定量的神経画像による線条体疾患の病態解明と治療法開発

文献情報

文献番号
200500818A
報告書区分
総括
研究課題名
定量的神経画像による線条体疾患の病態解明と治療法開発
課題番号
H17-こころ-025
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 秀博(国立循環器病センター研究所 先進医工学センター 放射線医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 林 拓也(国立循環器病センター研究所放射線医学部)
  • 渡部浩司(国立循環器病センター研究所放射線医学部)
  • 大西隆(国立精神神経センター放射線診療部)
  • 佐藤博司(国立循環器病センター研究所放射線医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
線条体は、我々が社会生活をする上で重要な意欲・認知・運動機能を担い、多くの神経難病、精神疾患の発症に関与する。しかし線条体の構造・機能の詳細はサル脳での侵襲的手法でしか調べられていない。本研究は、非侵襲的画像撮像・解析法により線条体内の構造分離と機能局在を解明し、線条体疾患の病態や治療有効性を定量的に評価する法を確立し難治性精神・神経疾患医療福祉に貢献することを目標とする。
研究方法
本研究は非侵襲的画像撮像・解析技術により、ヒトの線条体機能・構造の解明するための方法論的開発と応用研究を行うもので以下の3構成から成る。1)線条体の線維連絡性の定量的評価:磁気共鳴画像(MRI)による拡散強調画像、確率論的手法により線条体神経線維連絡性の定量的評価法について撮像・解析技術開発ならびに正常サル脳・正常ヒト脳における妥当性評価を行う。また前頭葉機能を一過性に(安全に)機能不全に陥らせる方法(経頭蓋磁気刺激法)を神経画像法と組み合わせ脳活動・認知機能を評価することで前頭葉―線条体回路の機能的連絡性を解明する。2)ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)を用いた連続収集法によるBmax, Kd同時測定法の開発。3)パーキンソン病、線条体黒質変性症等の神経疾患、統合失調症等の精神疾患の病態評価、再生治療の有効性の画像による評価。
結果と考察
結果:1)サル・ヒト脳での拡散強調画像の画像収集法・解析法の基礎的検討を行った。工学・技術的開発により最小限の歪み・信号対雑音比の高いデータ収集が可能となった。MRI装置に最新式の高磁場(3テスラ)撮像装置を使用した。またサル脳の統計学的線維連絡性評価により、過去の報告および既知の方法による結果に対応した結果を得た。少数例の健常者において非侵襲定位脳装置下の経頭蓋磁気刺激、脳機能画像撮像を開始し当初仮説した結果が得られた。2)動物実験により連続収集による内因性ドーパミン測定を開始し良好な画像が得られた。PET収集には最新式の動物専用高解像度PET装置(MicroPET)を使用した。考察:初年度(17年度)画像撮像・解析の技術・工学的検討により十分な質のデータ収集を可能とした。
結論
(未だ一部ではあるが)定量的画像撮像・解析法が確立しつつある。次年度以後もサルなどの動物を用いた実験と健常者による検証が重要であるが、疾病患者におけるデータ収集・解析の予備検討も可能となった。

公開日・更新日

公開日
2006-05-17
更新日
-