コア・コンペタンシーに基づいた医療安全教育についての研究

文献情報

文献番号
200501304A
報告書区分
総括
研究課題名
コア・コンペタンシーに基づいた医療安全教育についての研究
課題番号
H16-医療-038
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学医学部社会医学講座医療政策・経営科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
  • 平尾 智広(香川大学医学部医療管理学講座)
  • メリリン ウォルトン(Sydney大学医学教育)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、成人教育理論、特に能力開発教育の手法を用いて、院内職員を対象にした統合的教育システムを開発し、導入可能性、効果等を検証することを目的とする。特に、マネジメントレベル、職種に応じて、医療安全に必要な項目ごとに、知識・技能・行動要件を評価指標とともに明らかにすることが重要である。この分野での概念整理については米国医学研究所(IOM)が、また実地ではオーストラリアNSW州におけるプロジェクトが先駆的であり、同国におけるカリキュラムの詳細と実施スケジュールを明らかにする。
研究方法
①米国IOMの5つのコア・コンペタンシー(患者中心の医療の提供、他職種とチームとして協働、EBMに準拠した診療、質改善技術、情報関連技術)を参考に、わが国の医療の安全と質の確保のために必要なコアとなる人的資質を明らかにした。日本で実施されている医療安全教育プログラムについてコア・コンペテンシーの概念から教育プログラムの内容を比較検討し、教育プログラム間のマッピングを実施した。②1054病院を対象とするアンケート調査により、現在の病院で行われている医療安全教育の問題点・改善点を明らかにした。
結果と考察
一般に、事故は新任者が採用され、研修終了後、業務に従事する際に発生することが多く、医師に限らずすべての医療従事者で新任者教育の重要性が指摘されてきた。組織として事故から学び、他の産業からも学び、積極的に事故予防の院内システムを構築し、医療安全を組織文化として確立することが要求されている。散発的でシステム化されていない、従来型の医療事故防止対策や教育研修では不十分である。これからの医療に求められる質と安全を確保するための人材養成では、コア・コンペタンシーに基づいた、職種を問わない、マンネジメントレベルに応じた教育プログラムの開発が急務であり、効果の検証、病院への支援が検討される必要がある。
結論
本研究は、①現在の社会ニーズに基づいた「医療安全」の概念を、教育上の目標設定とともに明確にし、②これを実現するためのカリキュラムとして各医療従事者の役割要件をマネジメントレベル、職種ごと、知識・技能・行動について明らかにし、③教育手法として能力開発理論、ケーススタディー、実習を活用し、④国際共同研究により国際間の整合を図りつつ進める、ものである。本研究では、コア・コンペテンシーの観点から教育プログラムの内容を明らかにし、日本で実施されている教育プログラムのマッピングを行うとともに、現在の病院で行われている医療安全教育の問題点・改善点を明らかにした。実際の教育プログラムを用いての施行、効果の検証が今後の課題である。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200501304B
報告書区分
総合
研究課題名
コア・コンペタンシーに基づいた医療安全教育についての研究
課題番号
H16-医療-038
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学医学部社会医学講座医療政策・経営科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(国立保健医療科学院 政策科学部)
  • 平尾 智広(香川大学医学部 病院管理学講座)
  • Merrilyn Walton(シドニー大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、成人教育理論、特に能力開発教育の手法を用いて、院内職員を対象にした統合的教育システムを開発し、導入可能性、効果等を検証することを目的とする。特に、マネジメントレベル、職種に応じて、医療安全に必要な項目ごとに、知識・技能・行動要件を評価指標とともに明らかにすることが重要である。この分野での概念整理については米国医学研究所が、また実地ではオーストラリアNSW州におけるプロジェクトが先駆的であり、同国におけるカリキュラムの詳細と実施スケジュールを明らかにする。
研究方法
①米国医学研究所の5つのコア・コンペタンシー(患者中心の医療の提供、他職種とチームとして協働、EBMに準拠した診療、質改善技術、情報関連技術)を参考に、わが国の医療の安全と質の確保のために必要なコアとなる人的資質を明らかにした。日本で実施されている医療安全教育プログラムについてコア・コンペテンシーの概念から教育プログラムの内容を比較検討し、教育プログラム間のマッピングを実施した。②1054病院を対象とするアンケート調査により、現在の病院で行われている医療安全教育の問題点・改善点を明らかにした
結果と考察
一般に、事故は新任者が採用され、研修終了後、業務に従事する際に発生することが多く、医師に限らずすべての医療従事者で新任者教育の重要性が指摘されてきた。組織として事故から学び、他の産業からも学び、積極的に事故予防の院内システムを構築し、医療安全を組織文化として確立することが要求されている。散発的でシステム化されていない、従来型の医療事故防止対策や教育研修では不十分である。これからの医療に求められる質と安全を確保するための人材養成では、コア・コンペタンシーに基づいた、職種を問わない、マンネジメントレベルに応じた教育プログラムの開発が急務であり、効果の検証、病院への支援が検討される必要がある。
結論
本研究は、①現在の社会ニーズに基づいた「医療安全」の概念を、教育上の目標設定とともに明確にし、②これを実現するためのカリキュラムとして各医療従事者の役割要件をマネジメントレベル、職種ごと、知識・技能・行動について明らかにし、③教育手法として能力開発理論、ケーススタディー、実習を活用し、④国際共同研究により国際間の整合を図りつつ進めるものである。本研究では、コア・コンペテンシーの観点から教育プログラムの内容を明らかにし、日本で実施されている教育プログラムのマッピングを行うとともに、現在の病院で行われている医療安全教育の問題点・改善点を明らかにした。実際の教育プログラムを用いての施行、効果の検証が今後の課題である。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501304C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医療安全についての教育プログラムの開発は社会的に緊急活優先度の高い課題である。①現在の社会ニーズに基づいた「医療安全」の概念を、教育上の目標設定とともに明確にし、②これを実現するためのカリキュラムとして各医療従事者の役割要件をマネジメントレベル、職種ごと、知識・技能・行動について明らかにし、③教育手法として能力開発理論、ケーススタディー、実習を活用し、④国際共同研究により国際間の整合を図りつつ進めた。
臨床的観点からの成果
本研究では臨床とは直接の関係を有さない。しかしながら医療安全は全ての臨床分野に横断的に関係することから、医療安全教育プログラムについてコア・コンペタンシーに基づく共通な手法で、横断的に評価するツールを提供することにより、今後の医療安全管理者の教育の体系化、標準化に寄与すると考えられる。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
平成18年4月からは「医療安全対策加算」として、医療安全対策に係わる専門の教育を受けた看護師、薬剤師等を医療安全管理者として専従で配置している場合の加算が認められた。専門の教育としてどのようなものが具体的に選定されるか、またそのための要件などについて詳細は決められていないが、医師会、看護協会、病院団体などが実施している医療安全教育プログラムについて共通な手法で、横断的に評価しているのは本研究のみであり、今後日本における医療安全教育の体系化、標準化に寄与すると考えられる。
その他のインパクト
本研究を契機として、医師会、看護協会、病院団体などが個別に実施している医療安全教育プログラムについて、相互に見直しを図り、体系化、標準化を図る動きが始まっている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
平成18年4月より診療報酬上の医療安全対策加算へ反映された。
その他成果(普及・啓発活動)
5件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-25
更新日
-