ガイドライン普及のための対策とそれに伴うQOLの向上に関する研究

文献情報

文献番号
200500756A
報告書区分
総括
研究課題名
ガイドライン普及のための対策とそれに伴うQOLの向上に関する研究
課題番号
H17-免疫-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
須甲 松信(財団法人日本アレルギー協会)
研究分担者(所属機関)
  • 大田 健(帝京大学医学部)
  • 長谷川 眞紀(国立病院機構相模原病院)
  • 大久保 公裕(日本医科大学医学部)
  • 海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院)
  • 江藤 隆史(東京逓信病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アレルギー疾患の増加への対策として、厚生労働省と各学術学会は協力して成人喘息、小児喘息、鼻アレルギー、アトピー性皮膚炎などの「診療ガイドライン」を作成して以来、特に喘息患者の重症発作および喘息死が減少しているが、一段と成果を挙げるには初期診療、慢性期治療を担うべき「かかりつけ医」へのガイドライン普及が欠かせない。この研究事業はアレルギー非専門医への効果的な普及方法の確立と患者QOLの向上を目的とする。
研究方法
1)(財)日本アレルギー協会・地方医師会主催の「アレルギー研修会」に出席した「かかりつけ医」を対象に、各アレルギーガイドラインの認知度、利用度について調査した。(2)喘息ガイドライン2006年度版の改訂と喘息QOL票の項目評価作業を行った。(3)標準的なガイドライン解説講演用スライドと非専門医への体験学習用教材である「ガイドライン実践プログラム」を作成し、アレルギー研修会に実証試験を導入した。(4)各ガイドラインの平易なガイドライン小冊子を作成し、ガイドライン専用Webサイトに掲載するとともにオンライン「実践プログラム」を開発した。(5)救急センターへ受診した喘息患者の治療状況を把握し、救急スタッフの啓発と携帯用「患者カード」の作成を行った。
結果と考察
(1)「かかりつけ医」のガイドライン認知度は、喘息の71%を最大に、小児喘息53%、鼻アレルギー45%、アトピー性皮膚炎38%で、利用度はそれらの6割ほどであった。非専門医用の平易な解説書が望まれる。(2)喘息ガイドライン2006改訂版と成人喘息QOL票(AHQ-JAPAN)が完成した。患者のQOL向上を指標にしたガイドラインの内容評価が期待できる。(3)アレルギー研修会・講演会における「ガイドライン実践プログラム」実証試験への参加率は1割強と少ないことから、今後、「かかりつけ医」と病診連携を担うアレルギー基幹病院への応用が必要である。(5)救急の場におけるスタッフの啓発や患者指導が喘息死の予防と患者自己管理に重要である。
結論
「かかりつけ医」に対する診療ガイドラインの普及とQOLの向上には、啓発講演会の開催のみならず、地域の病診連携を担うアレルギー基幹病院を中心とした活動が重要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-07-20
更新日
-