精神障害者の二次的障害としての窒息事故および誤嚥性肺炎の予防とQOLの向上に関する研究

文献情報

文献番号
200500602A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者の二次的障害としての窒息事故および誤嚥性肺炎の予防とQOLの向上に関する研究
課題番号
H17-障害-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山田 光彦(国立精神・神経センター精神保健研究所老人精神保健部)
研究分担者(所属機関)
  • 樋口 輝彦(国立精神・神経センター武蔵病院)
  • 白川 修一郎(国立精神・神経センター精神保健研究所老人精神保健部)
  • 高橋 浩二(昭和大学歯学部口腔リハビリテーション科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
精神障害者は口腔内環境の劣悪性が指摘され、そのために二次的障害としての窒息事故および誤嚥性肺炎が注目されている。そこで本研究では、精神障害者のQOLを高め日常生活を安全快適に過ごすため、(1)臨床現場で有用な簡便で効果的なリスク評価法の開発(2)精神障害者に適した支援法を開発することを目的とした。
研究方法
本研究では、精神障害者の二次的障害としての窒息事故および誤嚥性肺炎の予防とQOLの向上に関する研究を行った。具体的には、先行研究報告のレビュー、摂食・嚥下スクリーニング検査、精神障害者の運動、睡眠を含む生活パターンの測定・解析、嚥下音産生時の造影画像と嚥下音音響信号データの同期解析を行った。
結果と考察
精神障害者に対する摂食・嚥下スクリーニング検査としては、FTの粥およびプレスケールが有効であることが示唆された。実際、摂食・嚥下障害を有する精神障害者に対し、口腔清掃、排出法ならびに代償的方法を指導し、摂食・嚥下障害の顕著な改善を認めた。さらに、NST活動やリスクマネージメント活動を通じて、摂食・嚥下機能に着目したすぐに役立つ生活機能支援の検討を開始した。さらに、精神障害者の多くは日常的に多剤、高用量の向精神薬を服用しており、抗コリン性副作用による口腔乾燥、薬剤性錐体外路症状による摂食・嚥下機能不全のリスクとなっていることを明らかとした。一方、睡眠は本来の役割から、筋緊張の低下、嚥下を含む反射機能を低下させる。連続活動量を測定することで、睡眠・覚醒の日常生活パターンが解析でき、精神障害者での日中への睡眠の混入と筋緊張の低下による摂食障害、嚥下を含む反射機能の低下との関係を検討する準備が終了した。
結論
本研究の特徴は複数の専門分野の多職種が連携して共同研究を行う点にある。具体的には、精神障害者の医学的評価(精神症状、錘体外路症状、生活の質の評価、服薬調査)を担当する精神科医師および薬剤師、摂食・嚥下などの口腔機能分析を分担する歯科医師、口腔ケアおよび摂食・嚥下機能訓練を行い生活機能支援法の介入を担当する看護師、食事内容、調理方法、摂食方法の標準化を行う管理栄養士などである。また、NST活動やリスクマネージメント活動を通じて、摂食・嚥下機能に着目したすぐに役立つ生活機能支援のあり方を検討する計画であり、今後の研究成果が期待される。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-