文献情報
文献番号
200500731A
報告書区分
総括
研究課題名
呼気凝縮液を用いた気管支喘息の気道炎症評価法の確立と臨床応用に関する研究
課題番号
H17-免疫-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
一ノ瀬 正和(和歌山県立医科大学医学部内科学第三講座)
研究分担者(所属機関)
- 秋山 一男(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
- 長瀬 隆英(東京大学大学院医学系研究科呼吸器内科学)
- 大田 健(帝京大学医学部内科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
気管支喘息の本態は慢性の気道炎症であり、簡便な気道炎症評価法の確立は気管支喘息の管理・治療の向上に不可欠である。しかし、従来の手法は侵襲を伴うものが多く、一般臨床で簡便に繰り返して施行することは困難である。本研究では無侵襲かつ簡便な呼気凝縮液を用いた気道炎症評価法の確立と、一般臨床への応用に関する検討を行った。
研究方法
呼気凝縮液はエコスクリーンまたはRTubeを用いて採取した。呼気凝縮液中の種々の炎症関連物質の蛋白発現をHuman Cytokine Array kitを用いて測定した。また呼気凝縮液中の増殖因子(IGF-1、PDGF-AA、VEGF)やシステニルロイコトリエン(CysLTs)の蛋白量をELISA kitを用いて測定した。これらの炎症関連物質の発現を健常者と気管支喘息患者で比較し、さらに気管支喘息の重症度、閉塞性障害の程度や気道過敏性などとの関連について検討した。また遺伝子改変動物として、CGRPノックアウトマウス、ロイコトリエンB4(LTB4)受容体(BLT1)ノックアウトマウスを作成し、気道反応性および気管支肺胞洗浄液中の炎症細胞や各種メディエーターを測定した。
結果と考察
Cytokine Array kitを用いた検討では、呼気凝縮液中のIL-4、IL-8、IL-17、TNF-α、
RANTES、IP-10、TGF-β1、MIP-1α、MIP-1βの発現が気管支喘息患者で増加しており、このうちRANTESは閉塞性障害と、TNF-αおよびTGF-β1は気道過敏性との相関が認められた。ELISAによる定量評価ではIGF-1濃度が測定可能で、気管支喘息患者で有意に増加していた。呼気凝縮液中のCysLTsも気管支喘息患者で増加しており、重症度との関連が示唆された。遺伝子操作動物を用いた検討では、CGRP、LTB4がいずれも気道過敏性に関与することが示された。以上より呼気凝縮液は気管支喘息の気道炎症や病態を評価する簡便かつ非侵襲的な方法として、極めて有用であり、一般臨床への応用の可能性が示された。
RANTES、IP-10、TGF-β1、MIP-1α、MIP-1βの発現が気管支喘息患者で増加しており、このうちRANTESは閉塞性障害と、TNF-αおよびTGF-β1は気道過敏性との相関が認められた。ELISAによる定量評価ではIGF-1濃度が測定可能で、気管支喘息患者で有意に増加していた。呼気凝縮液中のCysLTsも気管支喘息患者で増加しており、重症度との関連が示唆された。遺伝子操作動物を用いた検討では、CGRP、LTB4がいずれも気道過敏性に関与することが示された。以上より呼気凝縮液は気管支喘息の気道炎症や病態を評価する簡便かつ非侵襲的な方法として、極めて有用であり、一般臨床への応用の可能性が示された。
結論
呼気凝縮液を用いた各種炎症関連物質の測定は、気管支喘息の気道炎症評価法として有用な可能性があり、今後の一般臨床への応用に向けて、今回検出された種々の炎症関連物質の定量測定法の確立や、治療反応性等の検討により個々の炎症関連物質の喘息病態における特異度の評価が重要である。
公開日・更新日
公開日
2006-04-10
更新日
-