HIV検査体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
200500699A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV検査体制の構築に関する研究
課題番号
H15-エイズ-015
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
今井 光信(神奈川県衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 貞升 健志(東京都健康安全研究センター 微生物部)
  • 山口 剛(東京都南新宿検査・相談室)
  • 大竹 徹(大阪府立公衆衛生研究所 ウイルス課)
  • 中瀬 克己(岡山市保健所)
  • 金光 公浩(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 木村 和子(金沢大学大学院 自然科学研究科)
  • 杉浦 亙(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
  • 加藤 真吾(慶應大学 医学部)
  • 蜂谷 敦子(国立国際医療センター エイズ治療研究開発センター)
  • 金田 次弘(国立病院機構 名古屋医療センター)
  • 吉村 和久(熊本大学 エイズ学研究センター )
  • 近藤 真規子(神奈川県衛生研究所 微生物部)
  • 玉城 英彦(北海道大学大学院 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
55,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、HIV感染者の増加に伴い、自らのHIV感染に気づかずにいる感染者や献血者の中のHIV検査陽性者が増加し続けている現状を踏まえ、HIV感染者のスクリーニング検査とフォローアップ検査のより効果的な検査体制を構築するために研究を行っているが、本年度は、特に即日検査の普及と受検者の増加を重点課題として研究を行った。
研究方法
即日検査のガイドラインを作成し、ガイドラインと各種講習会の活用により即日検査の普及に努めた。献血におけるHIV検査や保健所等のHIV無料検査およびHIV即日検査実施クリニック等におけるHIVスクリーニング検査に関して、その検査数および陽性数の定点調査および受検者へのアンケート調査等により、HIV検査の動向把握や評価を行った。
(倫理面への配慮:プライバシーの保護に努めるとともに、検査結果の迅速な還元に努めた。)
結果と考察
1.即日検査の普及:栃木県県南健康福祉センターにおいて実施した即日検査の成果に基づき作成した即日検査ガイドラインの改訂版と各種講習会を活用して、即日検査の普及に努めた。平成16年12月には即日検査の実施保健所は全国の11都道府県15自治体の51保健所に、平成17年12月には27都道府県44自治体の144保健所に増加した。
2.民間クリニックの即日検査:当研究班との連携により即日検査を実施しているクリニックは平成17年にはSTD患者の受診が比較的多い都市部を中心に18ヶ所に増加し、その受検者総数は12872件、陽性数は54件に達し、民間クリニックにおける即日検査も非常に有用であり、保健所検査を補完する意味でも重要であることが確認できた。
3.ホームページ(HIV検査・相談マップ)の活用:HIV検査・相談マップを活用して即日検査等のHIV検査関連の最新情報の提供に努めた。現在、一日のアクセス数が2000件を、積算では200万件を越えるなど、極めて有効な情報提供手段であることが分かった。
4.コントロールサーベイ:HIV-1の定量検査のコントロールサーベイの結果、病院等からの依頼検体のHIV定量検査を行っている民間検査センターの測定値は全て許容範囲内で、測定値は信頼できることが確認できた。
結論
HIV即日検査相談は受検者増に極めて有効であり、ガイドラインや講習会の活用によりその普及を計ると共に、今後その質を高めることが重要である。

公開日・更新日

公開日
2006-06-14
更新日
-

文献情報

文献番号
200500699B
報告書区分
総合
研究課題名
HIV検査体制の構築に関する研究
課題番号
H15-エイズ-015
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
今井 光信(神奈川県衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 貞升 健志(東京都健康安全研究センター 微生物部)
  • 山口 剛(東京都南新宿検査・相談室)
  • 大竹 徹(大阪府立公衆衛生研究所 ウイルス課)
  • 本間 寛(北海道立衛生研究所)
  • 金光 公浩(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 木村 和子(金沢大学大学院 自然科学研究科)
  • 杉浦 亙(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
  • 加藤 真吾(慶應大学 医学部)
  • 蜂谷 敦子(国立国際医療センター エイズ治療研究開発センター)
  • 金田 次弘(国立病院機構 名古屋医療センター)
  • 吉村 和久(熊本大学 エイズ学研究センター )
  • 近藤 真規子(神奈川県衛生研究所 微生物部)
  • 玉城 英彦(北海道大学大学院 医学研究科)
  • 中瀬 克己(岡山市保健所)
  • 村田 以和夫(東京都健康安全研究センター)
  • 工藤 伸一(北海道立衛生研究所 生物科学部)
  • 山中 烈次(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 吉原 なみ子(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、HIV感染者の増加に伴い、自らのHIV感染に気づかずにいる感染者や献血者の中のHIV検査陽性者が増加し続けている現状を踏まえ、HIV感染者のスクリーニング検査とフォローアップ検査のより効果的な検査体制を構築するために研究を行った。
研究方法
即日検査の試験的導入を行いその効果と問題点を解析した。その成果に基づき即日検査のガイドラインを作成し、ガイドラインと各種講習会の活用により即日検査の普及に努めた。献血におけるHIV検査や保健所等のHIV無料検査およびHIV即日検査実施クリニック等におけるHIVスクリーニング検査に関して、その検査数および陽性数の定点調査および受検者へのアンケート調査等により、HIV検査の動向把握や評価を行った。
(倫理面への配慮:プライバシーの保護に努めるとともに、検査結果の迅速な還元に努めた。)
結果と考察
1.即日検査の試験的導入とその普及:栃木県小山市の県南健康福祉センターにおいて即日検査を試験的に実施した結果、受検者数が、導入後1年目には3.5倍に、2年目には6.3倍に増加し、受検者のほとんどが即日検査の受検を希望するなど、保健所検査における即日検査へのニーズの高さが実証された。その成果に基づき作成した即日検査ガイドラインの改訂版と各種講習会を活用し、即日検査の普及に努めた。その結果、即日検査の実施保健所は、平成17年12月には27都道府県44自治体の144保健所に増加した。
2.民間クリニックの即日検査:当研究班との連携により即日検査を実施しているクリニックは平成16年には12ヶ所、平成17年には18ヶ所に増加し、その受検者総数は12872件、陽性数は55件に達し、民間クリニックにおける即日検査も非常に有用であり、保健所検査を補完する意味でも重要であることが確認できた。
3.ホームページ(HIV検査・相談マップ)の活用:HIV検査・相談マップを活用して即日検査等のHIV検査関連の最新情報の提供に努めた。平成17年には、一日のアクセス数が2000件を、積算では200万件を越えるなど、極めて有効な情報提供手段であることが分かった。
4.コントロールサーベイ:HIV-1の定量検査のコントロールサーベイの結果、病院等からの依頼検体のHIV定量検査を行っている民間検査センターの測定値は全て許容範囲内で、測定値は信頼できることが確認できた。
結論
HIV即日検査相談は受検者増に極めて有効であり、ガイドラインや講習会の活用によりその普及を計ると共に、今後その質を高めることが重要である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500699C

成果

専門的・学術的観点からの成果
HIVスクリーニング検査体制の構築に関して、より受けやすい検査体制の構築のため、HIV即日検査を民間STDクリニックや保健所等のHIV無料検査への試験的導入とその普及を行い、即日検査の導入により、HIV検査受検者数が大幅に増加することを明らかにした。また、その成果を第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議で発表し国内外から大きな反響があった。
臨床的観点からの成果
HIVフォローアップ検査体制の構築に関して、血中HIVの定量法のコントロールサーベイを行い、問題のある検査機関の改善を指導し、その測定精度の向上を図った。また、HIVプロウイルスの定量法の開発を行いその臨床的意義を明らかにした。
ガイドライン等の開発
保健所において即日検査の試験的実施を行い、その成果を踏まえて、“保健所等におけるHIV即日検査のガイドライン”の作成(平成16年3月)及びその改訂版の作成(平成17年3月)を行った。また、そのガイドラインを補足し、HIV検査相談の充実を計るため、“HIV検査相談における説明相談の事例集”の作成(平成18年3月)を行った。
また、これらガイドラインと事例集は全国の自治体と保健所等に配布され、即日検査の普及に大きく貢献した。
その他行政的観点からの成果
即日検査の普及やホームページ“HIV検査相談マップ”による広報等の効果もあり、長期に渡り減少傾向にあったHIV検査受検者が、最近は増加傾向に転じた。また、毎年増加を続けていたHIV検査陽性の献血者数が平成17年には前年より大きく減少しており、これらの傾向は、HIV検査体制の充実も大きく関与した成果の一つと考えられる。
その他のインパクト
ホームページ“HIV検査相談マップ”を作成し、各地域のHIV検査情報を提供した。
即日検査実施保健所等のアンケート調査から、受検者の多くがこのホームページから情報を得て受検しており、本ホームページによる情報提供による効果が極めて高いことが明らかになった。

発表件数

原著論文(和文)
24件
原著論文(英文等)
44件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
7件
学会発表(国内学会)
138件
学会発表(国際学会等)
43件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
その他成果(普及・啓発活動)
2件
http://www.hivkensa.com

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
嶋 貴子、一色ミユキ、近藤真規子、他
保健所におけるHIV即日検査導入の試みとその効果
日本公衆衛生雑誌 , 53 (3) , 167-177  (2006)
原著論文2
杉本和隆、高西優子、今井光信、他
海外における献血血液へのHIV混入防止対策:教育・面接等を中心としたスクリーニング方法
日本エイズ学会誌 , 7 , 23-30  (2005)
原著論文3
Miyazaki, C., Kawahara, K., Sakurai, Y., Nakase, K., et al.
Current state and need for improvement of system for antibody testing and counseling for HIV infection at public health centers in Japan.
Journal of Medical and Dental Sciences , 52 (4) , 177-182  (2005)

公開日・更新日

公開日
2015-07-02
更新日
-