視覚障害者、盲ろう者向け音声・点字コンピュータ・オペレーティングシステムの開発

文献情報

文献番号
200500614A
報告書区分
総括
研究課題名
視覚障害者、盲ろう者向け音声・点字コンピュータ・オペレーティングシステムの開発
課題番号
H16-感覚器-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
石川 准(静岡県立大学国際関係学部)
研究分担者(所属機関)
  • 河村 宏(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所障害福祉研究部)
  • 寺島 彰(浦和大学総合福祉学部)
  • 湯瀬 裕昭(静岡県立大学経営情報学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,837,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、一般のコンピュータ環境においてはマイクロソフト社のWindowsを中心とするGUIデスクトップ環境が圧倒的なシェアを有している。これに伴いこの十年近くは、視覚障害者もGUIを音声や点字出力で表現するスクリーンリーダの利用を余儀なくされている。だが、現段階のGUIオペレーティングシステムはGUIを暗黙の前提として設計されており、他のユーザインターフェースを想定して作られてはいない。このため、こうしたコンピュータ環境は視覚障害者にとって、最良の環境とは言いがたい。以上のような実情を鑑み、我々はLinuxを始めとするUNIXの非常に充実したCUIのコンソール環境を対象に音声合成や点字表示の機能を追加し、視覚障害者向けのエディタ、ブラウザ、メーラ等の統合環境を開発することで、実用に耐えうる視覚障害者、盲ろう者向け音声・点字コンピュータ・オペレーティングシステムを実現する。
研究方法
平成16年度は本格的なLinux用スクリーンリーダをスクラッチから開発した。平成17年度は、CD起動が可能なLinuxオペレーティングシステムにこのスクリーンリーダを組み込んだ。また、サウンドドライバを改良し音声合成の安定化を図った。さらに、Emacsという技術者向けエディタ統合環境を音声化するBEPを併用するためのブリッジを開発した。
結果と考察
本年度の研究により、CD起動が可能なスクリーンリーダの組み込まれたオペレーティングシステムとEmacs/BEPによる技術者向けエディタ統合環境が実現できた。
結論
スクリーンリーダのオペレーティングシステムへの組み込みとCD起動により、視覚障害者は本システムをインストールする必要がなくなり、介助者の支援がなくても即座に利用できるようになった。インストールという視覚障害者にとっての最大のハードルがクリアできた意義は大きい。
UNIXのコマンドを知らない利用者にも本オペレーティングシステムが利用できるように、エディタ、インターネットブラウザ、メールソフトウェア、ファイルマネージャ、シェルなどの開発を順次行い、視覚障害者にとって、操作しやすく、しかも効率的なコンピュータ操作環境を実現できる見通しがたった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-10-30
更新日
-