C型肝炎新規治療開発に資するプロテオーム解析を用いた治療標的分子の網羅的検索系とヒト肝細胞キメラマウスHCV感染モデルを用いた実証系の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200500725A
報告書区分
総括
研究課題名
C型肝炎新規治療開発に資するプロテオーム解析を用いた治療標的分子の網羅的検索系とヒト肝細胞キメラマウスHCV感染モデルを用いた実証系の開発に関する研究
課題番号
H17-肝炎-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
茶山 一彰(広島大学病院消化器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 吉里勝利(広島大学大学院理学研究科生物科学専攻)
  • 金子周一(金沢大学大学院医学系研究科がん遺伝子治療学講座)
  • 土方誠(京都大学ウイルス研究所ヒトがんウイルス研究分野)
  • 高倉喜信(京都大学大学院薬学研究科病態情報薬学分野)
  • 榎本信幸(山梨大学医学部内科学講座第一)
  • 松浦善治(大阪大学微生物病研究所分子ウイルス分野)
  • 高橋祥一(広島大学自然科学研究支援開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
C型、B型肝炎ウイルスは培養が困難であり、薬剤の効果の検定に有効なin vitro、in vivoの系の開発、中でも小動物モデルの開発が望まれていた。また、ウイルスによる薬剤耐性、インターフェロン不応のメカニズムを明らかにするにはリバースジェネティックスの系の開発が必須である。さらに、治療効果と密接に関連する宿主側の分子を網羅的に解析する系も同様に必要である。これらを総合的に研究することにより、肝炎ウイルス感染に対する画期的な新規治療開発が可能になると考えられる。本研究の目的は、C型、B型肝炎ウイルスの感染モデルとしてのヒト肝細胞キメラマウスを効率よく産生し、新規治療薬の効果を実証出来るようにすることである。さらに、肝炎ウイルスレプリコン細胞、肝炎ウイルス感染細胞を用いて抗肝炎ウイルス薬の標的となる宿主因子の網羅的探索および肝炎ウイルスの増殖、抗ウイルス治療の効果と密接に関連する宿主の標的分子をマイクロアレイ、プロテオーム解析を用いて網羅的に探索を行うことである。
研究方法
ヒト肝細胞キメラマウスに種々の条件でC型、B型肝炎ウイルス感染患者血清を投与し、効率よく感染モデルを作製することを試みた。また、infectious cloneを用いてリバースジェネテイックスシステムの構築を行った。
結果と考察
ヒト肝細胞キメラマウスに肝炎ウイルスを感染させるのに必要な要件を明らかにし、効率よくモデル動物を作製できた。B型、C型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス薬の治療効果をキメラマウスを使用して評価できることが明らかになった。また、B型肝炎ウイルスに対する薬剤の有効性、変異株の耐性をキメラマウスを使用したリバースジェネティックスの系で確認できるようになった。C型肝炎ウイルスについても同様の系ができる見通しとなった。
また、レトロウイルスベクターを使用して、キメラマウスに生着させた肝細胞に高率に遺伝子導入が出来た。さらに、種々の増殖能力を有するレプリコン細胞、ウイルス感染細胞を利用して、マイクロアレイ解析、プロテオーム解析を実施することが出来た。C型肝炎ウイルスの増殖に重要な宿主側の標的分子としてサイクロフィリンを同定した。
結論
各班員独自の基礎技術に立脚する研究により、肝炎ウイルスに対する創薬への基盤の整備が促進された。

公開日・更新日

公開日
2006-04-05
更新日
-