エイズ発症機序・宿主防御免疫機構解析のための動物モデルの確立およびその応用

文献情報

文献番号
200500992A
報告書区分
総括
研究課題名
エイズ発症機序・宿主防御免疫機構解析のための動物モデルの確立およびその応用
課題番号
H16-創薬-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
俣野 哲朗(東京大学医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 森 一泰(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 木村彰方(東京医科歯科大学難治疾患研究所)
  • 宮澤 正顯(近畿大学医学部)
  • 本多三男(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 保富康宏(三重大学医学部)
  • 明里宏文(医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
エイズ発症阻止法の開発には、動物モデルを用いたエイズ発症機序の解析が重要であるが、現状で最適のモデルであるSIV感染エイズモデルでは、エイズ発症に密接に関与する宿主因子の情報が不足している。そこで本研究では、評価系として有用であるだけでなく、抗エイズ薬開発に結びつくエイズ発症機序解明を可能とするエイズモデルの確立を目的とし、MHCを中心とするアカゲザル宿主因子及びそのエイズ発症への関与についての解析を行うこととした。
研究方法
主対象はビルマ産アカゲザル6家系とした。これまでに確立したMHCハプロタイピング法の精度の確認、およびマイクロサテライトタイピング用マーカーの決定を試みた。一方、ワクチン接種によりSIV複製制御にいたるMHCハプロタイプ90120-a共有群におけるCTLの機能解析を開始し、90120-a由来の主要MHC-IアレルcDNA発現細胞株の作成を試みた。
結果と考察
我々のMHCハプロタイピング法の精度が極めて高いことを確認し、マイクロサテライト多型解析法を樹立して、MHC-IおよびMHC-IIの詳細なハプロタイプ構成の決定を進展させた。また、MHC関連遺伝子のNKC遺伝子領域についてはマイクロサテライトマーカーを用いた多型解析が可能となった。MHCハプロタイプ90-120-a共有群の解析では、SIV複製制御に中心的役割を担っているCTLのエピトープ認識能は鋭敏であることを明らかにした。また、90120-a由来の主要MHC-IアレルcDNAを各々単独発現する細胞株の樹立に成功し、Gag206-216特異的CTLエピトープ提示MHC-Iを同定した。
結論
我々のMHCハプロタイピング法の精度を確認し、詳細なMHCハプロタイプ構成の決定を進展させた。MHCハプロタイプ90-120-a共有群の解析により、初めてSIV複製制御に関与するCTLのエピトープ拘束MHC-I分子の同定に成功した。ワクチンによるSIV複製制御は、我々以外からは報告されておらず、今後、他のCTLエピトープを提示するMHC-I分子の同定を進めることにより、MHCハプロタイプ90-120-a共有群は、SIV複製制御機序の解明に極めて有用なモデルとなることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-03-27
更新日
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