文献情報
文献番号
200501300A
報告書区分
総括
研究課題名
脆弱高齢者・終末期患者への診療に関する判断、および診療行為の質の評価と改善に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H16-医療-033
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
尾藤 誠司(独立行政法人国立病院機構東京医療センター)
研究分担者(所属機関)
- 松村 真司(松村医院)
- 浅井 篤(熊本大学大学院 医学薬学研究部 生命倫理学分野)
- 竹村 洋典(三重大学医学部付属病院 総合診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
脆弱高齢者や終末期患者に対する、延命治療を中心としたさまざまな医療行為に対する判断について、平成16年度には、現状における医療行為判断の根拠の整理と、質的調査による概念的な整理を行った。本年度は、(1)適切な診療方針決定プロセス及びアウトカムを評価するための測定尺度としての評価指標を作成すること、(2)当該指標を用いて診療プロセスとアウトカムとの比較検討を開始すること、を目的とした。
研究方法
4つの研究事業をおこなった。(1)診療録を基盤として、「患者の最大の利益を査定するプロセス」及び「蘇生術の施行に関する意思決定プロセス」に関する医療のプロセスを評価する指標を開発した。(2)以上の指標を用いて、終末期医療プロセスに関する多施設共同研究の準備を完了し、1施設においてパイロット調査をおこなった。(3)延命治療がもたらすアウトカムの評価指標を開発し、その信頼性・妥当性の検証をおこなった。(4)終末期看護教育コンソーシアム教育プログラム(ELNEC)の日本語版を開発し、その内容妥当性について検討した。また、(2)に関して、各調査協力施設における倫理審査委員会の申請を行い、数施設で承認を得た。
結果と考察
(1)指標作成に関して、エキスパート委員会を作り、4回のデルファイ採点と1回のコンセンサス会議を行った。その結果、最終的に「患者の最善の利益査定プロセス」の指標として10項目、「蘇生術の施行に関する意思決定プロセス」の指標として9項目を決定した。(2)以上の19項目をプロセス尺度とし、終末期医療に関する遺族評価尺度であるCare Evaluation Scaleを加えた上、東京医療センターにおいてはパイロット調査を行い、初期データ解析を行った。(3)10項目からなる「延命治療がもたらすアウトカム」評価尺度を開発した。本尺度は「患者の満足」「患者の状態」「家族の支援」の3因子からなる尺度とした。(4)ELNEC日本語版の開発に関する権利を取得した上、ELNECモジュール4日本語版の開発を完了した。
結論
終末期医療に関連する重要な倫理的判断を医療技術として捕らえることは平均的なわが国の医療の質向上にとっては重要である。平成18年度においては10施設における診療録及び遺族アンケートを基にしたデータ集積を実現した上、ワークショップ等による質向上のための方略を作成する。
公開日・更新日
公開日
2006-10-03
更新日
-