ウイルスRNA結合ペプチドを用いたC型肝炎治療薬の開発

文献情報

文献番号
200500936A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルスRNA結合ペプチドを用いたC型肝炎治療薬の開発
課題番号
H16-創薬-031
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 哲朗(国立感染症研究所ウイルス第二部第四室)
研究分担者(所属機関)
  • 原田 和雄(東京学芸大学、(株)進化創薬)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
既存の治療薬とは異なる作用機序を有し、より有効かつ副作用の少ない抗HCV薬が開発されることにより、慢性C型肝炎を制圧し、肝硬変、肝細胞癌の発生を防ぐことが可能となる。本研究では、HCVの複製に必須なウイルスRNA領域に対する、選択性の高い結合ペプチドを創製し、C型肝炎治療薬としての開発を目指す。
研究方法
HCV-RNA結合ペプチドのスクリーニング: 本研究グループが独自に開発したRNA 結合ペプチド検出系KAN (Kanamycin antitermination)システム(RNA 9: 252-261(2003))を用いてHCV RNA結合スクリーニングを行った。
結果と考察
(1) HCV-RNA結合ペプチドのスクリーニングとペプチドによる抗HCV作用: HCV 3'UTR stem-loop IIのターミナルループ領域(以下SL2)を標的としたスクリーニングにおいて、陽性を示すペプチド9配列を検出した。これらのうち3配列はSL2選択的な結合を示した。この3ペプチドは配列中の特定の位置に共通したアミノ酸残基を有していることから、標的RNAに特異的に結合する構造的特徴を有することが期待される。現在、HCV複製増殖細胞系を用いた薬理効果の評価を行っている。一方、5'UTR IRESのstem-loop構造のうち5箇所を標的としてスクリーニングを行い、domain IIIa,cの標的に対して5種類の陽性クローンが得られ、そのうち1種類のペプチドがIRES依存的な翻訳を阻害することがわかった。しかしながら、そのRNA結合性は必ずしもHCV IRES特異的ではなかった。(2) HCVコア蛋白によるHCV翻訳阻害機構の解析:HCVコア蛋白はIRES stem-loop IIId領域と結合し翻訳を阻害することを報告しているが、その結合、翻訳阻害に必要な領域が明らかになればペプチドライブラリーの改良に繋がるものと期待される。種々のコア変異体を用いた解析からaa 5-13, 38-43, 58-71の各塩基性アミノ酸クラスターがIRES阻害として機能しうることが示された。
結論
独自に開発したKANシステムによるライブラリースクリーニングから、HCV RNA複製に重要な3'UTR SL2領域と選択的に結合する3種類のペプチドを同定した。HCV IRES結合ペプチド1種類が、試験管内でIRES活性を阻害することを見出した。

公開日・更新日

公開日
2006-04-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-