呼吸不全に関する調査研究

文献情報

文献番号
200500862A
報告書区分
総括
研究課題名
呼吸不全に関する調査研究
課題番号
H17-難治-024
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
久保 惠嗣(信州大学医学部内科学第一講座)
研究分担者(所属機関)
  • 西村 正治(北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野)
  • 栗山 喬之(千葉大学大学院医学研究院加齢呼吸器病態制御学)
  • 赤柴 恒人(日本大学医学部呼吸器内科)
  • 三嶋 理晃(京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)
  • 瀬山 邦明(順天堂大学医学部呼吸器内科)
  • 石坂 彰敏(慶應義塾大学医学部呼吸器内科)
  • 長瀬 隆英(東京大学医学部呼吸器内科)
  • 永井 厚志(東京女子医科大学第一内科学講座)
  • 友池 仁暢(国立循環器病センター)
  • 坂谷 光則(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
  • 佐久間 聖仁(東北大学大学院医学系研究科内科病態学)
  • 木村 弘(奈良県立医科大学内科学第二講座)
  • 大井 元晴(互恵会 大阪回生病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
呼吸不全関連疾患(若年性肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺リンパ脈管筋腫症(LAM)・肥満低換気症候群(OHS)を含む閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)・肺胞低換気症候群・原発性肺高血圧症(PPH)・慢性血栓塞栓性高血圧症(CTEPH))を対象として、病因・病態の探求、新たな治療法の模索・開発を目指す。




研究方法
臨床疫学的・病理学的・分子生物学的および遺伝子学的解析を駆使し発症機序・病態を解明すると共に、治療法の確立を目指して多方面からアプローチした。
結果と考察
COPDに関して:HRCT画像による早期発見、気腫病変・気道病変の経年的変化、病型による臨床的特徴を明らかにした。HO-1、TGF-β1遺伝子多型の病態への関与、発症機序としての細胞老化、抑制因子としてのリンパ球および加齢指標蛋白質(SMP30)の役割、IL-13α2受容体を介した粘液産生亢進に対するネガティブフィードバック機構の解明。長時間作用型抗コリン薬の臨床効果、呼吸リハビリテーションの長期効果、急性増悪に対する予防薬の可能性について検討した。
LAMに関して:診断基準の作成、QOL調査をおこなった。病態に関して、LAMは形態学的・機能的に異なる複数種類の細胞より成り立つ可能性が示唆され、血清中MMP-9が病勢や予後を推定する指標となる可能性が示された。
OHSを含むSASに関して:SASのスクリーニングとしての質問表、無拘束タイプ簡易診断機の有用性を報告した。病態に関して、酸化ストレス・炎症性サイトカイン・転写因子を介して動脈硬化の促進およびメタボリックシンドローム(MS)と密接な関係にあること、チオレドキシンは酸化ストレスの指標として有用であること、抗動脈硬化作用をもつアディポネクチンはMSの病態に強く関与することが示唆された。
PPHおよびCTEPHに関して:臨床個人調査票により疫学的調査をおこない、わが国における有病率や臨床的な特徴や問題点が明らかにした。治療に関して、CHD-PAH を含めてPGI2、シルデナフィル、ボセンタン、NO吸入療法などの併用効果の可能性が示唆され、治療指針の再編をおこなう必要がある。
結論
呼吸不全関連6疾患の病態、発症機序、合併症・予後との関連など一端が明らかとなり、新たな治療法の可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2006-05-11
更新日
-