10代の女性の人工妊娠中絶減少にむけての支援モデルの構築

文献情報

文献番号
200500387A
報告書区分
総括
研究課題名
10代の女性の人工妊娠中絶減少にむけての支援モデルの構築
課題番号
H15-子ども-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
新道 幸惠(青森県立保健大学)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 正昭(青森公立大学)
  • 中村 由美子(青森県立保健大学 健康科学部)
  • 益田 早苗(青森県立保健大学 健康科学部)
  • 高橋 佳子(青森県立保健大学 健康科学部)
  • 佐藤 愛(青森県立保健大学 健康科学部)
  • 高橋 司寿子(青森県立保健大学 健康科学部)
  • 玉熊 和子(秋田看護福祉大学)
  • 長澤 一磨(青森県総合健診センター)
  • 溝江 好恵(ハローベビー助産院)
  • 権 美子(日本助産師会青森県支部事務局)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
1,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
10代女性の人工妊娠中絶を減少させるため、地域との連携を深めながら、これまでの活動及び新規事業を継続して行い包括的ケアシステムモデルを構築する。
研究方法
1.思春期の性に関する活動機関及び関係者間の連携を目的にした活動として、懇談会及びワークショップを開催する。2.10代の人工妊娠中絶を軽減させるための活動として、ピア・カウンセリング及びピア・カウンセラーの養成、電話相談及び電話相談員の養成、性教育、ヤングママのためのマザークラスを実施する。3.包括的ケアシステムモデルの構築を行う。
結果と考察
懇談会では関係機関それぞれの取り組みの現状や問題点を共通認識とし、今後の具体的な連携に発展させることができた。ワークショップでは、学校・保護者・専門家が協力し地域と一体となった活動が10代の性の健全化に結びつくという課題が明示された。ピア・カウンセリングでは、大学祭や県立高校等での活動を行った。また、今年度は新たに3名がピア・カウンセラーとなった。電話相談は平成17年2月より週1回実施し、平成18年2月までに49件の相談を受けた。今年度は7名が養成セミナーを受講した。性教育では、10代男女、中学生の保護者、各専門家への性教育を実施した。10代男女への性教育では、本研究での調査結果と各校の希望に基づき内容を構成して実施した所、受講後の評価は良好であった。マザークラスでは、全10回の開催で延べ62名の参加者(夫・子供を含む)であった。30分程度のエクササイズの後、参加者の希望するテーマに沿って話をした。受講後の評価は良好であった。これらの諸活動は着実に成果を挙げており、今後は活動内容の周知に対する取り組みの充実と活動の継続が課題である。青森市内の中学校及び地域の性教育の関係者からの情報交換を行い、連携・共同のあり方やモデル構築の可能性を探り、構築した。そのモデルとは、関係機関や関係者の活動を相互に支援しながら活性化する活動を行う組織であり、活動である。今後はこのモデルにおいて青森県の性教育活動の連携の中心として思春期研究会を設立し、その機能を活性化させ、継続的な活動につなげていくことが期待される。
結論
1.思春期の性に関する懇談会やワークショップの開催により、各関係者の認識が深まり、包括的ケアシステムモデルの構築につながった。2.ピア・カウンセリング、電話相談、性教育などの活動は着実に成果を挙げており、活動の周知及び継続が今後の課題である。3.10代の女性の人工妊娠中絶減少に向けての包括的ケアシステムモデルを構築し、その活動を開始した。

公開日・更新日

公開日
2006-06-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200500387B
報告書区分
総合
研究課題名
10代の女性の人工妊娠中絶減少にむけての支援モデルの構築
課題番号
H15-子ども-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
新道 幸惠(青森県立保健大学)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 正昭(青森公立大学)
  • 中村 由美子(青森県立保健大学 健康科学部)
  • 益田 早苗(青森県立保健大学 健康科学部)
  • 高橋 佳子(青森県立保健大学 健康科学部)
  • 佐藤 愛(青森県立保健大学 健康科学部)
  • 高橋 司寿子(青森県立保健大学 健康科学部)
  • 玉熊 和子(秋田看護福祉大学)
  • 長澤 一磨(青森県総合健診センター)
  • 溝江 好恵(ハローベビー助産院)
  • 権 美子(日本助産師会青森県支部事務局)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、10代の女性の人工妊娠中絶を減少させるために、中学生とその保護者・教育者を対象に性教育の支援を行い、望まない妊娠を減少させること、さらに出産を選択した10代への支援について行政や地域関係機関との連携を含む包括的なケアシステムのモデルを構築することにある。
研究方法
1.既存の統計資料の分析、青森県内10代男女への調査により実態を把握する。2.中学校での取り組み、県や市の取り組みや関係者の意識を、既存資料や懇談会、ワークショップを通して把握する。3.電話相談員の養成及び電話相談の実施、ピア・カウンセラーの養成および活動、中高生や保護者を対象にした性教育、マスコミを活用しての思春期の性意識や行動のリスクに関する啓蒙活動、人工妊娠中絶後のカウンセリング、若年妊婦のマザークラスの開催。4.性に関する指導についての教員への調査の実施。
結果と考察
青森県10代の女性の人工妊娠中絶数は全国平均より高く推移しており、その背景には10代の男女の性意識・性行動の活発化が見られた。小・中・高校における性教育の実施率は高いが、その内容は必ずしも思春期男女のニーズに沿ったものではなく、専門家による支援が必要であり、中学校教員は、中学生の性に関する教育や指導を効果的にするために専門家との連携の必要性を認めていた。実際に専門家による性教育を実施している学校では、受講生の関心を深め、効果を上げていた。ピア・カウンセラーの活動は地域全体で認められ、普及へとつながった。人工妊娠中絶後のカウンセリングおよび若年妊婦へのマザークラスの効果は認められたが、その機会や場所、マンパワーなどに課題が残った。青森市内及び県行政では、10代の女性の人工妊娠中絶及び性感染症の減少のための対策は練られ、実施されているが、普及や継続性の課題があり、成果には限界が認められる。しかし、本研究の働きかけにより、教育機関の教師、教育行政担当者、市の保健師、保健所保健師、助産師会や看護協会の助産師、産婦人科医会の医師、大学の母子保健の専門家等によって、関係機関や関係者間の相互連携による活動が、県内の10代の女性の人工妊娠中絶、思春期の性感染症の予防には重要であるとの認識が深まり、それを実行に移すことの意思が確認された。
結論
10代の女性の人工妊娠中絶の減少を目標にした包括的ケアシステムモデルが構築された。

公開日・更新日

公開日
2006-06-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500387C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1)研究目的の成果
 10代女性の人工妊娠中絶の減少及び10代男女の性感染症の予防を目的とする包括ケアシステムの構築ができた。
(2)研究成果の学術的・国際的・社会的意義
 地域の各部門や機関において実際に行われている思春期保健活動を活性化させるための関係機関の統合・連携のための方略を包括的ケアシステムとして明らかにした。また、このシステムにより、教育・医療・住民等の自主的な連携・活動が行われるようになった。
臨床的観点からの成果
(1)研究目的の成果
 ピアカウンセリング活動、小・中・高のみならず保護者の性教育活動、人工妊娠中絶後のカウンセリング、産むことを選択した妊婦へのマザークラスなどの有効性が確認された。
(2)研究成果の学術的・国際的・社会的意義
 医療保健従事者のみならず、小・中・高の教育委員会の関係者及び保健体育・養護教諭や保護者等がこの課題への取り組みの緊急度並びに対応策の共通認識をもてるようにした。さらには夫々が連携をとり、包括的に10代男女を支援できるようにしてきた。
ガイドライン等の開発
電話相談員とピアカウンセラーの養成プログラムの開発及び、ピアカウンセリング活動に使用する小冊子(Teens'Love 大切にしよう自分の性)を作成した。電話相談員養成では看護職者を対象とし、電話相談の基礎知識、性感染症の動向等の内容で研修を行った。ピアカウンセラー養成では大学生を対象とし、恋愛と性、性感染症の知識等の内容で研修を行った。冊子は、人工妊娠中絶や性感染症の予防を目標として10代男女に必要な性の知識・意識等の内容で且つ親しみ易い構成とし、10代男女への性教育に幅広い活用が期待される。
その他行政的観点からの成果
少子化社会対策基本法に基づく国の基本施策としての思春期保健対策充実のため、10代男女の性に関する専門的・広域的観点からの情報収集や調査研究、効果的な情報提供の体制整備、関係機関等のネットワーク作りの推進に貢献した。具体的には、①青森県内の10代男女の性行動・性意識の調査を行い、特徴を把握した。②事業の実施により、県内の思春期保健関係者にインパクトを与えた。③県内の思春期保健関係者や教育委員会・保護者等と共に今後の対策の検討をし、10代男女への包括的支援のための連携の基盤を築いた。
その他のインパクト
本研究活動を広くマスコミなどを活用して広報したことによって、専門家のみならず一般の方々にも10代女性の人工妊娠中絶、青年期男女の性感染症の問題に関する理解者を増やすことができた。さらに、中学生の保護者に上記の予防的な活動への参加者を広げることができた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
86件
・10代の性ワークショップ ・人工妊娠中絶後のカウンセリングの案内(http://www.auhw.ac.jp/html/topics/teac/teensmile/teensmile.htm)

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-11
更新日
-