男性同性間のHIV感染対策とその評価に関する研究

文献情報

文献番号
200500680A
報告書区分
総括
研究課題名
男性同性間のHIV感染対策とその評価に関する研究
課題番号
H17-エイズ-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
市川 誠一(名古屋市立大学看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 功(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター)
  • 佐藤 未光(ひかりクリニック/独立行政法人東京大学附属医科学研究所先端医療研究センター感染症分野/Rainbow Ring)
  • 内海 眞(岐阜県厚生連農業協同組合連合会高山厚生病院/独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 鬼塚 哲郎(京都産業大学文化学部/MASH大阪)
  • 山本 政弘(独立行政法人国立病院機構九州医療センター免疫感染症科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
100,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
MSM(Men who have sex with men)のHIV感染予防を目標に、当事者参加型体制を活用し、大都市部(東京、名古屋、大阪)及び地方都市部(福岡、仙台)での予防対策の構築、啓発資材・普及手法の評価、地方自治体のHIV感染対策との連携、MSMの保健行動を促進する検査、医療の改善、MSMの予防行動・検査動向の把握、インターネット調査による全国のMSMの動向把握を実施した。
研究方法
CBOは啓発資材の開発及びその普及を担い、本年度は従来の啓発活動を見直し新たな目標に基づく啓発プログラムを試行した。評価調査は地域の状況に応じて実施し、事前にゲイCBOと調査内容を検討し、研究者所属機関等の倫理委員会審査を受けた。
結果と考察
1)東北ではCBO予防啓発チーム育成、ゲイコミュニティとの関係作りを開始した。東京では商業施設や既存のイベントと連携した啓発活動、HIVと共に生きることの意識化を図るLiving Together計画を実施した。コミュニティセンターakta来場者数は増加し、新宿2丁目来訪者は知識、予防行動が向上した。名古屋では啓発イベントNLGRとHIV検査会を継続し、地域の保健・医療職者による検査前説明を導入した。大阪ではドロップインセンターdistaを活用した性感染症勉強会(大阪府と協働)、啓発イベント・PLuS+(大阪市と協働、7340人参加)など自治体・他団体との協働体制を具体化した。新たにバー顧客調査を実施し資材認知や予防行動ステージ等を検討した。福岡ではコミュニティへの啓発活動に加え、自治体とのMy First Safer Sex展示会共催、保健所とのHIV検査情報の交換などを行った。2)MSMのHIV検査や陽性告知の経験者、保健・医療関係者への聞き取り調査によりHIV抗体検査受検の阻害要因と解決策を検討した。3)インターネット調査は5,731人から回答があり、過去1年HIV検査受検率22.6%で東京、愛知、大阪地域はこれより高く、地方は保健所での受検が多かった。各地域のCBO活動は認知されつつあった。
結論
MSMの現状を的確に把握しゲイコミュニティに基盤をおくCBOが研究者と協働しながら感染拡大への対応を担っている。その活動はMSMに訴求力のある啓発資材の開発からコミュニティセンターの運営まで多岐にわたり、わが国のHIV感染対策の先駆的試みとして意義あるものと考える。

公開日・更新日

公開日
2009-04-09
更新日
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