大腸がん肝転移症例の術後補助化学療法に関する研究

文献情報

文献番号
200500503A
報告書区分
総括
研究課題名
大腸がん肝転移症例の術後補助化学療法に関する研究
課題番号
H16-がん臨床-032
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 知行(愛知県がんセンター中央病院)
研究分担者(所属機関)
  • 島田 安博(国立がんセンター中央病院)
  • 池田 栄一(山形県立中央病院)
  • 澤田 俊夫(群馬県がんセンター)
  • 高橋 進一郎(国立がんセンター東病院)
  • 滝口 伸浩(千葉県がんセンター)
  • 藤田 伸(国立がんセンター中央病院)
  • 杉原 健一(東京医科歯科大学大学院)
  • 藤井 正一(横浜市立大学総合医療センター)
  • 大植 雅之(大阪府立成人病センター)
  • 三嶋 秀行(国立病院大阪医療センター)
  • 棚田 稔(独立行政法人四国がんセンター)
  • 岡村 健(独立行政法人九州がんセンター)
  • 白水 和雄(久留米大学医学部)
  • 山口 茂樹(静岡県立静岡がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
43,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大腸癌肝転移の治癒的切除症例を対象として、進行大腸がんに対する国際的標準治療であるオキサリプラチン(L-OHP)/5FU/ロイコボリン(LV)併用療法;FOLFOX6の術後補助化学療法の有用性を肝切除単独を対象として比較評価する(第Ⅲ相試験)。
研究方法
FOLOFX療法はFOLOFOX4が標準治療とされるが,本研究では投与法が簡便でしかも奏効率、progression free survival、overall survivalがFOLOFOX4と同等であるとされるFOFOX6療法を選択した。本邦ではFOLFOX療法の経験は少ないので第Ⅲ相試験に先立って,切除不能の転移・再発大腸がんを対象とする第Ⅱ相試験を行った。主要評価項目は奏効率、副次的評価項目は安全性である。投与スケジュールは、L-OHP 100mg/㎡静注(第1日目),LV 200mg/㎡静注(第1日目),5-FU 400mg/㎡静注後2400mg/㎡46時間で静注(第1,2日目)を1サイクルとして2週間毎に繰り返し投与した。 
結果と考察
2005年4~9月に49例が登録され,適格例46例について解析を行った。抗腫瘍効果は、CR0例、PR20例、SD16例、PD1例、NE9例で、奏効率は43.5%である。46例中投与中止は6例。投与延期は全288コース中97コースで行われ、延期理由は血液毒性が50、非血液毒性が6、その他が41であった。減量を要した症例は18例(39%)で、減量理由は血液毒性7例、非血液毒性12例(うち神経毒性7例)であった。Grade 3以上の有害事象は、血液毒性としては好中球減少が33%,非血液毒性としては食欲不振(4%)、悪心・嘔吐(4%)、口内炎(4%)が認められた。L-OHPに特有な知覚性神経障害はGrade1・2程度の軽度のものが85%に認められた。この神経障害はコース数が増えるに従い頻度が増加しており,Grade2が出現しL-OHPの減量を行う時点での、L-OHP積算投与量の平均は 700mg/㎡であった。投与期間が短い症例が多いため、解析時点でGrade3以上の神経障害は認めていないが今後重篤な蓄積性の末梢神経障害によりL-OHP中止例が増えることが予想される。その他L-OHP点滴中、4例にGrade2/3のアレルギー反応が出現した。
結論
本試験における有害事象および抗腫瘍効果は欧米の報告にみられるものとほぼ同等と考えられる。第Ⅱ相試験の結果より第Ⅲ相試験の薬剤投与量は,5FUおよびLVは第Ⅱ相試験と同量とし,L-OHPは本邦での保険承認用量である85mg/㎡と決定した。今後第Ⅲ相試験に入る。

公開日・更新日

公開日
2006-04-25
更新日
-