文献情報
文献番号
200500736A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫疾患の既存治療法の評価とその合併症に関する研究
課題番号
H17-免疫-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
田中 良哉(産業医科大学医学部第一内科学講座)
研究分担者(所属機関)
- 渥美 達也(北海道大学大学院医学研究科病態内科学講座)
- 猪熊 茂子(都立駒込病院アレルギー膠原病内科)
- 金井 美紀(順天堂大学医学部膠原病内科)
- 亀田 秀人(埼玉医科大学総合医療センターリウマチ・膠原病内科)
- 熊谷 俊一(神戸大学大学院医学系研究科臨床病態免疫学講座)
- 近藤 啓文(北里大学医学部膠原病・感染内科)
- 原 まさ子(東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター)
- 平形 道人(慶應義塾大学医学部内科)
- 広畑 俊成(帝京大学医学部内科)
- 齋藤 和義(産業医科大学医学部第一内科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
全身性自己免疫疾患(膠原病)は多臓器病変を特徴とし、長期に亘り生活に著しい支障をきたすが、治療は、ステロイド薬、免疫抑制薬等の副作用の多い非特異的免疫療法が中心で、これら既存治療法による合併症は、生命予後を決定する重要な因子である。しかし、既存治療法の評価や合併症対策は、各施設の裁量に委ねられ、エビデンスの少ない治療法を選択しているのが現状である。これら多岐に亘る課題を解決するために、多施設間での共同臨床研究を介して多数症例を集積し、疾患制御、臓器障害、長期予後、QOL向上などの観点から解析することを目的とする。
研究方法
免疫疾患の既存治療法を、(1)呼吸器障害、(2)中枢神経障害、(3)血液障害に焦点を絞って、有効性や副作用の発現を評価した。既存治療法による合併症として(1)日和見感染症、(2)ステロイド骨粗鬆症に焦点を絞り、後向き、及び、前向き研究を行った。
結果と考察
1. 膠原病に伴う呼吸器障害への既存治療法の評価:間質性肺炎303例の後向き解析で、ステロイド投与群の予後は非投与群と比べ有意に悪かった。肺高血圧症79例の生命予後比較ではステロイド投与の有無で有意差はなかった。
2. ループス精神病:ステロイド単独治療、+ステロイドパルス、+シクロホスファミドパルス(IV-CY)を比較し、IV-CY群は、治療開始後2年後の予後と寛解維持率が高い傾向を示した。死亡例と再発例は、IV-CY群では15%程度と最も少なかった。
3. 血栓症:SLEに伴うTTPに対する既存治療の評価では、IV-CY施行群で全例生存した。VASによる改善効果は、IV-CY群と血漿交換群で高く、ステロイド群で低かった。
4.サイトメガロウイルス感染症:免疫疾患に合併したCMV感染症125例では、全例でステロイド治療(PSL換算平均53mg/日)がされ、約半数でパルス療法、8割で免疫抑制剤が併用された。
5. 大量ステロイド骨粗鬆症と骨折:前向き無作為割り付け試験で、12ヶ月目に腰椎骨密度の低下は、VD3群に比し、ビスホスフォネート併用群では抑制できた。
2. ループス精神病:ステロイド単独治療、+ステロイドパルス、+シクロホスファミドパルス(IV-CY)を比較し、IV-CY群は、治療開始後2年後の予後と寛解維持率が高い傾向を示した。死亡例と再発例は、IV-CY群では15%程度と最も少なかった。
3. 血栓症:SLEに伴うTTPに対する既存治療の評価では、IV-CY施行群で全例生存した。VASによる改善効果は、IV-CY群と血漿交換群で高く、ステロイド群で低かった。
4.サイトメガロウイルス感染症:免疫疾患に合併したCMV感染症125例では、全例でステロイド治療(PSL換算平均53mg/日)がされ、約半数でパルス療法、8割で免疫抑制剤が併用された。
5. 大量ステロイド骨粗鬆症と骨折:前向き無作為割り付け試験で、12ヶ月目に腰椎骨密度の低下は、VD3群に比し、ビスホスフォネート併用群では抑制できた。
結論
全身性自己免疫疾患に併発する呼吸器障害、ステロイド精神病、血栓症、日和見感染症、ステロイド骨粗鬆症に焦点を絞り、既存治療法の有効性や副作用を評価した。今後、症例数を増やしてエビデンス度を高め、既存治療法の弱点を克服すべく新規治療法、予防法のガイドラインの作成を最終目的とする。
公開日・更新日
公開日
2006-07-20
更新日
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