繊維芽細胞の放出するmacrophage活性化因子とJAG1蛋白の関連と臓器繊維化の機序解明

文献情報

文献番号
200500926A
報告書区分
総括
研究課題名
繊維芽細胞の放出するmacrophage活性化因子とJAG1蛋白の関連と臓器繊維化の機序解明
課題番号
H16-創薬-019
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
香坂 隆夫(国立成育医療センター第一専門診療部消化器科)
研究分担者(所属機関)
  • 多々納 俊雄(株式会社ユーエムエー)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
胆道閉鎖やアラジール症候群(AGS)、さらに小児期の肝炎において JAG1遺伝子異常が見出されたことより、肝の炎症機転におけるJAG1の役割について明らかにする。特に hepatocyte growth factor(HGF)や末梢血HCMV特異性T細胞など病態に関与する因子との関連を調べる。繊維細胞株の培養上清のmacrophage活性化因子とJAG 遺伝子の役割を明らかにし、生後進展する肝障害の繊維化の機序を解明する。
研究方法
本研究の趣旨に了解の得られた乳児、新生児期発症の肝疾患患者についてJAG1 遺伝子検索、ならびに末梢血HCMV特異性T細胞の検索をおこなった。各種細胞へのJAG、HGFの遺伝子導入はすでに発表した方法で行った。 細胞増殖能とサイトカインの測定はそれぞれMTT法、ELISA法で行なった。3T3細胞と、THP-1細胞の増殖および分化、IL-8の産生促進、細胞膜上のCD14の発現などは、MTT法、ELISA法、Fax analysisで検討した。
結果と考察
心疾患と肝疾患において、JAG1遺伝子異常を調べた結果、肝疾患に異常が認められることを確認し、劇症肝炎では10%に見出した。
JAG1遺伝子異常を持つAGSついて検討し、JAG1はHGFの発現に関与し、遺伝子異常により作用に相違のあることを明らかにした。
JAG1はNF-κBを介する系の炎症調節因子として働いており、免疫学的機序が重要と考えられた。その一貫として cytomegaro virus(HCMV)感染症+胆道閉鎖症例で新生児期の患者の末梢血HCMV特異性T細胞を調べ、その低下を認めた。
 線維細胞の上清にはmacrophage活性化因子の存在、JAG1による産生抑制について検討を行った。この因子はTHP-1に対し、増殖および分化、IL-8の産生促進、細胞膜上のCD14の発現などの作用を示した。因子同定のため、DNAチップによる解析を試みた。serum amyloid Pが macrophage活性化作用を有することTHP-1やヒト単核球を用いて確認した。
結論
JAG1はNF-κBを介する系の炎症調節因子として働いており、さらに繊維細胞の培養上清にある、THP-1刺激液性因子の発現を調節していることを明らかにした。これらの機序解明により肝の炎症と繊維化の機序解明とその阻止への治療の開発が可能となる。

公開日・更新日

公開日
2006-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-