ツベルクリン検査、BCG等に代わる結核等の抗酸菌症に係る新世代の診断技術及び予防技術の確立

文献情報

文献番号
200500633A
報告書区分
総括
研究課題名
ツベルクリン検査、BCG等に代わる結核等の抗酸菌症に係る新世代の診断技術及び予防技術の確立
課題番号
H16-新興-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
牧野 正彦(国立感染症研究所 病原微生物部)
研究分担者(所属機関)
  • 竹森 利忠(国立感染症研究所)
  • 荒川 宜親(国立感染症研究所)
  • 小林 和夫(大阪市立大学大学院)
  • 高津 聖志(東京大学 医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
抗酸菌症の診断及び予防法の開発を目的とし、結核に対する新たな診断補助検査法及びMAC感染症の血清診断キットの確立、病原性非結核性抗酸菌を診断するLAMP法の開発、さらにリコンビナントBCGの作製とそのT細胞活性化能の評価、Ag85B由来ペプチドの細胞傷害性T細胞の生成、結核菌の宿主細胞への接着を誘導する菌体分子の同定とそれを標的とした結核菌細胞接着阻止法の開発を行った。
研究方法
Ag85aをアデノウイルス等に組み込み、正常健常人末梢単核球を刺激し培養上清中のIFN-γを測定した。MAC症例血清中の抗MAC特異的糖脂質蛋白質核抗原抗体価を測定した。LAMP法による増幅産物の迅速検出法を検討した。抗酸菌細胞膜の主要抗原Major Membrane Protein -II遺伝子の上流に結核菌Ag85Aの分泌シグナルを付加しBCGに導入したBCG-SMのT細胞活性化能をヒトリンパ球とマウスで評価した。結核菌Ag85B由来Peptide-25のアジュバント活性を異種蛋白OVA特異的細胞傷害性T細胞の活性化を指標に検討した。結核菌よりDNA結合蛋白質(MDP1)を精製し、結核菌の宿主細胞への接着における役割を検討した。
結果と考察
A85aを組み込むベクターとしてセンダイウイルスを用いたが、アデノウイルスと同様、本ウイルスに感作されているリンパ球ドナーが多かった。この反応に末梢単球が関与していた。抗糖脂質蛋白質核抗原IgA抗体は感度・特異度に優れ、かつ疾患活動性を反映した。非結核性抗酸菌の遺伝子診断法をLAMP法を用いたシステムで確立し途上国でも簡便に使用できる測定系として樹立した。抗酸菌の主要抗原を細胞内で分泌するリコンビナントBCGは現行のBCGに比し、タイプ1T細胞を効率良く活性化し主要抗原特異的メモリーT細胞を産生した。Peptide-25は強いT細胞活性化能とアジュバント作用を有し、異種蛋白OVAに対する強い細胞傷害性T細胞を産生した。抗酸菌表層に存在するMDP1は、宿主細胞表面のグリコサアミノグリカンに結合し、結核菌の細胞内に取り込みを促進した。抗MDP1抗体は、結核菌の細胞内感染を著しく阻害した。
結論
非結核性抗酸菌の補助診断法の開発およびBCGに代わる新しいリコンビナントBCGの作製、BCG非依存性ワクチン候補分子の開発に新たな進展をみた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-05
更新日
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