糖尿病における血管合併症の発症予防と進展抑制に関する研究(JDC Study)(臨床研究実施チームの整備)

文献情報

文献番号
200500564A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病における血管合併症の発症予防と進展抑制に関する研究(JDC Study)(臨床研究実施チームの整備)
課題番号
H17-チム(生活心筋)-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山田 信博(筑波大学大学院人間総合科学研究科内分泌代謝・糖尿病内科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究 【脳卒中・生活習慣病臨床研究】若手医師・協力者活用に要する研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
12,510,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本人を含むアジア人糖尿病患者の大規模臨床研究データはまだ十分とは言え
ない。JDCSは、わが国の2型糖尿病患者の病態的特徴や専門施設の診療状況・治療効果を
検討し、糖尿病およびその血管合併症を抑制するためのエビデンスを確立することを目的
としている。このために臨床研究チームを組織して運営進行を司る。
研究方法
約2000人の日本人2型糖尿病患者を対象に、コホート全体を前向きに観察して
、日本の糖尿病患者や糖尿病診療の特徴を把握している。同時に患者指導を中心的介入手
段として、それによるコントロール指標の改善や合併症の抑制が可能かどうかも解析して
いる。
結果と考察
平成8年4月から全国59施設の2205症例に介入を開始し、現在開始後9年が経
過した。これまでの中間報告の中で、欧米人患者とは異なる日本人糖尿病患者の特徴が数
多く見つかっている。たとえば肥満度や、合併症のリスクファクター、メタボリックシン
ドロームの臨床的インパクト、アルコール摂取の影響や薬物の感受性などに関する違いな
どが挙げられる。また欧米人患者対象の研究とは異なり、長期的な平均肥満度や血糖コン
トロールの増悪は、本研究の日本人糖尿病患者においては認められていない。一方、日本
人患者における合併症の発症率やリスクファクターなど、本研究において初めて明らかに
されたものも多い。糖尿病網膜症の発症については心血管リスクファクターとの関連が、
糖尿病腎症の発症に関しても血圧の重要性が、それぞれ明らかにされている。糖尿病網膜
症については、開始時HbA1C 9%以上の患者では、7%未満の患者と比較して発症リスクは5.
4倍となった。糖尿病腎症については、収縮期血圧が140 mmHg以上の患者で130 mmHg未満
の患者と比較して、発症リスクは2.3倍に上昇していた。大血管合併症については虚血性
心疾患発症率が脳血管障害発症率を超えており、非介入群と比較して、
贒Qにおける脳血管障害発症率が有意に少ないことも判明した。
結論
臨床研究チームの参加による本研究の一層の深化・進展により、将来のわが国の糖
尿病治療・対策に役立つさらに多くの貴重なエビデンスが得られものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2006-04-21
更新日
-