医療安全確保のための看護人員体制とアウトカム指標の検証

文献情報

文献番号
200501302A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全確保のための看護人員体制とアウトカム指標の検証
課題番号
H16-医療-036
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
井部 俊子(聖路加看護大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
病院における患者安全確保の観点から、看護職員の人員体制に焦点をあて、人員体制による影響因子と確立されたアウトカム指標にもとづいたデータ収集を行い、患者安全確保のための人員体制を検証する。
研究方法
当該研究に参加可能な病棟を募り、調査方法の理解とデータ収集の精度を高めるために「人員配置と有害事象の調査研究に関する考え方と研究手法」セミナーを実施した。次に、調査協力病棟を対象に「医療安全確保のための看護人員体制とアウトカム指標の検証」実態調査を実施し、データ収集の結果にもとづいてベンチマーキングを行い、カリフォルニア看護アウトカムプロジェクト(以下、「CalNOC」とする)のデータと比較し、看護職員の人員体制とアウトカム指標を検証した。
本研究は、聖路加看護大学研究倫理委員会の承認を得た(承認番号05-049)。
結果と考察
有効回答は95病棟で、1日平均患者数は38.8人で、看護要員勤務時間総計の平均は129.6時間であった。患者一人あたり一日平均投入総看護要員勤務時間数の平均は3.6時間だった。さらに看護要員1人に対する患者数は常時5.4人だった。看護必要度のA得点、B得点の平均はそれぞれ2.14点、4.84点、転倒・転落の平均回数は8回、褥瘡のある患者の平均が4.58人、身体拘束をされている患者は平均13人であった。
患者特性とおよび有害事象の関係では、患者一人あたり一日平均投入総看護時間と看護必要度のA得点は強い相関があり、B得点との相関もあった。また、看護必要度のA得点とB得点には相関があり、B得点は褥瘡、身体拘束と相関があった。さらに、患者一人あたり一日平均投入総看護時間と褥瘡、身体拘束との相関は認められなかったが、転倒・転落には負の相関があった。今回の研究結果からは、看護要員配置と有害事象の間には明確な相関は見出せなかった。この結果は、CalNOCにおける研究結果と一致した。
結論
看護要員配置と有害事象の間には明確な相関が見出せなかったが、患者特性と有害事象との間には相関があった。今後リスク要因を調整した分析手法を用いて、継続的にデータを収集・分析できるデータベースの構築をすることが必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200501302B
報告書区分
総合
研究課題名
医療安全確保のための看護人員体制とアウトカム指標の検証
課題番号
H16-医療-036
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
井部 俊子(聖路加看護大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
病院における患者安全確保の観点から、看護職員の人員体制に焦点をあて、人員体制による影響因子と確立されたアウトカム指標にもとづいたデータ収集を行い、患者安全確保のための人員体制を検証する。
研究方法
平成16年度は、看護職員の人員体制による影響因子を明らかにした国内外の先行研究を検討する。また、フォーカス・グループインタビューを実施し、わが国におけるデータ収集の手法を構築し、国際比較ができる準備をする。
平成17年度は当該研究に参加可能な病棟を募り、調査方法のデータ収集の精度を高めるために「人員配置と有害事象の調査研究に関する考え方と研究手法」セミナーを実施する。また、調査協力病棟を対象に「医療安全確保のための看護人員体制とアウトカム指標の検証」実態調査を実施し、データ収集の結果にもとづいてベンチマーキングを行い、カリフォルニア看護アウトカムプロジェクト(以下、「CalNOC」とする)のデータと比較し、看護職員の人員体制とアウトカム指標を検証する。
結果と考察
 平成16年度は、日米の研究結果を比較し、フォーカス・グループインタビューを行って調査項目の検討を行った。結果、CalNOCの項目と、日本の看護必要度を調査項目としてデータ収集することが有用であると示唆された。
平成17年度は、上記項目を用いて調査を実施した。有効回答は95病棟であった。1日平均患者数は38.8人、看護要員勤務時間総計の平均は129.6時間、患者一人あたり一日平均投入総看護要員勤務時間数の平均は3.6時間、看護要員1人に対する患者数は常時5.4人だった。看護必要度のA得点、B得点の平均はそれぞれ2.14点、4.84点、転倒・転落の平均回数は8回、褥瘡のある患者の平均が4.58人、身体拘束をされている患者が13人だった。
看護要員配置と患者特性および有害事象の相関関係では、患者一人あたり一日平均投入総看護時間と看護必要度のA得点は強い相関があり、B得点との相関もあった。また、看護必要度のA得点とB得点には相関があり、B得点は褥瘡、身体拘束と相関があった。さらに、患者一人あたり一日平均投入総看護時間と褥瘡、身体拘束との相関は認められなかったが、転倒・転落には負の相関があった。本研究結果からは、看護要員配置と有害事象の間には明確な相関は見出せなかったが、この結果はCalNOCにおける研究結果と一致した。
結論
看護人員配置と有害事象との直接的な関連はなかった。今後、有害事象発生のリスク要因を調整した上で分析を行う必要があり、継続的にデータ収集を行い、ベンチマーク出来るデータベースを構築することが必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501302C