周産期からの生育環境が思春期の心身の健康に及ぼす影響の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200500437A
報告書区分
総括
研究課題名
周産期からの生育環境が思春期の心身の健康に及ぼす影響の評価に関する研究
課題番号
H17-子ども-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
安梅 勅江(国立国際医療センター国立看護大学校)
研究分担者(所属機関)
  • 埋橋玲子(神戸女子大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、米国での10年間の追跡研究と比較可能な研究デザインを用い、周産期からの生育環境が思春期の子どもの心身の健康にどのような影響を及ぼすのか実証的な根拠を得るとともに、このテーマに関する国内外の文献を体系的にまとめ、参考となるデータを提供し、周産期からの生育環境の影響をもとに、日本における生育環境整備のモデルを構築することを目的としている。
研究方法
本研究は、全国の98箇所の夜間および昼間保育園において追跡調査している子どもについて、子どもと保護者に対する調査を実施した。初年度は小学校低学年の学童にプレ調査として、担当専門職および専門調査員による子どもの心身の健康状態に関する面接・質問紙評価、保護者に対する質問紙調査、専門調査員による家庭環境評価、面接調査、環境評価を実施した。回収された質問紙調査票は134名であった。複数の関連要因を用いて思春期の子どもの心身の状態に影響する要因について、多変量解析により影響度の強さを明らかにした。
 また各国の経年研究に関する論文を体系的に整理した。
結果と考察
学童期の「いらいらする」「不機嫌で怒りっぽい」「疲れやすい」「体から力がわかない」「あまり頑張れない」「気持ちが沈んでいる」「勉強が手につかない」などの状態に、「家庭で歌を歌う機会が少ない」「子どもと保護者が一緒に遊ぶ機会がない」「保育園以外のサポートが得られない」「配偶者の子育て協力が得られない」など、周産期からの家庭での関わりや育児サポートの乏しさが関連することが明らかにされた。したがって、特に子育て支援として、保護者の家庭での子どもとのかかわりの質を高め、育児相談や保育サポートなどの重要性が示唆された。
また、欧米における過去50年にわたる思春期の心身の健康に関する複数の評価法を体系的に整理し、もっとも適合性の高いものを用い、毎年子どもの担当専門職および専門調査員により子どもの心身の健康状態について客観的に評価し、精度の高い成果を得ることが可能となった。
結論
本研究の結果、周産期からの生育環境が学童期の心身の健康に影響することが示された。次年度には、さらに対象を拡大して調査を実施し、最終年度には欧米の影響評価研究の成果を加え、周産期からの生育環境整備のあり方につき具体的なモデルを提案する予定である。

公開日・更新日

公開日
2006-06-07
更新日
-