終板アセチルコリンエステラーゼ欠損症、及び、他の細胞外マトリックス分子欠損症におけるタンパク標的療法の開発研究

文献情報

文献番号
200500816A
報告書区分
総括
研究課題名
終板アセチルコリンエステラーゼ欠損症、及び、他の細胞外マトリックス分子欠損症におけるタンパク標的療法の開発研究
課題番号
H17-こころ-023
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大野 欽司(名古屋大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 祖父江 元(名古屋大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
神経筋接合部の分子欠損症による先天性筋無力症候群は、世界中から数多くの症例が報告されているが日本からの報告は少ない。諸外国でもde novo変異が数多く存在することや、小家系ごとに特有の変異が見つかることから、本症候群は日本にも数多く存在すると思われる。先天性筋無力症候群は欠損分子に応じた治療が可能であるサブタイプが多く、本症候群の診断・病態研究・治療方法開発研究は極めて重要である。
先天性筋無力症候群の中でも、collagen Q変異による終板アセチルコリンエステラーゼ(AChE)欠損症は、従来、全く治療法が存在しなかった。本研究では、終板AChE欠損症に対して、臨床応用を近視野に入れたタンパク標的療法の開発研究を行う。本研究にて開発する手法は、神経難治疾患を含む他の細胞外マトリックスタンパク欠損症への応用の可能性があり、本手法を他の分子へ適用するための基盤的研究も行う。
研究方法
本研究では、(i) A12-AChEが細胞外構造タンパクであること、(ii) collagen Qがシナプス基底膜への特異的係留シグナルを有すること、(iii) A12-AChE がCOS細胞やHEK293細胞においては細胞外分泌されることを利用し、COLQ遺伝子欠損モデル動物のリンパ球に正常COLQ遺伝子と正常ACHE遺伝子を導入し、A12-AChEを血中に発現させ、血流を介したシナプス基底膜への係留を試みる。
結果と考察
Clontech社のpSIREN RetroQベクターにACHE遺伝子とCOLQ遺伝子をIRES2を挟み挿入を試みた。次に、monocistroinic constructsの作成を試みたが、いずれも頻発する予期せぬ組み換えのために成功しなかった。次に、StratageneのpFBを使い、ACHE遺伝子とCOLQ遺伝子をpFBにmonocistronicに挿入をした。この予期せぬ組み換えのトラブルシューティングに当初の予想以上の時間を費やしたが、今後、まず正常マウス脾臓よりTリンパ球を単離し、レトロウィルスの導入を行っていく予定である。
結論
現在までのところ、細胞外分子欠損症に対する治療法開発研究では予備的なデータを得ているのみであり、成果の活用・提供という段階には至っていない。

公開日・更新日

公開日
2006-05-17
更新日
-