ストレス性精神障害の予防と介入に携わる専門職のスキル向上と情報データベース構築に関する研究

文献情報

文献番号
200500800A
報告書区分
総括
研究課題名
ストレス性精神障害の予防と介入に携わる専門職のスキル向上と情報データベース構築に関する研究
課題番号
H17-こころ-015
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 寛(財団法人21世紀ヒューマンケア研究機構)
研究分担者(所属機関)
  • 廣常 秀人(財団法人21世紀ヒューマンケア研究機構)
  • 飛鳥井 望(東京都精神医学総合研究所)
  • 前田 正治(久留米大学医学部)
  • 小西 聖子(武蔵野大学 人間関係学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
災害救援者や医療関係者などは、業務中に凄惨な現場に遭遇することによって大きな心理的影響を受けることがある。様々な職種でそのような事態がどの程度発生し、どのような精神保健上の問題につながるかについて、実証的調査を行う。また、望ましい予防介入の方法について検討する。
研究方法
①さまざまな職域での実態調査
②介入および支援方法の現状と効果の評価
③教育研修の実施および情報提供データベースの運用準備
などを行った。
結果と考察
実態調査の対象としたのは、消防士、看護師、犯罪被害者支援スタッフ、および海上保安庁職員である。それぞれの結果を示す。
殉職事故の現場に出動した消防隊員:事故から14ヶ月目の時点でPTSDハイリスク者7.6%
精神科急性期病棟に勤務する看護師:暴力・脅迫などの経験:19%、PTSDハイリスク者7%
阪神大震災で全壊した病院の看護職員:震災から10年経過した時点でPTSDハイリスク者14.6%
海上保安官:惨事ストレス体験があるものは70%、PTSDハイリスク者は13.0%
また、介入および支援方法の現状と効果の評価としては、欧米で実施されてきた惨事ストレスディブリーフィング(Critical Incident Stress Debriefing)、外傷記憶再構成法(Traumatic Memory Restructuring)などについてレビューした。さらに実際の災害現場に導入された惨事ストレス対策の一例として海上保安官を対象とし、スマトラ沖地震・津波災害の際に提供された活動を報告した。
結論
災害救援者および対人援助職が職務に関連して体験する外傷的事態は予想以上に多く、その影響は看過できないものであることが明示された。すでに対策を導入し始めた消防士や海上保安官などの組織もあるが、今後は、医療、保健などの分野においても同様の施策展開に関与していく必要がある。その場合、介入法の有効性を吟味しながら、それぞれの職域に適した方法を導入していくことが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2006-07-25
更新日
-