文献情報
文献番号
200500824A
報告書区分
総括
研究課題名
統合失調症の生物学的マーカーの開発に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-こころ-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
伊豫 雅臣(千葉大学大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
- 橋本 謙二(千葉大学社会精神保健教育研究センター)
- 清水 栄司(千葉大学大学院医学研究院 )
- 功刀 浩(国立精神・神経センター神経研究所・精神医学/分子遺伝学)
- 吉川 武男(理化学研究所脳科学研究所・精神医学/分子遺伝学)
- 稲田 俊也(帝京大学医学部付属市原病院/メンタルヘルス科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では1.未治療統合失調症患者における脳脊髄液中D型セリン/総セリン濃度比に関する研究、2.未治療初発統合失調症脳脊髄液のグルタミン、グルタミン酸濃度の測定、3.ミッドカインノックアウトマウスの統合失調症としての検討、4.統合失調症における後部帯状回の代謝変化と認知機能障害に関するMRS研究、を行うことにより統合失調症の生物学的マーカー開発を行った。さらに我々は健常者および統合失調症患者のDNAや血清中蛋白の収集を行っているが、それらのサンプルは今後の研究にて解析を進める予定である。
研究方法
1.未治療統合失調症患者における脳脊髄液中D型セリン/総セリン濃度比をカラムスイッチング液体クロマトグラフィーにて測定した。
2.未治療初発統合失調症脳脊髄液のグルタミン、グルタミン酸濃度の測定を高速液体クロマトグラフィーにて測定した。
3.ミッドカインノックアウトマウスの統合失調症モデルとしての可能性を生化学的実験および行動実験にて行った。
4.統合失調症における後部帯状回の代謝変化と認知機能障害の関係についてMRS研究を用いて行った。
(倫理面への配慮)
本研究は千葉大学大学院医学研究院倫理委員会にて承認を得、実験前に説明同意を得た。
2.未治療初発統合失調症脳脊髄液のグルタミン、グルタミン酸濃度の測定を高速液体クロマトグラフィーにて測定した。
3.ミッドカインノックアウトマウスの統合失調症モデルとしての可能性を生化学的実験および行動実験にて行った。
4.統合失調症における後部帯状回の代謝変化と認知機能障害の関係についてMRS研究を用いて行った。
(倫理面への配慮)
本研究は千葉大学大学院医学研究院倫理委員会にて承認を得、実験前に説明同意を得た。
結果と考察
1.本研究より初発で未治療の統合失調症患者では脳内のD型セリン/総セリン濃度比が低下しており、の合成代謝過程に異常があることが示唆された。
2.未治療初発統合失調症脳脊髄液のグルタミン、グルタミン酸濃度の比が上昇しており、統合失調症では脳内のグルタミン‐グルタミン酸サイクルに機能障害が生じていることが示唆された。
3.ミッドカインノックアウトマウスではドパミン系の異常やPPIの障害があり、ミドカインが統合失調症の病態生理にも関与している可能性が示唆された。
4.統合失調症では後部帯状回の代謝変化があり、認知機能障害に関係していることが示唆された。
2.未治療初発統合失調症脳脊髄液のグルタミン、グルタミン酸濃度の比が上昇しており、統合失調症では脳内のグルタミン‐グルタミン酸サイクルに機能障害が生じていることが示唆された。
3.ミッドカインノックアウトマウスではドパミン系の異常やPPIの障害があり、ミドカインが統合失調症の病態生理にも関与している可能性が示唆された。
4.統合失調症では後部帯状回の代謝変化があり、認知機能障害に関係していることが示唆された。
結論
本研究により、血清中および脳脊髄液中D型セリン濃度/総セリン濃度比、および脳脊髄液中グルタミン/グルタミン酸濃度比は統合失調症の病態生理に関与した生物学的マーカーである可能性があること、血清中ミッドカイン濃度の低下は統合失調症の病態生理に関係している可能性のあること、MRSと認知機能検査を組み合わせることにより、統合失調症に特徴的な変化を見出せる可能性のあることが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2006-05-17
更新日
-