中枢性下肢麻痺者の歩行運動再建システムの開発

文献情報

文献番号
200500598A
報告書区分
総括
研究課題名
中枢性下肢麻痺者の歩行運動再建システムの開発
課題番号
H16-障害-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 高志(東北大学 情報シナジーセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 二見 亮弘(福島大学 共生システム理工学類)
  • 古瀬則夫(宮城工業高等専門学校)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,249,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では,機能的電気刺激(FES)を利用して,脊髄損傷や脳血管障害などに起因する運動機能麻痺を有する患者の歩行を再建するシステムの開発を目的としている.
研究方法
今年度は,より多くの肢体不自由者のさらなる社会参加を可能にする技術について,臨床的実用性を重視し,以下の点に着目して研究開発を実施した.
(1)筋骨格系の電気刺激応答モデリングと下肢FES制御方式の開発
(2)筋電制御による不全麻痺への筋力増強制御方式の開発
(3)姿勢計測方式および患者の訓練方式の開発
(4)ユーザインターフェイスの開発
結果と考察
制御方式開発のための計算機シミュレーションシステムの構築を行い,床反力を含めて歩行全体を表現することを可能にした.この計算機シミュレーションを用いて,これまでに開発した遊脚期を制御するcycle-to-cycle制御のファジー制御器を再検討し,その一部を改良した.また,これまでのモデルを利用した検討において,フィードバック誤差学習のFES制御への適用方法を改良して学習初期から誤差を低減することに成功し,手関節の2自由度運動制御への適用が可能であることを示した.局所的筋電駆動型FES制御方式については,その実現方法に関する設計,試作,改良を行うと共に,本方式が不全片麻痺患者の歩行補助として簡便かつ有効であることを臨床試験によって確認した.患者の歩行訓練方式に関しては,ジャイロスコープによる関節角度計測法を提案し,歩行中の膝・足関節角度計測を通して,ゴニオメータと同等の計測が行えることを確認した.ユーザインターフェイスについては,特徴的動作を人工神経回路で認識して利用する方法の評価を実施し有効性を確認すると共に,眼電図の利用の有効性と脳波による運動イメージの検出可能性を示した.さらに,患者への情報提示を行う方法として,皮膚電気刺激による移動感覚で形状などの情報を直感的に伝達する方式の実現可能性を示した.
結論
これまでの研究により,FESによる歩行制御のための基盤技術が確立されつつある.これらの成果を臨床に移行できるように確立し,臨床的評価を実施して実用的方法への展開を図ることが今後の課題である.

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-