文献情報
文献番号
200500701A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症の動向と予防モデルの開発・普及に関する社会疫学的研究
課題番号
H15-エイズ-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
木原 正博(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 和田 清(国立精神・神経センター精神保健研究所)
- 小野寺昭一(東京慈恵医科大学医学部)
- 木原 雅子(京都大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
71,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国で有効かつ実施可能な予防介入モデルを社会疫学的に開発・普及し、かつハイリスク層のHIV感染率や行動のモニタリングを行う。
研究方法
[予防介入研究]高校生の全国調査をPTA連合会と共同で実施し(生徒5778人、保護者4727人)、性行動、万引き、自傷行為等に関連する要因を、主因子分析、多重ロジスティック回帰分析により分析した。また、社会疫学的に開発した中高生対象の予防モデル(WYSHモデル)の改善と普及を図るため、厚労省事業と連動して、全国から募集審査した中学30校、高校26校(合計8424人)を対象に予防介入(独自開発の視聴覚教材による)を実施し評価した。滞日外国人では、日系ブラジル人を対象にHIV関連知識や性行動に関する質問票調査(263名)を行い、97年以来のデータと経年比較した。ハイリスク層では、HIV感染者のセクシュアルヘルスを医療現場で支援するための介入プログラム(医療従事者用・患者用パンフ)を拠点病院を対象に実施・評価し、また高リスク者に対するプリベンションケースマネージメント(PCM)法の行動変容効果を評価した。
[モニタリング研究]薬物使用者448名、STD診療所受診者1157名のHIV/STD陽性率・リスク行動を調べ、経年変化を検討した。
[モニタリング研究]薬物使用者448名、STD診療所受診者1157名のHIV/STD陽性率・リスク行動を調べ、経年変化を検討した。
結果と考察
[予防介入研究]高校生調査では、家庭・学校での生活や人間関係に関わる要因が、性行動以外に、万引き、自傷行為とも関連することを示した。また、WYSHモデルによる介入で、中高生の知識の大幅増加、セックス容認度の低下、リスク認知の向上が生じ、性経験率は増加しないことを示した。日系ブラジル人では、定住化が強まり、HIV関連知識は増加したが、性行動は変わらないことを示した。ハイリスク層への介入では、医療現場での介入には有意な効果は認めなかったが、PCM法の行動変容を確認し、研修・認証システムを確立した。3年間の予防研究の成果として、地方自治体による啓発、若者予防のためのガイドラインを作成した。
[モニタリング研究]薬物使用者について、97年以来、回し打ちは減少傾向だが依然高率で、性行動リスクも高いことを示した。STD診療所受診者では、HIV感染者を認めなかったが、受診者の大半が無料HIV検査を希望することを示した。
[モニタリング研究]薬物使用者について、97年以来、回し打ちは減少傾向だが依然高率で、性行動リスクも高いことを示した。STD診療所受診者では、HIV感染者を認めなかったが、受診者の大半が無料HIV検査を希望することを示した。
結論
若者の性行動・予防介入及びHIV感染者の予防介入について重要な進歩があり、またハイリスク層のモニタリング体制を確立した。
公開日・更新日
公開日
2006-06-14
更新日
-