司法精神医学の人材育成等に関する研究

文献情報

文献番号
200500825A
報告書区分
総括
研究課題名
司法精神医学の人材育成等に関する研究
課題番号
H17-こころ-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
林 拓二(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 清水 徹男(秋田大学医学部精神科学分野)
  • 三國 雅彦(群馬大学大学院医学系研究科脳神経精神行動学)
  • 中谷 陽二(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 伊豫 雅臣(千葉大学大学院医学研究院精神医学)
  • 倉知 正佳(富山医科薬科大学精神神経医学)
  • 岡崎 祐士(三重大学大学院医学系研究科精神病態学分野)
  • 佐野 輝(鹿児島大学大学院院医歯学総合研究科精神神経医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療観察法が施行された現在、司法精神医学を専門にする研究者あるいは臨床精神科医の教育システムの整備は、早急に行わなければならない。そこで、司法精神医学の人材育成と地域ネットワークの構築に向けて取り組み、卒前・卒後教育を含めた司法精神医学の教育と啓発、鑑定に関する各種のカンファレンス、法精神医学に関わる研究会などを各地域で立ち上げ、司法精神医学に関心のある若手医師を養成し、さらに司法精神医学領域の研究を活発にしたい。
研究方法
上記の目的に沿い、出来る限り多くの医師が、精神鑑定に関する検討会(カンファレンスや司法精神医学研究会)に参加しうるシステムを作るため、各地域での研究会の立ち上げに取り組んでいる。そして、精神鑑定に最先端技術を取り入れ、客観的な基準をつくることで、司法精神医学が、若手研究者にとっても魅力のある領域にしていきたい。
結果と考察
秋田では、司法精神医学に関わる人材育成の方策を考え、秋田司法精神医学研究会を立ち上げた。群馬では、群馬司法精神医学・医療懇話会によって若手医師の養成を行なっている。筑波では、触法精神障害者に対して看護婦が持つイメージを明らかにするためにアンケート調査が行われた。千葉では、第一回千葉司法精神保健研究会を立ち上げ、精神科医、検察官、社会復帰調整官をまじえて、医療観察法に関与する若手医師などの教育を行なっている。富山大学からは、北陸司法精神医学懇話会の活動と、ドイツでの司法精神医学の人材養成の状況が報告され、三重大学からは、アメリカの状況が報告された。鹿児島からは、県の精神鑑定業務に関するアンケート調査の報告があり、鑑定業務の特定医師への集中が見られるものの、公的病院における鑑定の比重が高くなってきたことが報告された。京都では、第一回京都法精神医学研究会が開催され、隔月の精神鑑定カンファレンスが行われている。
 法精神医学研究会では、医師のほか、多くの医療関係者が集まり、サイコパスの神経心理学的研究や医療観察法下での鑑定入院の問題、責任能力に関する教育講演、そして、少年矯正施設での問題を検討するシンポジウムが行われた。
 このように、それぞれの地区で行われる研究会は、若手研究者の研究発表の場となり、また、教育の場ともなりうるものである。
結論
 各地域での人材育成に向けた活発な活動を重ねることによって、司法精神医学は、若手精神科医にとっても極めて魅力的な学問領域と認識されるに違いない。

公開日・更新日

公開日
2006-06-27
更新日
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