関節リウマチの早期診断法の確立及び臨床経過の予測に関する研究

文献情報

文献番号
200500738A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチの早期診断法の確立及び臨床経過の予測に関する研究
課題番号
H16-免疫-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
江口 勝美(長崎大学)
研究分担者(所属機関)
  • 三森 経世(京都大学 大学院医学研究科)
  • 住田 孝之(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
  • 岡本  尚(名古屋市立大学 大学院医学研究科)
  • 土屋 尚之(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 塩澤 俊一(神戸大学 医学部)
  • 中野 正明(新潟大学 医学部)
  • 上谷 雅孝(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 右田 清志(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 関節リウマチ (RA) の早期診断基準の作成と、臨床経過、特に関節破壊の予知因子の解明を目的とした。
研究方法
 早期関節炎クリニックを設立した。一般臨床医から多関節痛を主訴とした患者を紹介してもらい、登録した。臨床所見、臨床検査、画像検査 (単純骨X線、両手・指同時 MRI 撮像)、遺伝子検査を施行した。その後、6ヶ月間隔で臨床経過を追跡した。
結果と考察
 臨床経過を追跡し、RA の ACR 1987年改訂分類基準を満たした RA 患者80例と非 RA 患者33例で、初診時の検査所見を多変量解析した。1) 抗 CCP 抗体もしくは IgM-RF、2) 対称性手・指滑膜炎 (MRI 画像)、3) 骨髄浮腫もしくは骨ビラン像 (MRI 画像)、が RA と非 RA を鑑別するのに危険因子として抽出された。この3項目中2項目陽性とする早期 RA 診断基準を作成した。その感度は83%、特異度は85%、陽性予測値は93%、陰性予測値は67%、診断確度は83%であった。さらに、この早期 RA 診断基準の妥当性を検証した。コンパクト MRI 撮像は、従来の MRI 撮像と比較して省スペース、造影剤不要、短時間で撮影可能で、RA の早期診断に有用であることを明らかにした。
 MRI 撮像で検出される骨ビランは単純骨X線上の骨ビランに先行して見られた。骨髄浮腫から骨ビランへ進行することが示唆された。初診時に MRI 撮像で骨変化 (骨髄浮腫と骨ビラン像) があった関節は、骨変化がなかった関節に比較して、単純骨X線で検出される骨ビラン数が臨床経過に従って進行的に増加した。初診時の MRI 画像で骨髄浮腫は早期 RA 患者の60%に検出され、骨髄浮腫数は骨ビラン数、E-rate、CRP、MMP-3、IL-6値と相関した。また、骨髄浮腫は抗 CCP 抗体と HLA-DRB1*0405アリルを保有している患者に高頻度に検出された。
結論
 自己抗体、MRI 画像による対称性手・指滑膜炎と骨変化からなる RA の早期診断基準を作成し、その妥当性を検証した。関節破壊の進行の予知因子として、MRI 画像による骨変化が最も有用であり、この骨変化は炎症所見 (CRP、MMP-3値)、抗 CCP 抗体、HLA-DRB1*0405と相関していることを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2006-07-20
更新日
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