医療チューブ類事故防止対策に関する学際的探索研究

文献情報

文献番号
200501275A
報告書区分
総括
研究課題名
医療チューブ類事故防止対策に関する学際的探索研究
課題番号
H16-医療-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山内 豊明(名古屋大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 相馬 孝博(名古屋大学 医学部)
  • 道又 元裕(日本看護協会 看護研修学校)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究(1)では[ドレーン・チューブ類の使用・管理]ヒヤリ・ハット事例の発生要因について時系列に整理なおすことから新たな切り口を見いだすことを目的とし、研究(2)では[ドレーン・チューブ類の使用・管理]ヒヤリ・ハット事例の発生要因について多変量解析を行い、因子を特定し因果モデルを構成することを目的とした。
研究方法
研究(1)ではドレーン・チューブ類の使用に際し、体内に必要なものを取り入れる過程を「注入」、体外に不要なものを排出するプロセスを「排出」とし、「注入」および「排泄」のためのドレーン・チューブ類の使用・管理上のエラーはどの部位でどのように生じているのかを明らかにすることを目的として再分類し、研究(2)では[ドレーン・チューブ類の使用・管理]ヒヤリ・ハット事例の発生要因につい[ドレーン・チューブ類の使用・管理]に関する事例の発生要因に設定されている66項目に因子分析を行い、探索的、検証的に構成概念の検討を行った。
結果と考察
研究(1)では「注入」のプロセスは、注入する内容とチューブ接続部、チューブ本体、体内挿入部、に、「排出」のプロセスは、挿入部位、ドレーン本体部分、廃液口、の時系列に整理できた。研究(2)では[ドレーン・チューブ類の使用・管理]ヒヤリ・ハット事例の発生要因について『医療者の状態』『医療者の知識・経験』『管理システム』『エラー行為』の4因子の抽出され、共分散構造分析の結果、想定した因果モデルはデータの分散共分散行列をよく説明し、構成概念と観測変数の関係は適切に対応していることが示された。さらに管理システムは医療者の状態、知識・経験に影響を及ぼすし、『医療者の状態』よりも『医療者の知識・経験』に影響を及ぼすことが示された。『医療者の状態』『医療者の知識・経験』は同程度にエラー行為に影響を及ぼすことが示された。
結論
「ドレーン・チューブ類の使用・管理その他のエラー」を時系列を追ってその報告ポイントを明らかにすることが可能であることが確認でき、因果モデルより、組織において管理システムが十分に整備されていない状況においては、労働を行う医療者の状態および医療者の知識・経験に悪影響を及ぼし、さらに医療者の状態および知識・経験が不十分な状況においては、判断の誤りや確認不足といったエラー行為が生じ易いということが明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-