効果的な歯周疾患のリスク判定法および予防体系の開発

文献情報

文献番号
200501253A
報告書区分
総括
研究課題名
効果的な歯周疾患のリスク判定法および予防体系の開発
課題番号
H15-医療-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
花田 信弘(国立保健医療科学院 口腔保健部)
研究分担者(所属機関)
  • 沼部幸博(日本歯科大学)
  • 佐藤勉(日本歯科大学)
  • 鶴本明久(鶴見大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
唾液中のaspartate aminotransferase (AST、従来GOT)、alanine aminotransferase (ALT、同GPT)、lactate dehydrogenase (LDH)および遊離ヘモグロビン(f-Hb)を測定する生化学検査、Porphyromonas gingivalis(P. g)、Prevotella intermedia( P. i)およびTannerella forsythnsis(T. f、旧Bacteroides forsythus)の検出を目的とする細菌検査は、歯周病のスクリーニングや治療効果を判定するモニタリングに有用であることが示された。本年度は、これらの検査技術を実際に地域歯科保健活動に取り入れ、その適用性や普及の可能性を検討した。また、唾液生化学および細菌検査の歯周病発症、進行、再発予知における有用性について検討した。
研究方法
地域歯科保健活動で唾液検査を実施した。実施された検診ごとに、歯周病スクリーニングに対する唾液検査の基準値を設定した。
歯周病発症の予知性に関しては、コホート研究をもとに、歯周病が発症した者としなかった者に対して、それらの唾液検査値から発症の予知性について検討した。
歯周病進行の予知に関しては、日本歯科大学ほかの各附属病院歯周病外来に来院中で、現在メインテナンス中の患者を対象に検討を行った。具体的には、歯周病進行・再発と唾液検査値との関連を分析した。
結果と考察
1. 各地域ごとの基準値設定では、地域により歯周病の罹患率が異なることから、各地域ごとに基準値を設定した。歯周病の罹患率の低い地域ではLDHや遊離ヘモグロビンと比較してAST,ALTが有用な指標となり、CPIの1,2に対する代用指標として使用できる可能性が示唆された。
2.歯周病発症の予知性に対する唾液検査の役割においては、歯周病による歯周組織の形態変化が起こる以前に唾液検査の検査値の上昇が観察された。3.歯周病再発、進行に対する予知性としては、個人個人で唾液中の酵素の検査値は比較的安定した状態にあり、唾液中の酵素よりむしろ唾液中から検出される歯周病菌が歯周病進行の予知性を持つことが明らかとなった。
結論
唾液検査が代用エンドポイントとして機能し現在では予防処置として位置づけられてる処置が歯周病の治療として位置づけられ歯周病の発症を未然に防ぐことが可能であれば、国民の口腔衛生の向上に大きく貢献できるものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-14
更新日
-

文献情報

文献番号
200501253B
報告書区分
総合
研究課題名
効果的な歯周疾患のリスク判定法および予防体系の開発
課題番号
H15-医療-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
花田 信弘(国立保健医療科学院 口腔保健部)
研究分担者(所属機関)
  • 沼部幸博(日本歯科大学 歯学部 歯周病学)
  • 佐藤勉(日本歯科大学 歯学部 衛生学)
  • 鶴本明久(鶴見大学 歯学部 予防歯科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
従来、歯周病健診は歯周組織の形態変化を歯科医師が直接観察、計測することによって行われてきた。この方法はある意味では臨床行為と同様の行為であり、歯周病健診のコストの増大、歯周病健診の低受診率をもたらしていると考えられる。そこで、唾液生化学検査が歯周病発症予知の検査項目となりうるか否かについて検討した。
研究方法
地域歯科保健活動への適用・普及に関する検討では、県歯科医師会、行政機関および企業(各1カ所)に協力を仰ぎ、歯周病検診項目として唾液検査を加えた。検診ごとに、歯周病スクリーニングに対する唾液検査項目の基準値を設定した。
2.歯周病発症の予知性に関する検討
歯周病発症の予知性に関しては、研究班で現在追跡中のコホート集団を調査対象とした。具体的には、追跡期間中における歯周病の発症の有無と唾液検査値との関連を分析し、唾液検査による発症の予知性を検討した。
歯周病進行の予知に関しては、分担研究者および研究協力者の所属する日本歯科大学、新潟大学、鶴見大学、愛知学院大学の各附属病院歯周病外来に通院中で、現在メインテナンス中の患者を対象に検討を行った。すなわち、歯周病の進行あるいは再発と唾液検査値との関連を分析した。
結果と考察
歯周病メインテナンスにおいて重要となる再発、進行に対する予知性の検討では、唾液中の酵素活性が個々で比較的安定した状態にあることから、これらを測定する生化学検査よりむしろ歯周病原性細菌検査が進行の予知性に優れていることが示された。結果の要約は以下の通りである。
(1)40%(98名中38名)の患者に、3mm以上のポケットの進行がみられた。
(2)歯周病の臨床症状の出る前に唾液検査値が上昇した(予知性)。
(3)歯周病原性細菌の検査値(定量検査)から、歯周病進行の予知が出来る可能性が示された。
結論
歯周病メインテナンスへの唾液生化学検査の導入は、現状把握を目的とした臨床パラメーター測定の補助として有用であり、また、歯周病原性細菌測定は再発の予知に有用であることが示された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501253C