看護ケアの質評価・改善システムの運用に関する研究

文献情報

文献番号
200501259A
報告書区分
総括
研究課題名
看護ケアの質評価・改善システムの運用に関する研究
課題番号
H15-医療-024
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
片田 範子(兵庫県立大学看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 内布 敦子(兵庫県立大学看護学部)
  • 上泉 和子(青森県立保健大学)
  • 粟屋 典子(大分県立看護科学大学)
  • 坂下 玲子(兵庫県立大学看護学部)
  • 桜井 礼子(大分県立看護科学大学)
  • 鄭 佳紅(青森県立保健大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究班はこれまで、看護ケアの質の改善を目的とし、看護QIプログラムを開発してきた。まず、第三者評価ツールを開発し、その自己評価版を作成した。本研究は、その自己評価ツールをもとにWebシステムを開発することを目的とし、2005年度は、2003年、2004年に実験的に行ったWebシステムを改善し、汎用化することを目的とした。
研究方法
以下の方法によってWebシステムの改善および汎用化を行った。
1.2003、2004年度の実験結果をもとに、評価項目の精錬および配点の見直しを行った。2.1で開発された評価ツールをインターネット上で展開し、複数の病棟からの参加を募り調査を実施した。構造は看護師長が、過程は看護師が入力を行い、アウトカムは患者満足度とインシデントをもって評価した。②入力終了後に看護師長と看護師には自己の入力結果をWebを通じフィードバックすると共に、入力されたデータは集計後、病棟ごとにリコメンデーションとして返るようにした。3.看護師長および看護師には、入力後、設問のわかりやすさ、入力の負担感に関してアンケート調査を行った。4.データベースに格納されたデータをダウンロードし分析を行い評価ツールの適切性、妥当性ならびに看護ケアの質について検討した。
結果と考察
1.評価項目を精錬し、評価得点のバランスがとれるよう質問数、配点を検討した。2.Web入力には42病棟、194名の看護師、245名の患者が参加した。構造評価得点は分布のバランスがよく完成に近づいたと考えられる。一方、過程評価項目では、具体的な記述をもとめた上で自己評価を選択してもらったが、自己評価が高くなる傾向がみられた。アウトカム評価の患者満足度もこれまでと同様、高得点に回答が集中する傾向がみられた。3.構造項目に関しては、ほとんどの参加者が設問もわかりやすく画面もみやすいと回答し、負担感も低かった。過程項目に関しては、ほとんどの参加者が画面は見やすかったとしたが、負担を感じる者が半数を超えた。4.病棟、病院、全国の3段階で自動的に平均を出し、ダウンロードできるようにしたため得点分布、項目間の関連の検討が効率的に行えた。
結論
看護ケアの質を評価するWebシステムはおおむね完成したが、過程評価得点の信頼性、患者満足度評価の精錬、患者や家族が入力しやすい環境設定が今後の課題として明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2018-06-05
更新日
-

文献情報

文献番号
200501259B
報告書区分
総合
研究課題名
看護ケアの質評価・改善システムの運用に関する研究
課題番号
H15-医療-024
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
片田 範子(兵庫県立大学看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 内布 敦子(兵庫県立大学看護学部 )
  • 上泉 和子(青森県立保健大学)
  • 粟屋 典子(大分県立看護科学大学)
  • 桜井 礼子(大分県立看護科学大学)
  • 坂下 玲子(兵庫県立大学看護学部 )
  • 鄭 佳紅(青森県立保健大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究班はこれまで、看護ケアの質の改善を目的とし、看護QIプログラムを開発してきた。まず、第三者評価ツールを開発し、その自己評価版を作成した。本研究は、その自己評価ツールをもとにWebシステムを開発し精錬した上で汎用化することを目的とした。
研究方法
2003年度は自己評価ツールをもとに、Web用質問項目およびWeb用システムを作成した。このシステムは従来どおり看護の質を「構造」「過程」「アウトカム」から評価するものであるが、構造は看護師長が、過程は看護師が入力を行い、アウトカムは患者が入力する患者満足度とインシデントをもって評価することとした。2004年度は2003年度に開発したWebシステムを実際に運用し、入力の利便性、表面妥当性等について検討した。2005年度は、過去の実験結果をもとに、評価項目の精錬および配点の見直しを行うと同時にフィードバックシステムおよび解析システムを追加開発し汎用化を目指した。すなわち、入力者には即時に個人結果がWeb上で返り、入力されたデータは集計後、病棟ごとにリコメンデーションとして返るようにした。入力後、設問のわかりやすさ、入力の負担感に関して、看護師長および看護師にはアンケート調査を行いシステムの検討をおこなった。また、データベースに格納されたデータをダウンロードし分析を行い評価ツールの適切性、妥当性ならびに看護ケアの質について検討した。
結果と考察
開発されたWebシステムを用い、平成17年度においては、42病棟、194名の看護師、245名の患者が本研究に参加した。構造評価得点は、分布のバランスがよく、質問の明確さ、入力しやすさ、負担感いずれにおいても入力者から高く評価され、完成に近づいたと考えられた。一方、過程評価項目では、具体的な記述をもとめた上で自己評価を選択してもらったが、自己評価が高くなる傾向がみられた。アウトカム評価の患者満足度もこれまでと同様、高得点に回答が集中する傾向みられた。得られたデータは病棟、病院、全国の3段階で自動的に平均が出され、その結果をダウンロードできるようにしたため参加病棟へのフィードバックが効率よく行え、同時に様々なレベルでの変数の分布および関連を効率よく検討することが可能になった。
結論
看護ケアの質を評価するWebシステムはおおむね完成したが、過程評価得点の信頼性、患者満足度評価の精錬、患者や家族が入力しやすい環境設定が今後の課題として明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2018-06-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501259C

成果

専門的・学術的観点からの成果
研究班は、これまで看護ケアの質評価・改善システムの開発を目的に研究を進めてきたが、今回Webシステムを開発、汎用化することによって、第三者評価、自己評価、Web版自己評価システムが完成した。看護の本質的な役割が言語化され質問項目となり、さらに精錬されてプロセス評価を可能にした。Webを介して大量のデータが収集され処理されるシステムができ看護の質をモニタリングすることが可能になった。
臨床的観点からの成果
本研究によって、Web版自己評価システムが開発された。臨床の場から直接回答し、その場で自己の結果と全国の結果を知ることが可能になり、また一定の間隔をおいて再評価することで前回との結果を比較できるようになった。教育効果という点では、自己評価を実施することにより自らの看護を振り返り、質を高めることがより容易になったと考えられる。また、大量のデータが収集、処理されるのでインシデントなどアウトカムの要因を看護の観点より検討し、改善策を提案することが可能となった。
ガイドライン等の開発
開発されたシステムは「構造」「過程」「アウトカム」という3側面から看護ケアの質を評価するものである。今回、過去の研究成果を踏まえWeb版システムを検討したが、その経過において、看護ケアの質を評価する適切な項目が開発された。データを蓄積することにより、質評価指標としての妥当性を分析することも可能であり、今後看護ケアの質評価の標準的な項目をエビデンスをもとに提案できる仕組みができた。
その他行政的観点からの成果
このシステムの普及により、看護ケアの質に関するデータが大量に収集、処理されることが可能になり、全国規模で看護ケアの質をモニタリングすることが可能となった。特に転倒・転落・褥創などの発生件数が全国的規模で集積されることにより、地域、病院規模、看護体制など様々な視点より検討することが可能となった。今後このようなデータをいつも最新の状態でタイムリーに施策立案のエビデンスとして提供することが可能になる。
その他のインパクト
このシステムを運用するにあたって、20回以上の説明会を開き、システムの普及に努めた。臨床現場の関心は高く、再度説明会や講演の依頼を受けることもあり、看護管理の立場から看護の本質的な質に迫った指標であるという反応を得ている。実際に入力した看護師からは、評価を受けることによって日頃行っている看護を見直すことができたというコメントが返ってきている。産業会からの関心も高く、はりま産学交流会から研究紹介の依頼があり講演をおこない、また「テクノマート姫路」において展示した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
看護,56(13),58-59,2004 看護マネジメント論,看護協会出版会,pp89-112,2006
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
第8回日本看護管理学会,2004
学会発表(国際学会等)
1件
Nursing Informatics, 2006,Korea
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
25件
病院での普及のための講演活動、病院への説明会、産学交流の場での研究紹介など行った。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-06-05
更新日
-