各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果の総合的検討(臨床研究実施チームの整備)

文献情報

文献番号
200500568A
報告書区分
総括
研究課題名
各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果の総合的検討(臨床研究実施チームの整備)
課題番号
H16-チム(生活心筋)-013
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
横手 幸太郎(千葉大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究 【脳卒中・生活習慣病臨床研究】若手医師・協力者活用に要する研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,540,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、千葉大学附属病院に臨床研究実施チームを編成し、確かな研究の遂行に役立てることにある。チームの活用を通じて、糖尿病ならびに耐糖能異常患者を対象とした高脂血症の治療(特に脂質値と高脂血症薬の種類)が、心血管イベントの発症や予後に如何なる影響を及ぼすか、日本人におけるエビデンスを確立する。
研究方法
代謝内分泌学を専門とする若手医師、臨床研究技師ならびにその指導者からなる臨床研究実施チームを編成し、研究目的にふさわしい被験者の選択、インフォームド・コンセントの取得、臨床検査データの収集と解析にあたった。さらに、当院臨床試験部との協力により、千葉臨床試験ネットワーク(Chiba University Clinical Research Network)に属する39医療施設と連携、糖尿病を含む高脂血症患者を対象に2種類のストロングスタチンの有用性に関する比較試験を開始した。
結果と考察
本施設の当初目標を上回る276例の糖尿病・耐糖能異常患者について登録が実施され、1年後のデータ収集を終了した。臨床研究実施チームを活用して開始した2種類のストロングスタチン(ピタバスタチンPとアトルバスタチンA)による多施設参加型比較試験(CHIBAスタディ)には251例の被験者登録を得た。その背景は平均年齢が62歳、男女比3:7、49%が糖尿病、36%が高血圧を合併し、28%はメタボリックシンドロームに該当した。4ヶ月にわたる観察期間前後のTC、LDL-C,TG低下率は、それぞれA群で-31.1、-44.1、-10.7%、P群でそれぞれ-29.7、-42.6、-17.3%と、いずれも統計学的に有意であったが、両薬剤群間には低下率の差がみられなかった。一方、HDL-Cについては、P群で3.2%の有意な上昇(P=0.033)を認めたが、A群の変化は1.7%(P=0.22)であった。両薬剤とも重篤な副作用発現はなく、有害事象の発現率も同等であった。以上の結果より、本研究費によって整備された臨床研究実施体制には実効性があり、その活用によってストロングスタチンによる糖尿病合併高脂血症治療の有用性が明らかにされつつある。
結論
千葉大学医学部附属病院に臨床研究実施チームを整備し、さらに地域医療施設ネットワークとの連携を進めることで、実地への応用可能な臨床研究成績が得られている。

公開日・更新日

公開日
2006-04-21
更新日
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