がん治療のための革新的新技術の開発研究

文献情報

文献番号
200500487A
報告書区分
総括
研究課題名
がん治療のための革新的新技術の開発研究
課題番号
H16-3次がん-026
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
野村 和弘(国立がんセンター中央病院)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 寿光(国立がんセンターがん予防研究・検診センター)
  • 伊関 洋(東京女子医科大学)
  • 荻野 尚(国立がんセンター東病院臨床開発センター)
  • 近藤 達也(国立国際医療センター)
  • 田野崎 隆二(国立がんセンター中央病院 )
  • 若杉 尋(国立がんセンター研究所)
  • 藤元 博行(国立がんセンター中央病院 )
  • 笹子 三津留(国立がんセンター中央病院 )
  • 森谷 冝皓(国立がんセンター中央病院 )
  • 村田 智(日本医科大学医学部)
  • 公文 裕巳(岡山大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
144,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がんは年間60万人に発生し、そのうち50%が死亡する。国民の健康防衛という観点から見て、早急に克服しなければならない重要課題である。特に、治癒の難しい難治がんを対象に、外科領域、内科領域、放射線領域における治療法に革新的な技術を導入し、各領域を統合した形でがんの攻略にあたる。
研究方法
外科領域においては、既存の外科手術の課題を打開し、摘出術による治癒率向上を目指すと共に、最新の電子工学的技術を導入して、治癒率向上のための新医療技術開発を促進する。内科領域においては、同種血液/免疫細胞療法や、遺伝子治療の開発成果の臨床移行を推進する。また、IVRを利用しての局所還流を生かした、骨盤内限局進行がんに対する臨床研究を行う。
放射線領域においては、陽子線治療装置とPET装置を統合して精度の高いナビゲーションシステムを開発する。また、通常の放射線治療の位置決め装置にレーザーを応用した3次元体表座標を開発する。
倫理面への配慮:全ての研究は実施計画書を作成し、当該施設の倫理委員会で審査され、ヘルシンキ宣言に準じて行われた。
結果と考察
1)外科領域においては、手術技術コンセプトの確立と要素技術の推進により、これまでになかった手術支援装置の開発を進め、実現に一歩近づいた。今年度は、がん細胞の3次元増殖システムを作成し、これを用いた治療実験を行った。このような医療技術の導入によって、医療の水準を向上させ、より安全で高度な医療技術の開発を促進する事ができる。
2)内科領域では、閉鎖循環下抗がん剤灌流療法の有効性を確認した。本法は臨床での有効治療に直結し、進行難治がんへの確実な攻略法となる。その他、NKT細胞を利用した新しいがん免疫療法、同種血液・免疫細胞を用いた悪性腫瘍に対する治療においても、第1相臨床試験への準備を進めている。
3)放射線領域においては、陽子線治療装置とPET装置を統合してビームオンラインPETシステムの開発を進め、プロトタイプPETで、照射部位、照射量の測定が可能であることを確認し、実器の設計に一歩近づいた。
結論
外科領域では、手術手技の改良と現在のIT技術を活用した汎用手術支援機器を用い、超微細内視鏡による低侵襲かつ効果的な治療の開発を進めた。内科領域では、局所閉鎖循環系を樹立して、骨盤内超進行がんの治療を可能とした。放射線領域では、陽子線の照射量、照射部位をリアルタイムで計測できるシステムの開発研究を行い、実機の設計に一歩近づいた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-26
更新日
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