切除不能Ⅲ期非小細胞肺がんに対する標準的治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200500515A
報告書区分
総括
研究課題名
切除不能Ⅲ期非小細胞肺がんに対する標準的治療法の確立に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-がん臨床-009
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
福岡 正博(近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門)
研究分担者(所属機関)
  • 西條 長宏(国立がんセンター東病院)
  • 大江 裕一郎(国立がんセンター中央病院 肺内科)
  • 中川 和彦(近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門)
  • 加藤 治文(東京医科大学病院 外科学第一講座)
  • 西脇 裕(国立がんセンター東病院 呼吸器内科)
  • 森 清志(栃木県立がんセンター)
  • 渡辺 古志郎(横浜市立市民病院 呼吸器内科)
  • 野田 和正(神奈川県立がんセンター)
  • 横山 晶(新潟県立がんセンター新潟病院 内科)
  • 樋田 豊明(愛知県立がんセンター 呼吸器内科)
  • 西村 恭昌(近畿大学医学部 放射線腫瘍学)
  • 根来 俊一(兵庫県立成人病センター 呼吸器内科)
  • 武田 晃司(大阪市立総合医療センター 臨床腫瘍科)
  • 山本 信之(静岡県立がんセンター 呼吸器内科)
  • 早川 和重(北里大学医学部 放射線科学)
  • 河原 正明(独立行政法人国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター 内科)
  • 松井 薫(地方独立行政法人大阪府病院機構大阪府立 呼吸器・アレルギー医療センター 肺腫瘍内科)
  • 今村 文生(大阪府立成人病センター 呼吸器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
切除不能限局型進行非小細胞肺癌の予後改善を目指し、化学療法後に放射線治療と分子標的薬の上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)であるゲフィチニブを併用する新しい治療法を考案し、そのの安全性、有効性を検討することを目的とした。
研究方法
切除不能局所進行非小細胞肺癌のうち腺癌、非喫煙ないし軽喫煙者(10年以上禁煙または喫煙係数400以下)を対象としシスプラチン80mg/m2 Days 1, 22, ビノレルビン20mg/m2 Days 1, 8, 22,29に投与、Day 43よりゲフィチニブ250/mg/m2/Daysを投与し間質性肺障害(ILD)の発症がないことを確認した後にDay 57より胸部放射線治療(TRT)2Gy/dayを週5日同時併用として総量60Gy照射、ゲフィニチブは腫瘍が増悪するまで投与することとした。プライマリーエンドポイントは完遂率(Grade2以上のILDを認めず治療が完了できた割合)とし、期待値75%、閾値55%として予定症例数を37例とした。この試験で完遂率が達成されれば、標準的治療であるTRTと化学療法の同時併用療法とのランダム化比較試験において有用性を検証することとしている。
結果と考察
本研究は平成16年8月から開始されたが、ゲフィチニブによるILDの問題、有効性が腺癌、非喫煙者に多いことが明らかになったことから、実施計画書の変更を余儀なくされた。また、最初の5例は国立がんセンター中央・東病院から登録する事にした。5例の安全性が確認されたところで登録施設を拡げ、平成18年3月現在8例が治療完了した。ILDなどの重篤な有害事象は認められておらず、抗腫瘍効果も順調に得られていることから症例登録が続けられている。ゲフィチニブなどEGFR-TKIは日本人など東洋人で有効である事が示されており、日本で行われているこの試験の結果が期待される。
結論
ゲフィチニブは非小細胞肺癌に対して有効性が認められた最初の分子標的薬である。前臨床試験において放射線治療との相乗効果が報告されているが、臨床試験の成績は未だみられない。ゲフィチニブの有効性が高い日本人を対象にして行われている本研究の成果は世界的にも極めて価値の高いものになると思われる。現在、症例の登録が続けられているが、重篤な有害事象も見られず十分な抗腫瘍効果も得られていることから本治療法の有効性が期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-04
更新日
-