アトピー性皮膚炎の有症率調査法の確立および有症率(発症率)低下・症状悪化防止対策における生活環境整備に関する研究

文献情報

文献番号
200500749A
報告書区分
総括
研究課題名
アトピー性皮膚炎の有症率調査法の確立および有症率(発症率)低下・症状悪化防止対策における生活環境整備に関する研究
課題番号
H15-免疫-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
河野 陽一(国立大学法人千葉大学大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 池澤 善郎(横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学)
  • 笠置 文善(放射線影響研究所)
  • 森川 昭廣(群馬大学大学院医学系研究科小児生体防御学分野)
  • 佐伯 秀久(東京大学医学部附属病院皮膚科)
  • 占部 和敬(九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野)
  • 下条 直樹(千葉大学大学院医学研究院小?病態学)
  • 菅野 雅元(広島大学大学院医歯薬総合研究科創生医科学専攻探索医科学講座免疫学)
  • 小田嶋 博(国立病院機構福岡病院診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.ADの有症率の調査法の確立
 専門医の健診によらず、「ADの診断のための質問票」によるAD有症率調査法を確立する。
2.AD有症率(発症率)の低下・症状悪化防止対策における生活環境整備の有用性の検討
 ADの発症および症状悪化に関与する因子を明らかにし、それらに基づく対策を提供する。
3.ADを診療する医師をひろく対象とするAD治療ガイドラインの改訂
研究方法
1)成人ADの有症率調査を医師の診察に基づいて行った。
2)「診断のための質問票」を改良し、複数地区においてその感度、特異度を検証した。
3)4か月、1歳6か月、3歳時健診受診児の診察とアンケート調査から乳幼児ADの発症関連因子を解析した。
4)複数の地域の保健所において4か月、1歳6か月、3歳時健診受診児におけるADの経過の追跡調査を行った。
5)皮膚バリア機能とADの関連を4か月児健診受診児を対象として調査した。
6)小学校および幼稚園・保育園においてシャワー浴の効果を検証した。
7)組織傷害によるADの誘導機序について基礎的解明を行った。

結果と考察
1) 成人集団のAD有症率、重症度を年代別に明らかにした。
2)「AD診断のための質問票」の感度と特異度を特定できた。
3) ADの診断の確率を表す質問事項の評価チャ-トを作成した。
4) 乳幼児ADの発症・悪化因子は、両親のアレルギー既往歴、兄弟数の多さ、集団保育、早期母乳開始等であった。
5) 4か月AD児で皮膚のバリア機能の異常が認められた。
6) 動物実験モデルで、皮膚組織の傷害による接触皮膚炎の増悪が確認された。
7) 学童および幼児のシャワー浴の効果を確認した。
8)「AD治療ガイドライン2005」を作成した。

結論
1) AD診断における特異度・感度が明確にされた学童・乳幼児AD有症率調査用質問票を作成した。
2) ADの発症・悪化に関連する因子の一部が同定された。

公開日・更新日

公開日
2006-07-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200500749B
報告書区分
総合
研究課題名
アトピー性皮膚炎の有症率調査法の確立および有症率(発症率)低下・症状悪化防止対策における生活環境整備に関する研究
課題番号
H15-免疫-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
河野 陽一(国立大学法人千葉大学大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 池澤 善郎(横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学)
  • 佐伯 秀久(東京大学医学部附属病院皮膚科)
  • 占部 和敬(九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野)
  • 笠置 文善(放射線影響研究所疫学部)
  • 森川 昭廣(群馬大学大学院医学系研究科小児生体防御学分野)
  • 小田嶋 博(国立病院機構福岡病院診療部)
  • 下条 直樹(千葉大学大学院医学研究院小児病態学)
  • 菅野 雅元(広島大学大学院医歯薬総合研究科創生医科学専攻探索医科学講座免疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)ADの有症率の調査法の確立
 専門医の健診によらず、「ADの診断のための質問票」によるAD有症率調査法を確立する。
2)AD有症率(発症率)の低下・症状悪化防止対策における生活環境整備の有用性の検討
 ADの発症および症状悪化に関与する因子を明らかにし、それらに基づく対策を提供する。
3)ADを診療する医師をひろく対象とするAD治療ガイドラインの改訂
研究方法
1)「診断のための質問票」を改良し、複数地区においてその感度、特異度を検証した。
2) 成人ADの有症率調査を医師の診察に基づいて行った。
3)症状経過質問票等を用いた調査からAD患者の悪化因子を解析した。
4) 4か月、1歳6か月、3歳時健診受診児の診察とアンケート調査から乳幼児ADの発症関連因子を解析した。
5)複数の地域の保健所において4か月、1歳6か月、3歳時健診受診児におけるADの経過の追跡調査を行った。
6)皮膚バリア機能とADの関連を4か月児健診受診児を対象として調査した。
7)小学校および幼稚園・保育園においてシャワー浴の効果を検証した。
8)組織傷害によるADの誘導機序について動物実験に基づき基礎的解明を行った。
結果と考察
1)「AD診断のための質問票」の感度と特異度を特定できた。
2) ADの診断の確率を表す質問事項の評価チャ-トを作成した。
3)ADの有症率は幼児期をピークに加齢とともに低下し、重症度は小学校入学以降20ー30代までに最も高くその後低下することが示された。
4) ADの発症・悪化因子の寄与の程度が患者の年齢によって異なることが示唆された。
5) 乳幼児ADの発症・悪化因子は、両親のアレルギー既往歴、兄弟数の多さ、集団保育、早期母乳開始等であった。
6) 発症年齢により乳幼児ADの経過が異なることが示唆された。
7) 4か月AD児で皮膚のバリア機能の異常が認められた。
8) 動物実験モデルで、皮膚組織の傷害による接触皮膚炎の増悪が確認された。
9) 学童および幼児のシャワー浴の効果を確認した。
10)「AD治療ガイドライン2005」を作成した。

結論
1) AD診断における特異度・感度が明確にされた学童・乳幼児AD有症率調査用質問票を作成した。
2) ADの発症・悪化に関連する因子の一部が同定された。
3)「AD治療ガイドライン2005」を作成した。

公開日・更新日

公開日
2006-07-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500749C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1) ADの診断に使用可能な質問票を作成した。
2)全年齢にわたるADの有症率、重症度を明らかにした。
3)ADの発症・悪化因子が年齢により異なることを明らかにした。
4) 乳幼児ADの発症・悪化における遺伝・環境素因について我が国での情報を得た。
5)発症年齢によりADの経過が異なることを示した。
6) 動物実験モデルで、皮膚組織の傷害による接触皮膚炎の増悪が確認された。
7) 学童および幼児のシャワー浴の効果を確認した。
8) 4か月AD児で皮膚のバリア機能の異常を客観的に検証した。
臨床的観点からの成果
1) 学童および幼児のシャワー浴の効果を確認した。
2)乳幼児ADの発症・悪化における遺伝素因、環境素因の解析からハイリスク児を同定して、早期の生活環境整備対策が可能となると考えられた。
ガイドライン等の開発
「AD治療ガイドライン2002」を改訂し、「AD治療ガイドライン2005」を作成した。
その他行政的観点からの成果
1)医師の診断と相関があるADの診断に使用可能な質問票が作成できた。今後医師の診察によらず本質問票によるアンケート調査に基づいてAD有症率の推定が可能となった。
2)ADの診断の確率を表す質問事項の評価チャ-トを作成した。これをネット上で公開する予定である。一般市民にとって病院受診の必要性の理解や不必要なAD発症に対する不安の解消等にきわめて有用と考えられる。
その他のインパクト
シャワー浴の効果は全国紙に掲載された。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
5件
その他論文(和文)
18件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
43件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
) Saeki H, Iizuka H, Akasaka T, et al
Prevalence of atopic dermatitis in Japanese elementary schoolchildren.
Br J Dermatol , 152 , 110-114  (2005)
原著論文2
Kawano Y, Morikawa M, Watanabe M, et al.
Fetal growth promotion in allergic children.
Pediatr Allergy Immunology , 16 , 354-356  (2005)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-