創薬、臨床検査開発のためのヒト組織の有用性に関する研究-ヒト組織バンクの効率的運用のためのネットワーク作り-

文献情報

文献番号
200500964A
報告書区分
総括
研究課題名
創薬、臨床検査開発のためのヒト組織の有用性に関する研究-ヒト組織バンクの効率的運用のためのネットワーク作り-
課題番号
H16-創薬-074
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
松浦 成昭(大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 門田 守人(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 吉川 秀樹(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 澤 芳樹(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 堀井 明(東北大学 医学部)
  • 倉智 博久(山形大学 医学部)
  • 名川 弘一(東京大学大学院医学系研究科)
  • 清田 浩(東京慈恵会医科大学)
  • 加藤 俊一(東海大学医学部)
  • 嶋田 裕(京都大学大学院医学系研究科)
  • 塩崎 均(近畿大学 医学部)
  • 平川 弘聖(大阪市立大学医学部)
  • 石川 治(大阪府立成人病センター)
  • 吉川 宣輝(箕面市立病院)
  • 門田 卓士(NTT西日本大阪病院)
  • 冨田 尚裕(労働福祉事業団関西労災病院)
  • 辻本 正彦(大阪けいさつ病院)
  • 澤田 秀和(ヒューマンサイエンス振興財団)
  • 辻仲 利政(国立病院機構大阪医療センター)
  • 鬼塚 伸也(国立病院機構長崎医療センター)
  • 吉野 公一郎(カルナバイオサイエンス株式会社)
  • 石原 英幹(シスメックス株式会社)
  • 玄蕃 岳践(アンジェスMG株式会社)
  • 倉田 寛一(株式会社カルディオ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
27,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は生検組織サンプルがタンパク質、mRNA、DNAレベルで利用可能であるかを明らかにするものである。また、ホルマリン固定パラフィン包埋された標本についても使用可能かどうかを検討する。
研究方法
生検組織からのタンパク質、mRNA、DNAの抽出効率について検討を行った。また、剖検材料からも採取可能かどうかを検討した。さらに、ラットおよびハムスターの骨格筋から筋細胞を分離、培養する際に、トリプシン・EDTAを用いて細胞をばらばらにしたものを使用する場合と、温度応答性皿のシステムを用いて、プロテアーゼ等を用いず、細胞間の接着性、基底膜との接着性を保った状態で使用する場合の種々のviabilityについて検討を行った。
結果と考察
生検組織を材料にした時、タンパク質、DNAは良好に得られたが、mRNAは短時間で凍結しない限り、大幅な活性低下を認めた。また、一旦凍結したサンプルから常温にもどす時にRNaseの阻害剤を用いない場合は活性低下が見られた。また、検討するmRNAもβアクチンのように量的に多い物は変化を受けにくいが、相対的に少量の分子は注意が必要であった。剖検材料は死亡直前の状態に大きく左右されるが、タンパク質やDNAレベルはおおむね保たれており、多くの場合、解析が可能であった。 mRNAレベルは一般的には解析困難であるが、死後1時間程度ではRT-PCRで解析可能であった。骨格筋から分離した筋細胞の培養系からのタンパク質、遺伝子レベルの検討では、温度応答性培養皿を用いて、細胞間あるいは細胞・細胞外基質間の接着性を保持した状態の方が、発現レベルが高いことを示された。
結論
生検組織からタンパク質、DNAは良好に得られたが、mRNAは短時間で凍結しない限り、大幅な活性低下を認めた。生検組織からのmRNAについて保存条件を検討したところ、摘出1時間以内にRNAlaterなどの保存液に入れて4℃で保存するか、-20℃以下で凍結すればかなり良好なmRNAが得られた。剖検材料はタンパク質やDNAレベルはおおむね保たれており、解析が可能であった。 mRNAレベルは一般的には解析困難であった。骨格筋から分離した筋細胞の培養系からのタンパク質、遺伝子レベルの検討では、温度応答性培養皿を用いて、細胞間あるいは細胞・細胞外基質間の接着性を保持した状態の方が、発現レベルが高かった。

公開日・更新日

公開日
2006-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200500964B
報告書区分
総合
研究課題名
創薬、臨床検査開発のためのヒト組織の有用性に関する研究-ヒト組織バンクの効率的運用のためのネットワーク作り-
課題番号
H16-創薬-074
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
松浦 成昭(大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 門田 守人(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 吉川 秀樹(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 澤 芳樹(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 堀井 明(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 倉智 博久(山形大学 医学部)
  • 名川 弘一(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 清田 浩(東京慈恵会医科大学)
  • 加藤 俊一(東海大学医学部)
  • 嶋田 裕(京都大学 大学院医学系研究科)
  • 塩崎 均(近畿大学医学部)
  • 平川 弘聖(大阪市立大学大学院医学系研究科)
  • 石川 治(大阪府立成人病センター)
  • 吉川 宣輝(箕面市立病院)
  • 門田 卓士(NTT西日本大阪病院)
  • 富田 尚裕(関西労災病院)
  • 辻本 正彦(大阪警察病院)
  • 澤田 秀和(ヒューマンサイエンス振興財団)
  • 辻仲 利政(国立病院大阪医療センター)
  • 鬼塚 伸也(国立病院長崎医療センター)
  • 吉野 公一郎(カルナバイオサイエンス株式会社)
  • 石原 英幹(シスメックス株式会社)
  • 玄蕃 岳践(アンジェスMG株式会社)
  • 倉田 寛一(株式会社カルディオ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は手術時等に得られるヒトの新鮮組織を用いることにより、薬物の有効性、安全性を評価する方法を検討していくものである。ヒト組織新鮮材料の提供に当たり、通常は手術で摘出された臓器の一部が当てられるが、理想的な状態で材料を採取することは通常困難である。すなわち、ヒト組織材料は手術で摘出してから、種々のプロセスを経てから採取され、かなりの時間が経過することになる。手術標本の時間経過から、どれくらいまで組織材料が利用可能であるか、検討する。
研究方法
手術標本からの組織材料の採取に際して、手術操作の影響、血管処理による虚血時間、摘出から処理するまでの時間経過、保存時間など手術や術後の影響はどの程度あるのか、主としてラット、マウスの臓器を用いて、タンパク質、酵素活性、mRNA、DNAレベルに分けて検討した。また、剖検材料から研究の目的とするタンパク質、mRNA、DNAを得ることが出来るかどうか、基礎的検討を行った。さらに生検組織について手術摘出材料との比較を行った。
結果と考察
総タンパク質量、酵素活性は血管の結紮の有無、摘出後の状態の影響をほとんど受けなかった。また、摘出後の時間経過の検討からも大部分の臓器では6時間まで保持された。膵臓以外は摘出後3時間までであれば活性の低下は見られなかった。一方、DNAは12時間以内であれば、RNAは3時間以内であれば、大きな差を認めなかった。生検組織サンプルはタンパク質、DNAは良好に得られたが、mRNAは短時間で凍結しない限り、大幅な活性低下を認めた。また、凍結からもどす時にRNaseの阻害剤を用いない場合は活性低下が見られた。
結論
手術標本からの組織材料の採取について、手術操作の影響、摘出前の血管の結紮、摘出後の状態、時間経過などにより、タンパク質、DNA、RNAがそれぞれどの程度、傷害を受けるかを検討した。総タンパク質量、酵素活性は血管の結紮の有無、摘出後室温状態・氷冷状態、摘出後時間(3時間まで)の影響をほとんど受けなかった。DNAは摘出後12時間で、RNAは3時間で低下を認めた。以上より、ヒト組織は摘出後、3時間までか保存液中で6時間までの間に液体窒素で凍結すれば、材料として大きな活性低下がない可能性が示唆された。また、生検組織からタンパク質、DNAは良好に得られたが、mRNAは短時間で凍結しない限り、大幅な活性低下を認めた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500964C

成果

専門的・学術的観点からの成果
生検組織中のタンパク質、DNAに比べて、mRNAは短時間で大幅な活性低下を認めること、保存条件の検討で摘出1時間以内にRNAlater等の保存液に入れて4℃で保存するか、-20℃以下で凍結すればかなり良好なmRNAが得られる結果はヒト組織バンクのみならず、ふだんの学術研究の際のサンプリングにも応用可能である。また、温度応答性培養皿を用いて細胞の接着性を保持した状態の方が、種々のタンパク質、mRNAの発現レベルが高い結果は接着からのシグナル伝達を示唆しており、学術的にも興味深い。
臨床的観点からの成果
ヒトの胃癌、大腸癌、肝癌の手術の調査で、血管を結紮してから摘出するまでの阻血時間は平均1時間程度であることを明らかにした。動物を用いた阻血実験で総タンパク質量、酵素活性およびDNAはかなり長時間でも、血管の結紮の有無、摘出後の状態(室温・氷冷)の影響をほとんど受けなかった。一方、mRNAは3時間が限度であった。これらの結果は手術を行う際の正常組織に対する阻血時間を考える上で参考になると考えられる。
ガイドライン等の開発
本研究結果がまだ直接ガイドラインに反映する段階には至っていない。しかし、さらに詳細な研究結果が得られれば、手術切除組織からヒト組織バンクへのサンプリングの際に、術式や切除後の時間経過、保存状況に対するガイドライン作成の重要な基礎データの一部となると考えられる。
その他行政的観点からの成果
術前にインフォームドコンセントの取得の点において、外科医の側から説明の難しさが指摘された。説明を容易にするためのマニュアルが必要であるという意見が多く見られた。また、摘出臓器の量的な妥当性、その一部を組織バンクに回すことが患者の診断上、不利益を被らないかどうかの判断をする役割を病理医に求めるべきであるという指摘も見られた。インフォームドコンセントを得る際の、組織バンク事業の必要性を世間的に啓発していくことも重要であると考えられた。
その他のインパクト
2005年1月25日(火)にヒューマンサイエンス振興財団の主催で大阪千里ライフサイエンスセンターにて開催された第4回HSRBB(ヒューマンサイエンス研究資源バンク)技術講習会において、「ヒト組織からの遺伝子解析」という題で講演を行った。講演内容は本研究の成果に基づくものであり、多くの研究者の参加があり、活発な議論が展開された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
第4回HSRBB(ヒューマンサイエンス研究資源バンク)技術講習会にて講演

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
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原著論文2
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原著論文3
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原著論文4
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原著論文5
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原著論文6
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原著論文7
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原著論文8
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原著論文9
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原著論文10
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原著論文11
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原著論文12
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原著論文13
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原著論文14
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原著論文15
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原著論文16
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原著論文17
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原著論文18
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原著論文19
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原著論文20
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公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
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