間脳下垂体機能障害に関する調査研究

文献情報

文献番号
200500853A
報告書区分
総括
研究課題名
間脳下垂体機能障害に関する調査研究
課題番号
H17-難治-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
千原 和夫(神戸大学大学院医学系研究科 応用分子医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 石川 三衛(自治医科大学附属大宮医療センター 総合医学)
  • 苛原 稔(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 発生発達医学)
  • 大磯 ユタカ(名古屋大学大学院医学系研究科 内科学)
  • 長村 義之(東海大学医学部 病理診断学)
  • 島津 章(国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター)
  • 須田 俊宏(弘前大学医学部 内科学)
  • 巽 圭太(大阪大学大学院医学系研究科 臨床検査診断学)
  • 田中 敏章(国立成育医療センター 臨床検査部)
  • 寺本 明(日本医科大学 脳神経外科学)
  • 橋本 浩三(高知大学医学部 内科学)
  • 肥塚 直美(東京女子医科大学 内科学)
  • 平田 結喜緒(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 体内分子制御学)
  • 森 昌朋(群馬大学大学院医学系研究科 内科学)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 技術評価部)
  • 有田 和徳(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 神経病態制御外科学)
  • 置村 康彦(神戸大学医学部 内科学)
  • 清水 力(北海道大学病院 検査部)
  • 菅原 明(東北大学医学部附属病院 総合診療部)
  • 高野 幸路(東京大学医学部 腎臓・内分泌内科)
  • 柳瀬 敏彦(九州大学大学院医学研究院 内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
種々の間脳下垂体疾患の病因、病態を把握し、その有用な診断治療法を確立する。
研究方法
A)基礎研究、B)臨床研究、およびC)疫学研究が各分担研究者によって行なわれた。研究者によりその手法は異なるので、詳細は結果と考察の項に併せて記載する。
結果と考察
A) 遺伝子組換えマウスを用いた病態解析より、家族性中枢性尿崩症の発症に異常蛋白の蓄積、E2および脱水負荷が関与しており、発症予防に脱水の回避が有効であることが示唆された。ソマトスタチン受容体(SSTR)発現解析より、非機能性下垂体腺腫の中にもオクトレオチドなどの効果が期待できる症例が存在する可能性が示唆された。5型SSTR選択的アゴニスト SOM230 がクッシング病の新たな治療薬となりうる可能性が示唆された。ACTH(1-39)産生肺小細胞癌が樹立された。散発性下垂体腺腫においてMENIN-p27系の抑制が腫瘍発生に関与している可能性が示唆された。マイクロアレイを用いてグレリンの血管内皮細胞における遺伝子発現に及ぼす影響が調べられた。ソマトスタチンアナログによるヒトGH産生下垂体腺腫の縮小機構にp70S6キナーゼの不活化が関与することが明らかになった。下垂体高発現遺伝子が先天性下垂体ホルモン複合欠損症の病因となる可能性が検討された。
B) プレクリニカルクッシング病の診断基準、 成長ホルモン分泌不全(GHD)性低身長症の小児期から成人期GH治療への移行ガイドラインを作成した。先端巨大症の寛解のGH基準値を変更すべきか検討した。下垂体偶発腫自然歴から、鞍上部に進展する実質性病変以外の偶発腫は無症候の間は経過観察でよいことが判明した。間脳下垂体腫瘍の術後GHDの頻度と各腫瘍の年間推計発生数から、本邦における間脳下垂体腫瘍によるGHDの発生数を1200人以上/年前後と推定した。成人GHDと各種代謝マーカーとの関連性が検討された。徐放型ソマトスタチンアナログの糖代謝に及ぼす影響については検討が必要と考えられた。下垂体マクロアデノーマが病因と考えられるSIADHの2症例が報告された。
C) 下垂体機能低下症の疾患特異的QOL質問紙を開発した。間脳下垂体機能障害の長期予後追跡調査法に関して検討した。間脳下垂体疾患データベース構築の準備が整った。
結論
以上の成果は、間脳下垂体機能障害の新たな治療法を開発するうえで有用であると考える。また、新たに作成された診断治療ガイドラインの活用が期待される

公開日・更新日

公開日
2006-05-11
更新日
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