため、医療はオプションであるという理念に基づきケアシステムが整備されていた。そのため、産科医療の安全対策は他の医療安全対策と同様に整備され、助産ケアの患者安全対策もそれに準じて整備されていた。さらに助産師の個人的な専門的能力や助産に関する苦情報告・苦情相談は、助産師独自のシステムが整備され、運用されていた。
結論
日本の医療安全対策は、医療事故・インシデント・苦情などの情報収集・分析・共有システムが整備され、医療安全の戦略を各保健医療施設・組織に提供する土台が築かれたところである。今後の課題は、医療者の養成課程(基礎教育)における実践的な知識と技術教育の方法と実習環境の整備、有資格者の生涯教育の整備だと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501306C