肝硬変に対する治療に関する研究

文献情報

文献番号
200500713A
報告書区分
総括
研究課題名
肝硬変に対する治療に関する研究
課題番号
H17-肝炎-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 石橋 大海(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター)
  • 古賀 満明(独立行政法人国立病院機構嬉野医療センター)
  • 袖山 健(独立行政法人国立病院機構中信松本病院)
  • 林 茂樹(独立行政法人国立病院機構災害医療センター)
  • 酒井 浩徳(独立行政法人国立病院機構九州医療センター 消化器科)
  • 加藤 道夫(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
  • 原田 英治(独立行政法人国立病院機構東京病院)
  • 竹﨑 英一(独立行政法人国立病院機構呉医療センター 消化器科)
  • 肱岡 泰三(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター 統括診療部がん疾患センター)
  • 室 豊吉(独立行政法人国立病院機構大分医療センター)
  • 小松 達司(独立行政法人国立病院機構横浜医療センター 消化器科)
  • 正木 尚彦(国立国際医療センター 第二消化器科)
  • 足立 浩司(独立行政法人国立病院機構金沢医療センター 消化器科)
  • 増本 陽秀(独立行政法人国立病院機構小倉病院 肝臓病センター)
  • 中尾 一彦(長崎大学 医学部)
  • 矢野 博久(久留米大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
46,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、ウイルス性肝硬変患者に対して、ウイルス駆除(B型肝炎ではウイルス増殖持続抑制)と発癌抑止の2つの治療目標を設定し、それぞれの目標に対する具体的な治療法の提示と治療指針の作成することで、わが国のウイルス性肝硬変患者の生命予後、QOLを改善させることを目指す。
研究方法
 本研究班では政策医療として既に組織が編成され活動をおこなっている国立病院機構内の肝疾患専門医療施設26施設を中心として多施設共同研究をおこなう。
結果と考察
 830例のC型慢性肝炎、肝硬変症例のPegIFNとリバビリン併用治療例の治療中のHCV-RNA消失状況の検討では、F0-2症例に比較しF3-4の肝線維化進展例では治療中のウイルス排除率が有意に低い結果が得られた。現行の治療法の中で最も抗ウイルス効果が高いと言われるPegIFNとリバビリン併用療法を用いてもF3-4の線維化進展例、肝硬変症例ではウイルス排除が困難であることを明らかにした。
 C型慢性肝炎、肝硬変症例に対するIFN治療効果のデータマイニング(Dm)解析(決定木法、RBF法)と統計解析の重回帰分析との3法での治療効果予測の比較検討結果から、3法の予測結果は相補的であり、重回帰分析以外にもDm(決定木法、RBF法)での予測式でも治療効果を推測できることを明らかにした。
 C型肝炎IFN治療に関連する薬物応答性遺伝子のSNP解析をおこなうため、ヒトゲノム遺伝子解析に関する倫理指針に則り、倫理委員会への申請作業をおこない、審査通過施設から採血、DNAの抽出後、パイロット的にSNP解析をおこなった。単独施設でのIFN治療症例120症例での269箇所のSNPパターンのDm解析結果から、IRF2、IFNAR2、MxAなどの3箇所のSNPの組み合わせにより具体的なウイルス駆除期待率の算出が可能であることを確認した。
 in vivoの系で、IFNはPeg化することで抗腫瘍効果が増強することを確認した。
結論
 C型肝硬変症例に対するPegIFNとリバビリン併用療法ではウイルス排除が困難であること、SNPパターンのDm解析結果からSNPの組み合わせによりIFN治療による具体的なウイルス駆除期待率の算出が可能であることを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2006-04-27
更新日
-