個体特性に着目した食品成分の骨粗鬆症に対する予防効果に関する研究

文献情報

文献番号
200500952A
報告書区分
総括
研究課題名
個体特性に着目した食品成分の骨粗鬆症に対する予防効果に関する研究
課題番号
H16-創薬-051
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
石見 佳子(独立行政法人国立健康・栄養研究所食品表示分析・規格研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 内山成人(大塚製薬株式会社佐賀栄養製品研究所)
  • 岡純(東京家政大学家政学部)
  • 上原万里子(東京農業大学応用生物科学部)
  • 戸田登志也(フジッコ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,450,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、閉経期女性の骨量減少に対する大豆イソフラボンの効果を個体特性を考慮に入れ検証し、より効果的な骨粗鬆症の予防法を確立することである。現在イソフラボンの骨に対する作用は、ダイゼインの代謝産物であり、活性の本体であると考えられているエクオール(Eq)の産生に影響を受けることが示唆されているが、Eqの腸管における産生には個体差があり、日本人では約50%が非産生者であることが報告されている。そこで、閉経期女性を対象に、大豆イソフラボンの介入試験を行ない、Eqの産生能と骨量減少を抑制する効果について、相関関係の有無を検討する。
研究方法
閉経後1-5年を経過した健常女性を募集し、大豆イソフラボン配糖体(フジフラボンP40、75mg/日;アグリコン換算47mg)の二重盲検無作為割付比較試験を行う。今年度は6ヶ月後の骨密度、血中骨代謝及び脂質代謝マーカー、血中及び尿中イソフラボン濃度、栄養調査、Eq産生能の解析を行った。また、1年後の血中ホルモン濃度に対する影響を評価した。身体組成の測定はDXA法により行った。倫理面への配慮として、被験者の人権擁護のための配慮およびインフォームドコンセントを十分に行った。
結果と考察
今年度は 6ヶ月及び1年後の測定を行なった。解析はプラセボ群51名、イソフラボン群46名の6ヶ月目の結果について行なった。
1. 糞便によるEq産生能の判定は尿中Eq排泄とよく相関した。
2. イソフラボン摂取により、血中Eq濃度はEq産生者で有意に上昇した。
3. 骨密度は6ヶ月間でプラセボ群及びイソフラボン群両群で低下したが、両群間に有意な差は認められなかった。骨密度の変化率をEq産生者と非産生者に分けて解析すると、Eq産生者の全身及び大腿骨近位部の骨密度の低下率は非産生者に比べて有意に低かった。
4. 試験開始1年後の血中エストラジオール、FSH、LH濃度は両群ともに初期値に比べて有意に低値を示したが、群間に有意な差は認められなかった。
結論
閉経後女性を対象とした大豆イソフラボン(配糖体75mg;アグリコン換算47mg)の6ヶ月間の介入は、骨代謝マーカー及び骨密度には影響しないが、ダイゼインの代謝産物であるエクオール産生能を考慮して解析を行なうと、エクオール産生者の全身及び大腿骨近位部の骨密度の低下率は非産生者に比べて有意に低いことが明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-14
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
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